10月31日はハロウィンですね。L.A.に住んでいた頃は、遊園地「ナッツ・ベリー・ファーム」で行われる「Knott's Scary Farm / Halloween Haunt」へ毎年出掛けていました。これは毎年、9月下旬~ハロウィンまで催されるハロウィンイベントで、専用のチケットがないと入ることができません。真っ暗な園内に怪物、幽霊達がたくさん隠れていて、来場者を楽しませてくれます。もしこの時期に、ナッツ・ベリー・ファームへ行かれる方がいらっしゃいましたら、ぜひ訪れてみてくださいね。さて今回は、アメリカの国立公園の中でも特異な特徴を持つ2つの国立公園をご紹介します。

視界全てがサボテンのサワロ国立公園

サワロとはハシラサボテンのことで、この国立公園は名前のごとくサボテンがたくさんある。サワロの生息地は、アメリカ、カリフォルニア州とアリゾナ州、そしてメキシコ。そのため、これらの地域より北でサワロを見ることはできない。サワロ国立公園はアリゾナ州にあり、ゲートシティであるツーソン市を挟んで2つのパートに分かれている。車の場合、両方とも20分程度で行くことができるが、西と東の面積はトータルして約370平方キロメートルもある。そのため、両方行く時間はなかった私たちは、ロサンゼルス方面(西)からドライブしてきたので、西側のみ訪れた。今回のコラムでも西側の情報を中心にお伝えしていく。

サワロ国立公園の看板です。注意していないと、見落としそうでした

サワロ国立公園には、入場料を払うゲートはない。私たちは、フリーウェイI-10をExit248で降りて、サワロ方面へ向かった。するとだんだん道が狭くなっていき、気がつくと道の両側にサボテンが生えているエリアを走っていた。公園に近づいたと思ったので、アリゾナ州に入った際に立ち寄ったビジターセンター(第9回のミニコラム参照)で手に入れた公園周辺の地図を見ながら、公園内のゴールデン・ゲート・ロード(Golden Gate Road)へ向かった。

ゴールデン・ゲート・ロードの途中。下にもいろいろなサボテンが生えています

するとそこは未舗装で、見渡す限り、サボテン、サボテン、サボテン、という感じだった。もちろん、サワロというサボテンの他にも、様々な種類のサボテンが生えていた。ちなみにオフィシャルサイトによると、このエリアにはサボテンだけではなく、1,000種以上もの植物が生えているということだ。

写真で見るとあまり大きさを感じないのだが、実際は私たちの身長の倍以上もあるようなサボテンばかり。「サボテンって、こんなに大きくなるんだ」と、驚いた。サボテンの中には、10m以上のものもあるらしい。しかも、サボテンのトゲは強力で太く、一度刺さるとなかなか取れない。実際、履いていたジーンズを突き破って、爪楊枝のような太さのトゲが何本も刺さっていた。トゲは先端が釣り針のようにフック状になっているので、なかなか抜けず、かなり苦労した。大きなサボテンばかりを見上げて歩いていると、下の方にも強力なトゲを持つサボテンが点在しているため、トレイル以外のところを歩くときは要注意だ。

これがサワロというサボテンです。メキシカンレストランとかで、このサボテンに、顔がついて、帽子をかぶって、マラカス振っているような絵を見かけますよね よく見てください。サボテンのトゲの先端が曲がっているのがわかりますか?

見所はやはりビジターセンター周辺のようで、サボテンの数も他のエリアとは段違いに多かった。また、この周辺には数本のトレイルがあり、たくさんのサボテンに囲まれながらハイキングを楽しむことができるので、変なところに入り込まず、きちんとトレイルを歩こう。

"岩の墓場"という言葉がぴったりなチリカワ国定公園

サワロ国立公園のあるツーソン市から、約1時間ちょっと東へドライブをする。そこでフリーウェイを降り、南へ約45分進んだとことに、チリカワ国定公園はある。地図を見て、フリーウェイを降りてからほんの少しだろうと思って向かったのだが、結局45分もかかってしまい、正直驚いた。道は砂漠の中の1本道をずっと走っていたが、対向車も後方車も看板もほとんどなく、「道あってるの? まだ? 」と、何度繰り返したか分からない。ゲートに着いた頃には、かなり陽も傾いていた。ゲートでは「もう、ビジターセンターは閉まってしまったし、このゲートも17時で閉めてしまうけれど、出口は開いているからゆっくり楽しんできてね」と、送り出された。

チリカワ国定公園の看板です

公園内には1本しかドライブルートはない。その道をただひたすら上まで上がった。とりあえず、日が落ちる前に1番奥で1番標高の高いマッサイ・ポイント(Massai Point、標高2,094m)まで行き、そこから見ていこうと思ったのだ。たくさんのアメリカ西部の国立公園などを見てきた私たちだったが、この風景にはかなり驚いた。アメリカ西部といえば、"乾いた大地"、 "赤い土"、 "青い空"が定番だ。だが夕方だったので"青い空"は見えないにしても、"乾いた大地"も"赤い土"もなかった。ここにあったのは、"湿った黒い岩"とそれに付くコケだったのである。さっきまで走ってきた45分の道沿いでは、このような風景は全くなく、公園に入ったとたん違う景色になった。何だか、"岩の墓場"という言葉がぴったりだと思った。

見終わって再びゲートまで降りてきたときには、すっかり日も暮れていた。そしてまた45分、すれ違う車も追い越す車もない道を引き返した。ここはいわゆる国立公園の雰囲気とは異なるので、ひと味違う国立公園を味わいたい人なら面白いかもしれない。

マッサイ・ポイントからの眺め。岩についている緑っぽいものは、コケです

それでは、次回は場所を少々移動し、サンフランシスコをご紹介いたします。お楽しみに~。

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:宿泊モーテルについて その1
私たちは、モーテルの予約を入れて旅をすることはない。行き当たりばったりで、着いた町でモーテルを探す。一応、全行程の予定は立てて行くが、気に入ったところには1泊多く滞在したり、早く見終わったら次の町へ進んだりするからである。そんな時に、私たちが活用するのが、モーテルクーポンブック。州のビジターセンターやガソリンスタンド、ファーストフード店などに置いてあり、もちろんタダ。クーポンを使わないにしても、どこの町に行けばモーテルがあるか分かるので、持っていると便利だ。モーテルは安いところで、2名1室利用時なら1泊20ドル程度で泊まることができる。しかしアメリカの場合、安い=何かが悪いと考えた方が無難なので、極端に安いところはお勧めできない。私たちが泊まるのは、大抵2人で30ドル~50ドル程度のところ。全米大型チェーン店はそれなりに設備もいい。安くて良いモーテルの見極めについては、次回ミニコラムへ続く……。
全米大型チェーン店「モーテル6」。安いところだったら、29.99ドルぐらいで泊まれちゃいます。部屋は綺麗ですが、シャワーがない場合も……。モーニングコーヒー付
アクセス情報
最寄りの国際空港:ツーソン国際空港。2007年10月現在、日本からの直行便はない。ロサンゼルスより乗継で約11時間。各公園には車でアクセス可能。サワロ国立公園へ:ツーソン市内から、Speedwayを西へ。チリカワ国定公園:ツーソン市内から、I-10→AZ186。
周辺観光地
セドナ、フェニックス、メテオ・クレーター、化石の森国立公園など