ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。
今回のテーマは、「仮想通貨の使い道」。
仮想通貨で商品やサービスを購入できる
日本では今なお「投機」としての印象や「投資詐欺」としての印象が色濃い仮想通貨ですが、海外でも日本国内でも、実際に仮想通貨を利用する“実需”のニーズが高まってきています。
「仮想通貨が普及した」と言えるようになるにはまだまだ時間がかかると思いますが、第35回の記事でご紹介したように、仮想通貨をSuicaにチャージできるようになったり、普段使うLINEなどのアプリと仮想通貨が連動すれば、普及が加速する可能性はあるでしょう。
Suica以外にも、第7回の記事でご紹介した仮想通貨に対応したデビットカードや、第45回の記事でご紹介したフュージョンバンク(仮想通貨と法定通貨のハイブリッド銀行)が発行する銀行カードなどを利用すれば、間接的に仮想通貨を決済で利用することが可能になります。
また、ビットコインはネットショップで買い物をする際の決済手段として利用することも可能です。国内では、DMM.com、ビットコインモール、ビットフライヤーなどがあります。例えば、ビットコインモールでは、家電やコンピューター、オフィス用品など10万点以上の商品購入が可能です。
ビックカメラ、ビックカメラ系列のソフマップなどの家電量販店でも、ビットコインを利用できます。ビックカメラの店舗では30万円相当まで、ネットショップでは10万円相当まで使うことができるようです。
さらに、バーや居酒屋、レストランなどの一部の飲食店でもビットコイン支払いが可能です。都内や北海道、大阪、沖縄などにもビットコインが使える飲食店があります。
他には、クリニックや歯科医院、ホテルなどでもビットコインで支払える場所があります。例えば、東京都の「神谷町デンタルクリニック」では、自由診療や商品の購入で利用が可能です。また、兵庫県の「ホテルプラザ神戸」でも利用代金をビットコインで支払うことができます。
このように、日本でも少しずつですが仮想通貨を決済に使えるところは増えています。
仮想通貨を法定通貨に現金化(換金)できる
仮想通貨は、仮想通貨取引所や仮想通貨ATMで日本円に換金することができます。
仮想通貨取引所で現金化するためには、まず取引所で口座開設が必要です。口座開設後、取引所へ仮想通貨を送金し、日本円に換金します。希望する金額を指定口座へ振り込んでもらい、指定口座から現金を引き出すという流れです。
仮想通貨ATMは、ほとんどの場合ビットコインATMのことを指します。つまり、ビットコインは決済にしろ換金にしろ、数多くある仮想通貨の中でもインフラがもっとも整っている仮想通貨と言えますね。
第18回の記事でご紹介したように、仮想通貨の売買に対応したATMの設置場所は、「Coin ATM Radar(コインATMレーダー)」という情報サイトで確認できます。ビットコインATMなら、取引所で口座開設しなくても、ビットコインの購入や日本円への換金が可能です。
送金代わりに使える
私が仮想通貨を持とう(買おう)と思ったのは、速くて手数料の安い送金手段として便利だと感じたからです。決して投資目的だったわけではなく、これほど価値が上昇するとも、ブームのようになるとも想像していませんでした。
特に海外送金は、銀行・金融機関で行うと手続きも面倒で送金手数料も高いです。仮想通貨なら、法定通貨に比べて送金スピードが格段に速く、手数料が安いことがメリットですね。
資産として仮想通貨をポートフォリオに組み込むのが当たり前になる?
仮想通貨は、資産として保有することもできます。資産には、預金や株式、投資信託、不動産などさまざまな形がありますが、仮想通貨も資産のひとつと言えます。
今はまだ、仮想通貨を保有している人は少ないですが、いずれはポートフォリオに組み込むことが当たり前になると思います。仮想通貨を資産として保有するメリットは、国の情勢や経済の影響を受けにくいことです。そのため、特に情勢不安を抱える国では、仮想通貨は分散して資産を保有する手段として注目されています。
ただ、仮想通貨の価値は日々激しく変動します。なかには全く普及せずに消えていく仮想通貨もありますから、リスクを認識しておくことが大切です。
日本をはじめ、各国で仮想通貨に関する法整備が進んでいますので、これから数年で多くの仮想通貨が淘汰されるでしょう。将来的に価値が上がる見込みのある仮想通貨を見極め、長期保有していれば、大きな資産を築くことも可能だと思います。
しかし、苦労せず得たお金はしょせんあぶく銭です。第46回の記事でご紹介したように、宝くじに当選した人の末路のように人生をしくじってしまった億り人もいます。お金の使い方に人柄が表れますから、活きたお金の使い方をしたいですよね。
私の場合、物欲は随分前からなく、プライベートジェットや高級車、タワーマンションがほしいとも思いません。カードの利用履歴は、近所のスーパーやマクドナルド、ユニクロばかりです。日常を愉しんでいる感じですね。
納税はしっかりと
仮想通貨を買い物に利用したり現金化したりした場合は、課税対象になりますからしっかりと申告しましょう。
第13回の記事でご紹介したように、主に「仮想通貨の売却」「仮想通貨での商品の購入」「仮想通貨と仮想通貨の交換」が課税対象です。
「申告しなくてもバレないでしょう」と考える人もいるかもしれませんが、いずれすべて把握されると思います。あとから追徴課税で大きな額の納税をすることになるなら、しっかりと申告した方が賢いですよね。日本の治安が良いのも、町がきれいでインフラが整っているのも、税金のおかげですからね。
次回は、「今さらだけど、イーサリアムのスマートコントラクトってなに?」というテーマについてご紹介します。
執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)
1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。