ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第46回は「#マリトッツォ」。

  • ふわふわのブリオッシュにクリームがたっぷり! マリトッツォの人気が急上昇

マリトッツォとは、イタリアの首都ローマ発祥の伝統的なスイーツ。ふわふわと柔らかいブリオッシュ生地に、生クリームをたっぷりサンドするのが基本形だ。現地イタリアでは、カフェやバールでコーヒーと一緒に朝食として楽しむ人が多いという。

今年に入って、日本でもマリトッツォの人気がじわじわと高まっている。ころんとした見た目がかわいらしく、SNS映えする! と話題になり、Instagramのハッシュタグ「#マリトッツォ」をつけた投稿は2021年4月上旬時点で約2.1万件。ちなみに、同3月上旬に検索した際は約1万件だったので、1カ月の間で投稿数が倍増しており、人気の勢いがうかがえる。

Instagramには、カフェやベーカリーのメニューを楽しんでいる様子や、自宅で手作りしている様子などが投稿されている。生クリームのほかにフルーツを挟んでいるものも多く、特に見栄えが良くクリームと相性の良いイチゴがマリトッツォの定番トッピングのようだ。

オレンジ風味の生地がポイント「EATALY HARAJUKU」

2020年6月、東京・原宿駅前の商業施設・ウィズ原宿にオープンした本格イタリアンレストラン＆マーケットプレイス「EATALY HARAJUKU(イータリー ハラジュク)」は、定番2種と期間限定2種のマリトッツォを販売中。イタリア・ピエモンテ州産のオーガニックの小麦粉にオレンジピールを加えて焼き上げた自家製のブリオッシュ生地に、甘さ控えめのクリームをたっぷり挟んでいる。

  • EATALY HARAJUKUの期間限定マリトッツォ。左から「マンデリン」「ピスタチオ」(各520円)

「生地に柑橘系の香りが加わることで、食欲を促進するほか、甘さのニュアンスを変えてくれるので飽きずに食べられます。クリームが重くならない、固くならないように注意し、口当たりの軽さを重視しています」(イータリー・アジア・パシフィック マーケティング本部 本部長 関谷悌輔さん)

Instagramには「ブリオッシュがしっとり、もっちり」「見た目も可愛く、クリームたっぷり! 」と称賛のコメントが多数。また、店頭でマリトッツォを見て多くの人が「かわいい! 」のほかに「大きい! 」と歓声を上げるという。「SNSで見た印象に対して、実物は大きさのインパクトがあるようですが、食べてみると意外にあっさりと食べられるので、そのギャップに喜ばれているコメントをいただくことも多いです」(関谷さん)

特に人気があるのが、イチゴを練り込んだクリームにカットしたイチゴとミントの葉をトッピングした「フラーゴラ」(480円)。生クリームのみのシンプルな「パンナ」(420円)もリピーターが多く、根強い人気があるという。現在は6月末までの期間限定で、フレッシュなリコッタチーズを使った「マンデリン」と、クラッシュしたピスタチオをトッピングした「ピスタチオ」の2種類も販売中だ。

食べ飽きないミルキーなクリーム「ミルクベーカリー」

東京・原宿ほか全国4店舗展開している「生クリーム専門店ミルク」では、今年3月から新ブランド「ミルクベーカリー」がスタート。「生クリーム専門店にしかできない、本当においしい生クリームパン」にこだわった商品を展開しており、そのラインアップに2種類のマリトッツォがある。

  • (左から)ミルクベーカリーの「マリトッツォストロベリー／マリトッツォスタンダード」(430円／390円)

プレーンの「マリトッツォスタンダード」と、イチゴを練り込んだクリームを使用した「マリトッツォストロベリー」の2種類。一般的にマリトッツォで使用するパン生地はふんわりとした食感のブリオッシュだが、同店ではクリームにからみつくよう、もっちりとしたマリトッツォ専用のパンを使用している。

自慢の生クリームは、北海道根釧地区の濃厚生クリームを使用。「とにかくクリームの量にこだわった商品で、たくさん食べてもしつこさがありません。パンに負けないように、隠し味程度にカスタードを入れてコクを出しています」(同店スイーツディレクター 岩井さん)とのこと。

Instagramに投稿されている写真を見てみると、もともと同店の生クリームのファンだったという人も多く、マリトッツォについても「クリームがくどくないから何個でも食べられる」「専門店だけあって生クリームがおいしい! 」と、特にクリームの味を絶賛するコメントが多く見られた。

思わず笑顔になる可愛さ! 「フルーツカフェ pomp」

東京・人形町のフルーツパーラー「フルーツカフェ pomp」が今年3月から販売を開始したのは、クマの形が愛らしいマリトッツォ、その名も「くまりとっつぉ」。丸みのあるブリオッシュ生地に、クマの耳・目・鼻部分がデザインされており、目が合ったら思わず笑顔になってしまいそうだ。

  • フルーツカフェ pompの「くまりとっつぉ」(各760円)いくつも並べるとさらに可愛い!

「最近マリトッツォが注目されてきましたが、他と同じものを作っても面白くないので、『マリトッツォをクマにしてみたら可愛いのではないか』とパティシエから提案がありました」と話すのは、同店代表の影澤智子さん。以前からSNS等で人気だった「キャラクターちぎりパン」などをヒントに、「くまりとっつぉ」のアイデアが生まれたという。

もちろん見た目だけでなく味にもこだわりが。パン生地には北海道産小麦「春よ恋」100%の強力粉を使用し、北海道産の純生クリームをたっぷり挟んでいる。トッピングにはその日仕入れた高級イチゴを使用。高級フルーツ店で1粒1,000円以上する希少なイチゴを使用するときもあるのだとか。

同店のInstagramで「くまりとっつぉ」の写真をアップしたところ、「かわいい! 」と問い合わせが殺到。ギフトとしても喜ばれており、現在は完全予約制のテイクアウトのみで販売している。「気持ちが落ち込むこんな時期だからこそ、皆さんが笑顔になれるような商品をご提供していきたいと思っております」(影澤さん)と意気込んでおり、今後も新しいマリトッツォの開発を続けていくそうだ。

見た目の可愛さはもちろん、ボリューミーなのにぺろりと完食できる食べやすさもマリトッツォの魅力。コーヒーブレイクのおともに、ひとつ味わってみては？