ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第56回は「#鹹豆漿(シェントウジャン)」。

  • 東京豆漿生活「鹹豆漿+肉鬆」(620円)

    東京豆漿生活「鹹豆漿+肉鬆」(620円)

おぼろ豆腐のような豆乳スープ

タピオカミルクティーに始まり、台湾カステラ、台湾唐揚げなど、次々とブームになっている台湾グルメだが、最近じわじわ注目が高まっているのが「鹹豆漿」(シェントウジャン、またはシェンドウジャン)だ。

「鹹」はしょっぱいという意味で、「豆漿」は豆乳。つまり、塩味の豆乳だ。日本では「豆乳スープ」という表現をされることが多いが、温かい豆乳を酢で固めていて、スープというよりおぼろ豆腐のような食感。酢の酸味も利いている。これに干しえびや油条(ヨウティヤオ)と呼ばれる揚げパンなどをトッピングして食べる。鹹豆漿は、台湾では朝ごはんの定番メニュー。台湾では朝食も外食にする人が多く、鹹豆漿を出す専門店も多い。

日本でも台湾グルメブームと相まって、鹹豆漿を味わえるところが増えてきた。専門店もあるし、コンビニ商品にも登場。見た目は地味だが、じわりと温まる素朴な美味しさにハマる人が増えている様子。豆乳のヘルシー感もうけているようだ。Instagramの「#鹹豆漿」の投稿数は約2.8万件、カタカナ表記の「#シェントウジャン」も6000件以上ある。

行列の人気店! 東京豆漿生活

  • 東京豆漿生活「鹹豆漿」(500円)

日本で鹹豆漿を食べようと思ったら、まず名前が挙がるのが、東京・五反田にある台湾式朝ごはん専門店「東京豆漿生活(トウキョウドウジャンセイカツ)」。

店主の田邊与志久さんが、奥さんが台湾人であったことをきっかけに2019年2月にオープン。店名の「#東京豆漿生活」のタグが付いたInstagram投稿だけで7000件以上ある行列のできる人気店。営業時間は9~15時(なくなり次第終了)。メニューにはシンプルな豆乳や台湾系のパンなどもあるが、一番人気は「鹹豆漿」だ。

  • 鹹豆漿はおぼろ豆腐のような食感

酢の入った調味料でゆるく固めたやさしい味わいのスープに、干しえびや、油条、ネギがトッピングされている。プラス120円で肉鬆(ロウソン)と呼ばれる台湾風の肉そぼろもトッピングできる。

「厳選した国産大豆を使い、毎朝店内の『豆漿製造室』でしぼりたての豆漿(豆乳)を使っているのがこだわりです。具材も調味料もすべて店内で手作りしています。スーパーでは売っていないような濃度の濃い豆乳なので、豆本来の甘みや風味を楽しめると思います」と広報担当の伊藤満貴さん。

手作りらしい自然な味わいで、食べるとほっとする味。Instagramでは「味が優しくてどんどん食べちゃう」「お酢の酸味と豆乳のまろやかさがたまらなく癖になる味」など、絶賛する声が多数上がっている。

客は日本人、台湾人が半々。海外に気軽に行けない今、現地の味を懐かしんで味わう人も多いようだ。2020年からはオンラインショップでの販売もスタート(鹹豆漿セット4人前2160円)。自宅でも気軽に人気店の味を楽しめる。

トッピングが多彩!春水堂の「鹹豆漿」

  • 春水堂「鹹豆漿」(700円 ※全国18店舗にて販売)

全国に19店舗を展開する「春水堂(チュンスイタン)」は、台湾・台中で1983年に創業した台湾カフェ。タピオカミルクティー発祥の店でもあり、タピオカブームの火付け役として知られる。

そんな同店ではフードメニューのひとつとして「鹹豆漿」を販売している。ちなみに台湾の店舗では「鹹豆漿」は提供しておらず、日本で独自に開発したものだという。

「台湾の朝ごはんとして名物の鹹豆漿ですが、お店によって固さや味付けが異なります。日本のみなさんにお召し上がりいただくにはどのお店のものに近づけたらよいかと、シェフと一緒に数店舗も食べ歩いて作った味です」と春水堂を運営するオアシスティーラウンジ広報の工藤芽生さん。

豆乳スープは春水堂オリジナルのあっさりとした鶏ガラスープをベースにしたやさしい味付け。その上に、高菜とパクチーをトッピング。胡麻油と黒酢がかかっており、黒酢のコクや香りが利いている。さらに別皿で蒸し鶏・パクチー・味玉の3種のトッピングが付くのもユニークだ。

Instagramでは「#春水堂」のタグが付いた投稿が約20万件あり、鹹豆漿の写真もある。「たまに無性に食べたくなる」「日本にいながら台湾気分」など好評だ。

なお、渋谷マークシティ店では、平日の11時まで限定で「台湾モーニング」メニューを提供しており、ドリンクとのお得な「鹹豆漿セット」(550円)も食べられる(※3種の別添トッピングはなし)。

コンビニで買える丸美屋食品工業のカップスープ

  • 丸美屋食品工業「台湾式豆乳スープ シェントウジャン」(200円)

コンビニでも鹹豆漿を見かけるようになった。丸美屋食品工業では2021年7月より、鹹豆漿を再現した「台湾式豆乳スープ シェントウジャン」をコンビニ限定で販売中。日本での鹹豆漿人気をうけ、お店に行かずとも簡単・手軽に話題の「鹹豆漿」が楽しめる商品をカップスープとして発売した。

商品は「豆乳おぼろ具材(レトルト)」とほんのり酸味が利いた後味のよい「具入りスープ」のセット。同社の独自製法で固めた豆乳おぼろは、なめらかでとろけるような食感。香ばしい干しえびと高菜漬けの旨味に豆乳おぼろがほどよくとろけることで、スープにコクと食べ応えが加わり、鹹豆漿らしい味わいが表現されている。

「鹹豆漿を初めて食べる方にも美味しいと思っていただけるように、本来の鹹豆漿のやさしい味わいを活かしながら、日本人に合う美味しさに仕上げました。朝食やパン・おにぎりと一緒にランチにもおすすめです」(丸美屋食品工業マーケティング部 商品担当者)

Instagarmでは「とってもおいしいのでリピ決定」「お湯を入れて15秒でできるのが便利」などの声が上がっている。

素朴な味わいに和む鹹豆漿。現地スタイルで朝ごはんに食べるのもよし、軽めのランチにもよし。季節の変わり目で、胃腸が疲れているときにもおすすめだ。