「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

地方で日帰り旅行を楽しむ

みなさんは、旅行はお好きですか? 旅行といっても、海外旅行、国内旅行、そして日帰り旅行など様々な種類があります。

東京の近くには、箱根、伊豆などの温泉地がありますが、週末は、多くの旅行者で賑わい、ゆっくりと過ごすことができなかったので、だんだんと足が遠のいてしまいました。

現在住んでいる地域の周りにも温泉地があり、「日帰り入浴」ができる温泉旅館や温泉施設が多く、週末には温泉に入りに日帰り旅行を楽しんでいます。観光客を呼び込むために、様々な工夫をしています。

旅行者がその温泉地で様々な温泉を楽しみたい場合、チケットなどを購入すると、温泉旅館や温泉施設など複数の温泉に入浴できるサービスを行っています。この場合のチケットは、通常の日帰り入浴料金より割引されたり、数カ月の有効期限があるので何度も使えたり、お得なチケットを販売している温泉地もあります。地方に移り住んで、日帰り旅行を楽しむようになりました。

日帰り旅行1回行くといくらかかるのか?

観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、

①2017年の日本人国内旅行消費額は、21兆1,130億円となり、そのうち、宿泊旅行が16兆798億円、日帰り旅行は5兆332億円となっています。国内旅行消費額の約4分の1は、日帰り旅行で消費されています。

②2017年の日本人国内延べ旅行者数は、6億4,751万人となり、そのうち、宿泊旅行が3億2,333万人、日帰り旅行が3億2,418万人であり、日帰り旅行者数が、宿泊旅行数を上回っています。日帰り旅行は、「日帰り観光バスツアー」などもあり、気軽に旅行を楽しめるのも、旅行者数が上回った理由の1つでしょう。

③2017年の日本人国内旅行の1人1回当たり旅行単価は、宿泊旅行が49,732円、日帰り旅行が15,526円となっています。

  • (表1)
    ※出典「旅行・観光消費動向調査 平成29年年間値(確報)」(国土交通省観光庁)を加工して作成
    ※調査対象:日本国内居住者であり、住民基本台帳をもとに無作為に抽出した約2万6千人を対象としている

地域別・日帰り旅行の平均回数と旅行単価

日帰り旅行を地域別で見てみると、旅行平均回数においては、最も回数が多いのは中部地域で2.9942回、次に近畿地方で2.8895回、3番目は中国地方で2.6213回となり(緑色で表示)、東日本よりも、西日本の人の方が、旅行に行く回数が多いようです。また、沖縄は1回も満たないという結果が興味深いです。

沖縄の人が旅行に行く回数が少ないのは、自らが住む場所に、素晴らしい観光資源があり、旅行気分を味わえているのかもしれません。1人1回当たりの旅行単価は、最も高いのが北海道で16,798円、次に近畿地方で16,262円、3番目は中部地方で16,048円となっています(赤色で表示)。

旅行平均回数も、旅行単価も上位である中部地方と近畿地方の人は、他の地域の人よりも日帰り旅行によく行き、1回の旅行にかける金額も高いことがわかります。

  • (表2)日帰り旅行の平均回数・旅行単価など(2017年)
    ※出典「旅行・観光消費動向調査 集計表(確報)2017年1~12月期」(国土交通省観光庁)を加工して作成
    ※調査対象:表1と同じ

終わりに

現在住んでいる地域の書店には、全国で発売されているガイドブックの他に、その地域の企業が発行している独自の情報雑誌があります。販売している地域も、情報が載っている地域に限られています。

「有名な観光地」や「有名なお土産の紹介」だけでなく、地元の人も知らないような「小さなカフェ」や「町ごとで行っているイベント」などの情報も掲載されています。日帰り旅行する際には、このような地元の情報誌を購入して情報収集することをお勧めします。

また、地方自治体の観光課などからその地域の観光パンフレットを郵送していただける場合もありますので、問い合わせしてみるとよいでしょう。

東京在住の頃は頻繁に行かなかった日帰り旅行も、現在住んでいる地域では、少し遠くの温泉地などに行き、心身ともにリフレッシュしています。みなさんも、仕事、家事、子育てや介護などで疲れを感じた時に、ふらっと日帰り旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。