夏休みも終わりましたが、皆さんの夏休みはいかがでしたでしょうか? 私は先週、仕事で栃木県鬼怒川温泉の近くの湯西川温泉にいたのですが、急遽実家に帰らなくてはいけなくなり、バス、特急、飛行機、バスと乗り継ぎ、別府温泉まで移動しました。移動時間トータル9時間、移動距離約700km。大変でした。アメリカではいつも車を使って移動する私たち。1日の平均移動距離は500kmです。驚かれるかもしれませんが、アメリカでは制限速度も日本より速く、フリーウェイと呼ばれる高速道路はどこまで走ってもタダということもあり、この距離のドライブが可能なのです。さすがに車のみの移動で1日に700km移動ということは、めったにありませんが、その距離をドライブしても約8時間ぐらいです。栃木から大分と考えるとものすごく遠い感じがしますが、アメリカだと8時間ドライブするだけで着いちゃうと考えると、なんだか近い感じがするのはアメリカに住んでいた私だけでしょうか。

さて、3回に渡ってお伝えしたセドナ情報はいかがでしたか? 今回からは、グランド・サークルに属さないアメリカ西部の見所をご紹介します。まずは、宇宙の不思議を感じさせるメテオ・クレーターです。

直径約1.2kmの巨大クレーター

アリゾナ州にあるメテオ・クレーターは、約5万年前に隕石が落ちた跡で、世界の中でも特に保存状態のいいクレーターと言われていている。その理由は、アリゾナ州が砂漠気候で年間平均降水量は約300mm、年間300日以上は晴れている(アリゾナ大学Climate Assessment of the Southwestより)せいだという。また、アリゾナ州のユマ(Yuma)という町は「1年間で最も晴天の多い町」としてギネスブックに掲載されているほど雨が少ないのだそうだ。

そんなアリゾナ州にあるメテオ・クレーターなので「世界の中でも特に保存状態のいいクレーター」と言われても納得する。このクレーターは、フリーウェイI-40を降りてから、細い道を南に約15分ドライブしたところにある。そこまで行く道は1本しかなく、見渡す限り何もない。メテオ・クレーターに着いても、周囲にはクレーター以外何もない。本当に手付かずのままメテオ・クレーターのみ残っているという場所なのだ。

フォトアーティスト飯富崇生のネイチャーアート作品です。フィルムで撮影し、デジタル加工なしでこの色を出しています。この色の方が"地球のロマン"を感じさせます

オフィシャルサイトによると、クレーターの直径は約4,000フィート(1.2km)、外周約2.4マイル(3.6km)、現在(2007年)の深さは約550フィート(165m)、衝突当時の深さは、約700フィート(210m)だったと言われている。これを私たち観光客は、北側の展望台から見ることになる。写真を撮る場合、普通のレンズではクレーター全体が入らないほど大きい。

どんなに引いても、展望台からクレーター全体は写りません。クレーターの向こうを見てください。次の山まで何もないことが分かりますでしょうか?

隕石の衝突によって吹き上げられた土です。クレーターの底から約165m。周辺の地面からは、約30mと言われています

バリンジャーとメテオ・クレーター。入場料15ドルは高い? 安い?

1902年、フィラデルフィアで鉱山エンジニアをしていたダニエル・バリンジャー氏がこのメテオ・クレーターに興味を持ち、1903年にこの地を訪れた。彼はこのクレーターを見て「これは、隕石の衝突でできたクレーターに違いない。だからここには隕石の欠片がまだ埋まっているはずだ」と、このクレーターの研究を始めた。それまで多くの地質学者たちは、このクレーターを衝突によってできたものではなく、火山の火口であると考えていた。3年後の1906年に、彼はアメリカ地質調査所に論文を提出し、自然科学アカデミーの学会(Proceedings of the Academy of Natural Sciences)で「メテオ・クレーターは火山の火口ではなく、隕石の衝突でできた隕石孔である」という仮説を発表した。しかし、この仮説は1960年代になるまで証明されなかった。

現在、このクレーターはバリンジャー氏の家族によって管理されており、クレーターの北側にビジターセンターやシアター、展望台が設置されている。その展望台からクレーターの底をのぞくと、バリンジャー氏が隕石の欠片を探して掘った採掘跡を見つけることができる。ちなみにこのクレーターは、バリンジャー氏にちなんで「バリンジャー・クレーター」とも呼ばれている。

上空からの写真です。ここまで道は1本のみ。周りには何もないことが分かります
(出典)This image was produced by the U.S. Geological Survey.

確かに大きいクレーターではあったが、これが世界最大級と言われても、他のクレーターを見たことがないので、実感が沸かなかった。加えて、クレーター1つ見るだけで入場料15ドルは高いかなと思ったのだが、旅行後にメテオ・クレーターについて調べ、バリンジャー氏の情熱などを知れば知るほど、"地球のロマン"がここに埋まっている気がして、15ドルが高くないように思えてきた。

雨があまり降らない地域のため、ほとんど風化することなく、衝突当時の原形をとどめているこのクレーター。私は、現在、メテオ・クレーターに5万年間でどれぐらいの雨が降ったのかをリサーチ中です。2008年に出版する本のためですが、分かり次第、読者の皆さんにはこっそりお知らせしますね。

展望台からクレーターの北側を撮った写真です。乾いた台地だけが広がっています

時間と共に中の景色が変わる風景窓画が設置されていました。ですが、何もない場所なので1年中ほぼ同じ景色だと思います

次回はメテオ・クレーターと一緒に行ける化石の森国立公園をご紹介します。お楽しみに~。(メテオ・クレーターに関する情報は全てオフィシャルサイトより抜粋)

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:エイリアンアイスクリームの謎
クレーターを見終わった後、ビジターセンターに併設されたギフトショップで「エイリアンアイスクリーム」と名前の付いた、冷蔵庫にも入れられていないアイスクリームと名前の付けられたお菓子が売られていたので、買ってみた。バニラアイスを固めたようなお菓子で、ただただ甘かっただけ。2人で1個買ったにもかかわらず、甘すぎて食べる気もせず、旅行が終わるまで食べ終わらなかった。中身の写真を撮るのを忘れたのが残念なのだが、いつも話のネタになるので、買って良かったな~と思っている。
アクセス情報
最寄りの国際空港:フェニックス国際空港。2007年8月現在、日本からの直行便はないので、アメリカ西海岸まで約10時間、それから乗り継ぎで約1時間。フェニックスから車で、I-17→I-40を通り、約3時間半。最寄りの都市はフラッグスタッフ。フラッグスタッフからは、次回コラムで紹介する化石の森国立公園と共に回る日帰りツアーあり。
周辺観光地
グランド・キャニオン国立公園、グランド・キャニオン・ウエスト(スカイウォーク)、セドナ、化石の森国立公園、モニュメント・バレー、アンテロープ・キャニオンなど。