休日はスポーツで気持ちよくリフレッシュ! でも、はりきりすぎて、翌日はひどい筋肉痛に。全身が痛くて仕事にも集中できない……なんてこと、ありませんか?

日常的に使わない筋肉を酷使したり、普段よりも強い負荷がかかる運動をしたりすると、傷ついた筋繊維を修復するために炎症が起きて痛みが発生する、というのが筋肉痛のメカニズム。頑張った証とはいえ、せっかく健康のために運動をしたのに、翌日が痛みで憂鬱になってしまってはもったいないですよね。

そんなつらい痛みを和らげたり、そもそもの筋肉痛の発生を防いだりすることもできる入浴法があるそうです。「筋肉疲労を軽くするお風呂の入り方」を、温泉療法専門医の早坂信哉先生に教えていただきました。

  • 筋肉疲労を軽減する入浴法をご紹介

アスリートも実践する「温冷交代浴」

「2013年に、スポーツでの筋肉疲労に対する『温冷交代浴』の大規模な研究が行われ、疲労回復や筋肉痛の緩和に有効であるという調査結果が海外で発表されました。『温冷交代浴』とは文字通り、温かいお湯に浸かった後に冷たい水に浸かる、あるいは身体にかけるという入浴法です。温かいお湯に浸かると血管が拡張し、次に冷たい水に入ると交感神経が刺激されて筋肉が収縮し、血管も収縮します。血管の拡張と収縮の繰り返しで血流が良くなり、炎症のもとになる物質が減少すると考えられており、アスリートたちが疲労回復のために実践しています」と早坂氏。

しかし、この入り方は身体を鍛えているアスリート向けのもの。身体が熱くなった状態で急に冷たい水風呂に入ると、急激な寒暖差によって脳卒中や心筋梗塞などが引き起こされる「ヒートショック」のリスクもあり、危険を伴います。そこで、早坂氏が一般の方向けにオススメする、もっと身体に優しい「温冷交代浴」を紹介します。

オススメは「水風呂」ではなく「ぬるめのシャワー」

早坂氏いわく「最初にかけ湯をしてから、40℃のお湯に3分間、肩まで浸かります。そしてお湯からあがり、30℃程度のぬるま湯のシャワーを手と足の先に30秒ほどかけます。これを3回繰り返し、最後はお湯に浸かってからお風呂を出る。以上が、身体への負荷が小さく、危険の少ない温冷交代浴の方法です。40℃の湯船と30℃のシャワー、この10℃の違いでも充分に交感神経を刺激することができます」とのこと。

また、例えばマラソン大会に出場した後や、会社の同僚とフットサルを楽しんだ後など、運動後にスーパー銭湯でリフレッシュをするという方も多いのではないでしょうか。今回は、医学的に見たスーパー銭湯での正しいお風呂の入り方についてもお話をうかがいました。

スーパー銭湯での正しい入浴手順

「スーパー銭湯にはいろんな種類の湯船がありますが、刺激の弱い湯船から徐々に刺激の強い湯船に入るようにして、最後は刺激の弱い湯船で終わるのが原則です。まずは手足の先から身体の中心にかけてたっぷりかけ湯をしてお湯に慣らし、最初に入るのは38~40℃程度のぬるめの湯船へ。そこで馴染んだら熱めの湯船に移り、身体が温まった後に冷たい外気に触れる露天風呂へ。もしサウナに入る場合も、身体が充分温まってから水分を拭き取って入りましょう。ジェット水流や泡の出るお風呂も身体への負荷が強いので、後半に入るのがオススメです。最後はもう一度、刺激の弱いぬる湯で終了します」と早坂氏。

スーパー銭湯にはたいてい水風呂がありますが、これも温度が冷たすぎる場合は注意が必要! ぬるめのシャワーをかけて代用するほうが安全だそうです。「温冷交代浴」のコツを覚えて、筋肉痛を怖がらず思い切りスポーツを楽しみましょう。

次回は、「冷え性・肩こり・腰痛・眼精疲労」に効く入浴法をご紹介します。

※「温冷交代浴」は、健康な方向けの、血圧が上昇しやすい入浴方法です。ご高齢の方や高血圧の方、心疾患のある方、脳卒中にかかったことのある方は控えてください。

監修者

早坂信哉 (はやさか しんや)

東京都市大学人間科学部教授、医師、博士(医学)、温泉療法専門医。
お風呂を医学的に研究している第一人者。「世界一受けたい授業」「チコちゃんに叱られる!」など多数のメディアに出演。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)、『最高の入浴法 ~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)など。