「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながらお伝えいたします。

休業した事業者等への支援

  • 第62回「中小企業等への各都道府県からの給付金について解説」

前回のコラムのテーマでもある「特別定額給付金」は、国民1人1人への給付でした。今回のコラムは、事業を行っている方々への給付についてです。

申請することで、国から支給される「持続化給付金」については、TVや新聞等でも詳しく伝えられていますが、都道府県から支給される給付については、知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、新型コロナウイルスによって、余儀なく休業や営業時間の短縮を行った事業者等に対して、都道府県が行う支援について調べてみました。

都道府県から事業者等への給付金

都道府県では、独自で事業者等を支援するために、協力金や支援金等を支給する制度を創設しています。いくつかの地域をピックアップしたので見てみましょう。

秋田県「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」

申請受付期間:2020年5月7日(木)~6月15日(月)
支給額は、1事業者あたり30万円(県内に所在する事業所が複数事業所の場合60万円)

秋田県公式サイト

東京都「感染拡大防止協力金」

申請受付期間:2020年4月22日(水)~6月15日(月)
支給額:1事業者あたり50万円(2事業所以上で休業等を行った場合は100万円)

東京都公式サイト

新潟県「休業要請(4月24日~5月6日)に係る協力金」

申請受付期間:2020年5月11日(月)~6月30日(火)
支給額:1事業者あたり10万円

新潟県公式サイト

福井県「中小企業休業等要請協力金」

申請受付期間:2020年4月30日(木)~5月27日(水)
(県の休業等の要請期間が延長した場合は、受付期間を延長する予定)
支給額:1事業者あたり50万円(個人事業主の場合は20万円)
ただし、食事提供施設で営業時間短縮に応じた事業者は、1事業者あたり25万円(個人事業主の場合は10万円)

福井県公式サイト

兵庫県「休業要請事業者経営継続支援金」

申請受付期間:2020年4月28日(火)~6月30日(火)
支給額:1事業者あたり最大100万円(個人事業主の場合は最大50万円)
    給付額は、対象種別(遊興施設、学習塾、ホテル・旅館等)によって異なります。

兵庫県公式サイト

広島県「感染拡大防止協力支援金」

申請受付期間:2020年4月30日(木)~6月1日(月)
支給額:1事業者(雇用者がいる)あたり最大30万円(2店舗以上有する場合は50万円)
雇用者がいない事業主は最大20万円

広島県公式サイト

香川県「感染拡大防止協力金」

申請受付期間:2020年5月7日(木)~6月12日(金)
支給額:1事業者あたり最大20万円(個人事業主も同額)

香川県公式サイト

佐賀県「佐賀型店舗休業支援金」

申請受付期間:2020年5月7日(木)~5月31日(日)
支給額:1事業者あたり15万円(個人事業主も同額)

佐賀県公式サイト

都道府県の支給額は、全国一律ではなく、各都道府県で異なります。また申請受付期間も異なりますので、支給の対象になる方々は、ご自身がお住まいの都道府県のホームページ等でご確認ください。

都道府県から事業者等への支給は課税扱い

都道府県から事業者等への協力金や支援金等は、課税扱いとなります。ちなみに、持続化給付金も課税扱いです。 ただし、支給された金額に税率をかけて税金を計算するのではなく、支給された金額を収入に含めて、その金額から費用を差し引いた「所得」に対して課税されます。

例えば、持続化給付金100万円と都道府県からの協力金50万円が支給されたとします。

・2020年の事業収入(売上等) : 200万円

持続化給付金 : 100万円
協力金 : 50万円

収入の合計 : 350万円

・2020年の費用200万円

350万円-200万円=150万円が所得

したがって、150万円に対して課税されます。 ただし、2020年の費用が収入よりも多ければ収支は赤字となりますので、課税されることはありません。

終わりに

都道府県から事業者等への支援の内容を見てみると、それぞれの地域独自の支援をされていることがわかりました。例えば、上記にも記載した香川県では、協力金の支給対象の中に「観光客の多いうどん店の休業の協力依頼にご協力いただいた中小企業者及び個人事業主」と明確に記載しています。地域独自の産業や観光を大事にされているなと感じました。

非常時における国の新しい制度は、マスメディアで取り上げられることが多いので情報として収集するのは簡単ですが、地域ごとの新しい制度等は自ら意識的に情報収集を行わないと、気づいたときには申請受付等が終了しているということもあります。

お住まいの都道府県や市区町村のホームページや公式のSNSでは、私たちの暮らしをサポートしてくれる情報が記載されていますので、確認してみましょう。