「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは「順調にみえる投資案件の危険サインとは」です。

  • 順調にみえる投資案件の危険サインとは※写真はイメージ

元本保証や高利回りを謳う投資案件はそもそも危険

投資・資産運用に関する情報を調べてみると、多くの案件を見つけることができます。良い案件に出会えることもあるでしょうし、悪い案件に遭遇してしまうこともあるでしょう。

パッと見で案件の良し悪しを判断できれば良いのですが、そう簡単ではありません。懲りずに失敗してしまうこともしばしば。失敗しても、それはそれで勉強代ですね。

なかなか見極めの難しい投資・資産運用案件ですが、「これはだいたいダメなケース」と思えるものもあります。

例えば、元本保証や高利回りを謳う投資・資産運用案件です。

元本保証を謳う行為は、そもそも違法です。出資法で、不特定多数の出資者(投資家)に対して元本保証を約束することは違法とされており、元本を保証してお金を集めることができるのは、認可を受けた金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、郵便局)等だけです。

広告や資料に元本保証を明記してはいけませんし、暗に説明しても違法とされています。 ですから、「元本保証!」と堂々と謳っている場合、「この運営者や紹介者は無知なんだな」と思ってスルーするのが良いでしょう。最近は、Facebookのグループに投稿したり、急にメッセンジャーなどで投資勧誘をしたりしてくる方が多い印象です。

また、高利回りを謳う投資・資産運用案件にも注意が必要です。実際に高い利回りを維持できている案件がゼロとは言い切れませんが、多くの案件は実際には資金が運用されていないポンジ・スキームでしょう。

ポンジ・スキームとは、投資資金を運用し、その利益を投資家に還元するなどと謳っておきながら、実際には運用しない、というスキームのことを指します。

投資詐欺でよく行われるスキームで、最初は利益の還元があったように見えても、後から参加する後発投資家から集めたお金を、以前から投資している先行投資家に渡しているだけなので、遅かれ早かれ破綻することになります。

このポンジ・スキームをくり返している方もいますが、投資詐欺は立証が難しく、紹介料や運用益の配当という形で金銭を受け取っている人が多いため、逮捕されることは稀なのでしょう。こういうスキームがあり、悪用している方たちがいることを知っておいてください。

好条件の追加情報が出てきたら危険のサイン

一見すると順調にみえる投資・資産運用案件でも、「実はポンジ・スキームだった」ということもあれば、「途中から狂い始めた」ということもあります。

投資や資産運用と聞くと、「ATMのようにお金を入れれば(投資すれば)、またお金が増えて出てくるもの」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。投資・資産運用も事業です。事業ですから、成功することもあれば失敗することもあるのが当たり前です。100%うまくいくことなんて、基本的にはないわけです。

「この案件、ちょっとおかしいかもな」

と途中から感じる瞬間があります。それは例えば、やたらと好条件の追加情報が出てきたときです。

・期日内に投資した人には、通常より配当をプラスして還元
・●名限定で、レバレッジ取引が可能

など、期限や人数制限を設けて追加投資を煽るような場合は、危険のサインと見ても良いでしょう。このようなケースは、特にポンジ・スキームで駆け込み投資を募る場合に多いです。「お金を集められるうちに集められるだけ集めよう」という狙いですね。

運営者や紹介者のレスポンスが悪くなるのも危険のサイン

もう一つ、危険のサインとして挙げられるのは、「運営者や紹介者のレスポンスが悪くなる。あるいは音信不通になる」というサインです。

音信不通になったら、もうほぼダメですね。投資したお金が返ってくることはないでしょう。

もしも怪しい気配のする投資・資産運用案件にすでに投資してしまった場合は、できることなら元金をなるべく早く出金しておくことをオススメします。元金が回収できれば、あとは遊びといえば遊びですから、損をすることはありません。

仮にその案件が予想以上に長く続いたとしても、「儲け損ねた。もっとお金を入れて複利で回しておけば……」と後悔しないことです。たらればを語っても仕方ありません。「損をせずに済んで、少し利益を得られた。次に活かそう」と思えば良いと思います。