今年4月に酒税法が改正され、より多彩なビールを楽しめるようになった。それによって、ますます人気が高まっているのが『クラフトビール』。流行に敏感な人、お酒に造詣が深い人、そしてデキるビジネスマンがこぞって注文している「クラフトビール」の魅力とは何なのか。今回は、「今さら聞けない『クラフトビール』の話」をテーマに、クラフトビールの醸造所が併設したダイニング「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」の鈴木雄介さんにお話を伺った。

  • 東京・代官山「SPRING VALLEY BREWERY TOKYO」の鈴木雄介さん

そもそもクラフトビールって何なの?

ここ最近、テレビや雑誌でよく目にする「クラフトビール」の文字。もちろん、ビールだってことはわかるけど、どんなビールなの? って思っている人も多いはず。鈴木さんに聞いてみたところ、実は「日本では厳密な定義は決まっていないんですよ」とのことだった。

クラフトビールについては、その歴史を振り返ってみるのがわかりやすい。1994年にビールの製造免許を取得するのに必要な最低製造数量が引き下げられたことによって、全国的に小規模な工房でつくられる「地ビール」が誕生。「そういえば、旅行に行ったときに現地のお土産屋さんで買ったなぁ」という思い出をお持ちの人も多いだろう。でも、人気は思うように続かなかった。

「今のようにネット販売などが普及していなかったので、現地に赴いて買うしかなく、また酒造のプロがつくっている地ビールはごく僅かだったこともあり、おいしくないものが多かったそうです」と鈴木さんは語る。そのため、2000年代に多くの地ビール醸造所が淘汰されることとなった。

そして、現在まで生き残った美味な地ビールがいつしか「クラフトビール」と呼ばれるようになったのである。その定義こそ曖昧なものの、鈴木さんいわく「『造り手の感性と創造性が楽しめるビールがクラフトビール』と考えるのがわかりやすいと思います」とのこと。

なぜ今、デキる人はクラフトビールを飲む?

お店で席に座ったら「とりあえず生ビールちょうだい!」とビールをオーダーしていないだろうか? 今、デキる人はどうしているかというと……「今日は〇〇な気分だから〇〇ビールをください」と実にスマート。まるでワインを選ぶように、好みのクラフトビールを注文しているのだ。

その理由は、クラフトビールが一杯ごとに個性豊かな味わいを楽しめるから。昔から日本でビールというと「ピルスナー」と呼ばれる種類のほぼ一択。でも、世界には100種以上ものビールがある。大きくビールは発酵過程で「上面醗酵(エール)」と「下面発酵(ラガー)」の2種に分けられ、その中でもエールの「スタウト」「ペールエール」……、ラガーの「ピルスナー」「シュバルツ」……といった具合で、ビールのスタイル(種類)が分かれているのだ。

主要なスタイルは以下の通り。
・ピルスナー
・ペールエール
・ベルジャンホワイト
・スタウト

クラフトビールは小規模醸造でつくられるとあって、日本で主流だったピルスナーだけでなく、幅広いスタイルや、オリジナリティのある味わいを追求できるのが一番の魅力。だからこそ、ワインのように自分の好みや気分に合わせてビールを選ぶことができるという訳だ。

仕事仲間やクライアントとの飲み会のとき、そうやってクラフトビールを注文することができれば、きっと周囲から一目おかれるに違いない。次回は、そんな奥深いクラフトビールの魅力をより一層、引き出せるツウな飲み方について紹介したい。