メールの返信をするときに、件名を書き換えるべきか悩む人も多いようです。「Re: 」だけでは冷たい印象を受ける。あるいは、件名を書き換えた方が、結論が分かりやすかったり、気持ちが伝わったり。その理由はさまざまですが、いずれにしても件名を書き換えることが、相手への配慮につながったり、効率を高めたりという思いによるものです。もちろん、相手への配慮が円滑なコミュニケーションを生み、効率の面でもプラスに作用するのは言うまでもありません。しかしながら、メールの件名を書き換えることが、必ずしもそうした効果に結びつくとは限らないのです。

すぐに開封されたかもしれないメールが

メールの返信ボタンを押すと、件名に自動的に表示される「Re: 」の文字。これが付いていることによって、相手は返信メールだと判断することができます。特に書き換える必要はなく、そのまま送っても失礼にはあたりません。むしろ、書き換えてしまえば、返信メールだということが分からなくなってしまいます。

返信ということは、それ以前に相手からメールが来ています。依頼や質問、報告や相談など、相手は何らかの目的を持って送っているはず。例えば、気になるサービスを見つけ「〇〇サービス資料送付のお願い」というメールを送ったとします。興味・関心が高ければこそ、返信が来たら真っ先に確認したくもなるもの。ところが、「お問い合わせありがとうございます」のように件名を書き換えてしまえば、相手の目には新規メールのように映ります。他の複数のメールに紛れ開封が後回しになってしまうかもしれません。待ち望んだ返信であるならば、すぐに開封されたかもしれません。件名を書き換えることが、意図せず相手の優先順位を下げることになってしまう可能性があるのです。

その一言は本当に適切!?

元の件名は書き換えることなく、【お礼】【お詫び】のような一言を追記した件名を目にすることもあります。相手に自身の思いを伝える配慮のようでもありますが、果たして本当に効果的なのでしょうか。

依頼のメールであっても、仕事上、断るケースもありますよね。しかしながら、件名に【お断り】とは書きづらいものです。お断りであっても、せめて依頼をしてくれたことへの感謝から【お礼】と追記したらどうでしょう。相手が件名だけを見て、引き受けてもらえると解釈してしまっても不思議ではありません。本文を読んで断りであることに気づけば、一度は期待した分、きっと落胆も大きくなるはず。追記された一言を見てどう解釈するかは相手次第。真意が伝わらないのであれば、混乱を招く一言にもなりかねません。

仮に、追記した一言が適切だったとしても、その適切な言葉選びに時間を費やしているのであれば考えものです。一日に1、2通しかメールがないのであればともかく、数十通にも及ぶ返信の一つ一つに適切な言葉を探していたとしたら、大きな時間のロスにもつながります。

配慮のつもりが相手の負担に

件名に一言を追記した際の弊害は他にも。例えば、件名に「〇〇様」と自分の名前が書いてあり、返信に悩んだことはありませんか。返信の際、「様」を削除すべきか、あるいは相手の名前に書き換えるべきか。本題とは関係のないところで頭を悩ませることが、効率を落とします。【お礼】や【お詫び】といった一言も同様です。そのメールに再び返信しようとした相手が、「件名はこのままでいいだろうか」「自分も適切な一言を添えて返信すべきだろうか」と考えてしまうかもしれません。配慮のつもりの一言が、かえって相手の負担を引き起こすことにもなり得るのです。

限られたフレーズでは伝わらない

原則として、返信をする際に件名を書き換える必要はありません。配慮のつもりが相手に誤解を与えてしまったり、心理的な負担になったりするのは本意ではありませんよね。件名は、メールが何のために送られたのか、その主題が伝わることを優先すべき。メールで感謝やお詫びなどの気持ちを伝えたいのであれば、件名ではなく、本文でしっかりと表現すればよいのです。限られた数文字、ましてやたったの2、3文字で結論を正しく伝えたり、気持ちを的確に表現したりするのは困難なのですから。