幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る“脇役=バイプレイヤー”にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。第61回は俳優の勝村政信さんについて。2021年冬からまた活躍が決定している彼について、掘り下げていこうと思います。ここ数年、振り返れば必ず作品に存在しているまさに"ザ・バイプレーヤー"の勝村さん。それなのに一切、視界情報の邪魔になることがない摩訶不思議な存在感。これは天賦の才能です。

デビュー以降、出演作が途切れないレジェンド

勝村政信

勝村さんは新年早々、テレビ東京にめちゃくちゃ愛されている。なんせ出演作が2作品も続くからだ。まずは1月25日(月)スタートの『アノニマス~警視庁"指殺人"対策室~』で、刑事役に。ドラマ主演が久々となる香取慎吾さんと、今、最も問題視されている"SNS誹謗中傷"に焦点を当てて、捜査を行う。まだ1話目も見ていないのに、上記で自分が書いた紹介文の「香取」「SNS」「刑事」というワードを拾うだけで面白そうだし、飄々とした雰囲気の勝村さんが脳裏に浮かぶ。

そして同じくテレ東の『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』では、1月8日(金)放送の第1話にゲスト出演予定だ。こちらの作品、春には奇跡と言われている劇場版も公開を控えている人気作。勝村さん自身も年代的には、主演軍のちょうど後輩くらいだ。彼が各所でバイプレイヤーズとして活躍している姿を見ると、いずれこの作品を継承していく姿が目に見えるよう。

俳優が1クールで2作品のドラマに出演することは珍しいことではない。でも同じテレビ局に出演となると、ゲストでも稀有なことだ。でもこの現象を"珍しい"と思わせないパワーがあると私は思っている。

それは数年前のこと。もう番組名もすっかり忘れてしまったのだけど、勝村さんがとあるトーク番組に出演していた。ベテラン俳優から「役がもらえなかった」などの話を司会者は引き出したかったらしく、その手の質問を繰り返していた。ただ勝村さんは腕を組んだまま、あのちょっと困ったちゃんのような、眉間にシワを寄せながら

「……(デビューから)仕事が切れたことがないんですよね……」

そう言って、スタジオの笑いをとっていた。この1シーン以来、彼を見る目が変わったのである。

現代の強運な生きざまは"政信"に宿る

とても見えないが、現在57歳。バブル期も経験をして、世代的には下積み苦労をしていることがデフォルトだ。それが「仕事がない」という時期を知らずにいるとは、ものすごい強運の持ち主ではないか。

いわゆる"しがらみ"のない事務所に所属していることも、仕事が途切れない理由の1つかもしれない。でもそれだけで仕事から次から次へと、回ってくるようなゆるい世界ではないことを周知の事実。

他にも彼は大のサッカーファンなのだが、好きだと公言をすればテレ東で『FOOT×BRAIN』というサッカー番組で、司会を担当している。局アナも一緒なので、見ていると進行はアナウンサに任せて、とても自由に楽しそうにサッカー愛を語っている。もうテレ東に愛されているというよりも、密かに婚姻関係でも結んでいるのかもしれない。

では彼がなぜ"仕事から愛されおじさん"でいる理由は何だろうと、会ったこともない人を思い続けていると、名前の字面が浮かんだ。苗字には『勝』の文字が付いて縁起が良さそうだ。そして名前の『政信』。まさのぶ。この名前と同じ俳優がいることを思い出してほしい。以前、この連載でも絶賛した『安藤政信』だ。珍しい名前なのに、文字まで同じである。

思えば、安藤政信も若手で女性が全員平伏すような、高ビジュアルを武器にブレイク。そしてしばらく芸能界で姿を見なくなったと思いきや、かっこよさはそのままに最近また作品が途切れることなく、演技を続けている。安藤世代としては、再び彼を拝めるだけで嬉しいのだが「これも実力の世界なのだろう。安藤くんには、世間に隠して置けない才能があったんだ」と思っていた。

いや、ひょっとして仕事が回ってくる理由、名前にある……? そう思うと、今はまだ完全空想の世界にいるエアベビーだけど、リアルベビーが誕生したらなんとしても「政信」と命名したい。