こんにちは。一旦幕を閉じた「知らないと損する本格的アメリカ旅行術」ですが、この度ニューヨークに行ってきたので、番外編として、数回に分けてニューヨーク編をお届けします。ニューヨーク訪問は2回目で、今回の主な目的は仕事も含めいくつかあったのですが、アートギャラリーを巡ることも目的の1つでした。そこで番外編第1回目は、ニューヨークのアートについてお届けします。

おしゃれなファッションエリア:ソーホー

アメリカ東海岸に位置し、自由の女神やブロードウェイミュージカルで有名なニューヨーク。そんなニューヨークはアーティストが集まる街としても有名だ。今回はその中から、3つのエリアを紹介。マンハッタンのダウンタウン(南部)に位置するソーホー(SOHO)、南西部のチェルシー(Chelsea)、そして、マンハッタンの中心に位置するミッドタウン(Midtown)だ。かつてニューヨークのアート中心地と言えばソーホーだった。そこにはたくさんのアートギャラリーやブティックが立ち並び、マンハッタンでもホットなスポットとしてにぎわった。しかしソーホーの人気が高まるにつれ、地価の高騰などから、次第に若いアーティスト達はチェルシーやブルックリンなど別の土地に移り始めた。現在のソーホーは、アートの街というよりも、大小のブティックが立ち並ぶファッションスポットとしての表情の方が色濃い。

ソーホーの街角。近くにチャイナタウンやリトルイタリーがあります

この地区は、大規模なギャラリーが多く、また他の地区に比べて、アートギャラリーというよりは、"販売"を前面に押し出しているモダンスタイリッシュなアートショップといった感じのものが多かった。例えば、体育館ほどある鏡張りのスペースに、透明な椅子を数百個シンメトリーに並べているショップや、アフリカの木を使った作品ばかりを置いている雑貨屋さんのようなショップなどだ。アートというと絵画や彫刻だけを思い浮かべる人が多いかもしれないが、多種多様だと感じさせられた。

注目度No.1のチェルシー

ソーホーから若手アーティストが次第に移ってきたのがチェルシーエリア。今やマンハッタンでも一番勢いのあるアートエリアに成長し、たくさんのギャラリーと、アーティストによるアバンギャルドな作品が楽しめる。一見倉庫街といった感じのエリアだが、その倉庫一つ一つがギャラリーになっており、恐る恐る除いてみると、とんでもない巨大な作品があったり、「え、こんなアートもあるの!」と驚かずにはいられない作品などがあったりと非常に楽しめるギャラリーが多かった。

歩いていると、横幅10mはあろうかというシャッターが閉まった倉庫のような建物があった。これはギャラリーなのか、何なのか? 一見入り口がなさそうに見えるのだが、1カ所だけ1cmほどの大きさで、「Enter」の文字が書かれている部分があった。不思議に思いながらも「Enter」を押してみると中はギャラリー。巨大な絵がたった2枚だけ飾られていた。面白い! また、あるところでは、ギャラリーの中に入ると、そこには巨大なキッチンセットが。高さ3mほどのダイニングテーブルに、高さ2mほどの椅子。当然私たちの身長よりはるかに高く、大きいので座ることなんてできない巨大オブジェだ。他の場所には、直径2mほどのお皿が10枚ぐらい(3mの高さ)積み上げられている。さらに別の場所には、2m近くあるフォークやスプーンが立てられていた。私たちの体よりはるかに大きなテーブルや椅子、お皿やスプーンを前にして、まるで小人になったかのような不思議な感覚になった。

倉庫並みの大きさの建物の小さなギャラリーの看板。ズームで撮りました

チェルシー周辺。たくさんのツーリストと会いました

そして今回、ニューヨーク訪問で私たちがベスト・オブ・ギャラリーの選んだのは、同じくチェルシーにあるギャラリーだ。そのギャラリーのドアを開けて中に入ると、"滝"があった。ギャラリースペースは2階にあり、2階に続く階段の右半分に滝が作られていて、水がたえず流れ落ちるようになっていた。ギャラリースペースには部屋の壁全面にどこかの町の絵が描かれていた。入り口には黒服のガードマンが立っていたので、「Hello」と声をかけたが、よく見てみると、彼の背後には、同じ格好で立っている"彼"の絵があり、ガードマンの立ち姿も"アート"の一環だったと知った。ニューヨークのアートに対する情熱とエネルギーを感じた瞬間だった。

落ち着いた雰囲気のギャラリーが多いミッドタウン

ニューヨークのミッドタウンは、その名の通りマンハッタンのど真ん中で、近代美術館やカーネギーホール、プラザホテルなどが立ち並ぶ、魅力が集結したエリア。このエリアもアートギャラリーがとても多く、伝統的な美術品を扱う画廊が多いのが特徴だ。ソーホーのようなカジュアルなギャラリーではなく、またチェルシーの放つ異様なエネルギーを放つギャラリーとは全く逆の、落ち着いた雰囲気のギャラリーや作品が多く見ることができた。

ミッドタウンエリア

ギャラリーというと、表通りに面し、ガラス張りの扉で中が見えて、白い壁……なんていうのを思い浮かべてしまうが、全く異なるギャラリースタイルがこのエリアにはあった。十数階建て高層ビルの何フロアかがギャラリー、なんていう建物がいくつもあるのだ。そういったギャラリーは1階に受付があり、どこに行きたいのかと聞かれる。私たちが訪問した際は、フォトギャラリーをリクエストし、階数を教えてもらい、鑑賞した。ミッドタウンのギャラリーはどれも"高級な空間ギャラリー"という感じだった。

このようにニューヨークといっても、エリアによってギャラリーの特徴は様々。また、どこのエリアでもギャラリーマップを片手に歩くツーリストとたくさん出会ったのも印象深い出来事でした。ニューヨークは、やはりアートの中心地。皆さんも次回のニューヨークの旅では、アート巡りを中心に楽しんでみてはいかがですか?

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&フォトアーティスト飯富崇生のミニコラム:グリニッジビレッジのピアノバー

ニューヨーク4日目の夜、現地の知り合いに、素敵なレストラン&バーへ連れて行ってもらった。1軒目は、小説家のオー・ヘンリーが行きつけだったというお店で、木のボックスシートに、年季の入ったカウンターバー、そしてジャズが流れていた。2軒目も、同じような200年以上も前からあるというバー。そして「好きなピアノバーがあるから、行こう」と3軒目"ピアノバー"へ……。今これを読んでいる読者の方が想像したものは、"ムーディな店内にグランドピアノ。シックなドレスを着たおしゃれなお姉さんか、タキシードに身を包んだ男性が、クラッシックを優雅に弾く"、といったものではないだろうか? 私もそうだった。しかし、入ってみると私たちの想像とは真逆のものがそこにはあった。明るい店内に小さなピアノ。コメディ風なピアニストが、大声で歌いながらピアノを弾いていた。さらに、観客もノリノリでピアノに合わせて大合唱。ちなみにグリニッジビレッジは、ブロードウェイ俳優の卵達が集まる場所でもあるらしい。観光だけでは行かない場所を少し覗けて、この日はとてもいい夜だった。
アクセス情報
最寄の空港:JFK国際空港。ラガーディア国際空港。ニューアーク&リバティー国際空港。後者2つの空港は主にアメリカ国内線が発着する。JFK国際空港から、ニューヨーク市内までの所要時間は40~60分。タクシーを利用する場合は、一律45ドル(高速道路料金3.50ドル、チップは別)。*マンハッタンからJFK国際空港のタクシー利用の場合はメーター制。