為替レートは買いたい人と売りたい人の需給のバランスのとれた価格を表したもの

為替というと、主に外国為替を指すことが多いようで、2国間の通貨の交換を指します。例えばアメリカに旅行をするときにドルに両替する、というとわかりやすいでしょうか。

為替レートは買いたい人と売りたい人の需給のバランスのとれた価格を表したもので、銀行間の取引によって決定されます。ちなみにファンダメンタルズによって為替の需給バランスは変わると言えます。

経済成長率や経済指数、物価指数、金融政策のほか要人発言なども影響してきます。特に米国雇用統計はドルを見ていく上で重要な指標です。雇用統計や失業率は毎月発表され、調査の対象が幅広いことが特徴なので重要だといえるでしょう。金融政策というと、例えば黒田日銀総裁が打ち出した異次元の金融緩和は円安に進ませるための政策とも言えるわけですが、黒田総裁の会見を受け、日銀による早期の追加緩和への思惑が後退したことがドル円の重しとなっています。

三井智映子さん

金利変動は資本移動を通じて為替相場に対して影響

金利変動は有価証券の売買など資本移動を通じて為替相場に対して影響を与えることになります。基本的なメカニズムだけでお話すると、金利が上昇すると資金吸収力が増大し、通貨価値が上昇します。低金利通貨は低金利が嫌気され、その国から資本が流出しがちで通貨が売られることが為替レートの低下につながりがちです。

反対に高金利通貨は高金利を好感してその国へ資本が流入することから為替レートの上昇につながる傾向にはあります。とはいえ、全てがそれに当てはまるかというとそうではありません。例えば、ブラジルは政策金利が11%、アメリカは政策金利0-0.25%ですが、ブラジルレアルは買いにはなっていません。政策金利が11%でも、インフレ率が11%だと、実質金利は0%になります。名目金利ではなく、実質金利が重要ということですね。

為替レートの変化と通貨の需要・供給の変化は、通貨の価値が下がれば需要は増え、価値が上がれば供給が増えます。これを需給均衡といいます。そうやってバランスを取るわけですね。為替相場はさまざまな材料や思惑で動くため、為替レートは金利だけで決まるものではありません。

日本円は変動相場制だが、実際にはかなりの国がドルとの固定相場を維持

現在日本円は変動相場制です。日本で景気が回復した場合を例にとってみましょう。

景気が良ければ企業は設備投資を増やそうとするため、設備投資のためのお金を借りるところが増えて金利は上昇します。金利が上がると外貨を売って日本円を持った方が得だということにありますよね。そのため資金が流れ込んで円高になりがち、というわけです。

昔は1ドル=360円と決まっていました。これは固定相場制といいます。1971年、ニクソン米大統領のもとでアメリカが金とドルの交換を停止したことがきっかけで、その後の通貨危機のなかで、日本は1973年2月までに変動相場に移行しました。1976年のIMF(国際通貨基金)総会で最終的に変動相場制も容認されました。実際にはかなりの国がドルとの固定相場を維持しています。

変動相場制では円とドルなどの相場は市場で決まり、国際収支不均衡などが影響します。ドルは国際基軸通貨なので、アメリカの経済・財政政策の失敗が何度も国際通貨危機に発展したといえます。名目為替レートはアメリカと日本だと、ドルと円の関係のみで、実質為替レートはドルと円の関係と、自国の(他国の)インフレ率が関係します。実質いくらで何が買えるかという価値に着目しているのです。

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 三井 智映子

共立女子中学校・高校を経て、早稲田大学政治経済学部へ。2001年から芸能活動を開始し、現在テレビ、CM、舞台などに出演。また、いち消費者とアナリストの中間的な存在であるフィスコのリサーチレポーターとしても、株式やFXの現場を取材レポートしています。