テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、インドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、自身の実体験をベースに、数多くあるコミュニティの中で、価値があるのはどういったものかについて語ります。

  • 価値のあるコミュニティってなに?


オンラインサロンやセミナーって、本質的に価値はあるの?

起業家向けのオンラインサロンや起業セミナー、起業家養成講座は、ネット上や全国各地で多く開催されています。オンラインサロンやセミナーに参加することで、起業後の成功確率は多少上がるのかもしれません。しかし一方で、「こんなオンラインサロンやセミナーだったら、退会しても損はなさそう」と感じるものもあります。

・起業経験のないコンサルタントが講師をしている
・講師の著書を買わされてAmazonで☆5のレビューを書かされる
・精神論ばかり説いてくる新興宗教的講師
・ただの講師の自慢大会

こういうオンラインサロンやセミナーは、ちょっと怪しさを感じてしまいますね。そして参加者の方も、残念な思考だったりします。

「有名人のオンラインサロンに入れば、自分も成功者の仲間入り」
「あの人が言っていることだから、きっと間違いない」
「すごそうな人たちと出会えたから、自分も成功できそう」

オンラインサロンやセミナーに参加するより、まずはリテラシーを高めることが必要そうですね。

体験や経験を共有するコミュニティなら価値あり

講師の自慢大会や一方的な価値観の押し付けに、お金を出してまで付き合うのはご免こうむりたいですが、参加者同士が体験や経験を共有するコミュニティであれば、そのコミュニティに価値はあると思います。

ちなみに体験と経験の違いは、いろいろと解釈がありますが、体験は「主観的に感じたこと」、経験は「身についたこと」と私は整理しています。

うまくいったアイディアや方法を共有したり、それに対して意見交換をしたりすることは価値があります。それによって明日からの自分の行動が変わるかもしれませんし、行動はやがて結果を変え、人生を変えますからね。

そのきっかけをくれるコミュニティであれば、お金を出す価値は十分にありますし、そのコミュニティに参加し続けたいと思えるでしょう。

海外不動産投資の実体験者が集まる「ASEAN不動産研究所」

私が実際に参加している唯一のオンラインサロンは、「ASEAN不動産研究所」というオンラインサロンです。エイリックという不動産情報ポータルサイトを運営している田中圭介さんが主催しています。田中さんは、海外不動産協会(OREA)という協会の理事長もされている方です。そして参加者は、みなさんASEAN各国で不動産投資や事業をされている方々です。

「こうしたら入居付けがうまくいった」
「デベロッパーはこういう風に探すと良い」
「この国では、こういう可能性がある」

など、具体的な話が飛び交っていますので、極めて有意義だと思います。海外不動産は、ブローカー的な怪しい人も多く存在する世界ですので、バイアスなしで情報交換できる場はなかなかありません。オンラインサロンでの交流だけでなく、ときどきオフラインで直接交流できるのも実に楽しいです。

M&Aのアドバイザーや経営者たちが集まる「スモールM&A研究会」

オンラインサロンではありませんが、私が参加しているコミュニティに「スモールM&A研究会」という会があります。つながりバンクというスモールM&Aに特化した会社の齋藤由紀夫さんが主催している研究会です。こちらも、定期的にオフラインで勉強会が行われており、ゲスト登壇者がバラエティ豊かで楽しいコミュニティです。

ノンネムシートの状態(社名や社名を特定できる情報が伏せられた状態)でM&A案件の情報共有がされることもあり、このコミュニティをきっかけに成立した案件も多くあるでしょう。

実際に仕事に活かせる知識やノウハウ、コミュニティを得られることには大きな価値があります。人と人とのつながり(つながり経済)だけで最小限の仕事をしている私にとっては、とても有意義でありがたい存在です。

次回以降も、実体験をベースに、起業や副業・複業、海外進出、テレワークなどをテーマに役立つ情報をご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solution(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。