一般にささやかれている航空業界のウワサ。その中でも多くの人が気になるのは、「CAの採用基準に『容姿端麗』との項目があるのか」ということではないだろうか。

答えから言おう。それは、「ある」だ。

サービスで世界一の座に君臨するアジア系航空会社のある担当者は、筆者のインタビューにはっきりとこう答えた。「CAの採用基準に容姿はあります。それも顧客サービスの一部ですから」。どこかの団体が聞いたら怒りで卒倒しそうな話だが、少なくともアジアでは珍しい話しではない。CAはまだまだ社会的なステータスのある仕事であり、「花嫁修業」として短期間だけ働く制度を設けている航空会社は多い。短期間であってもCAには安全管理という重要な要素があるので、厳しい訓練を終えて乗務し、もし乗客からクレームが来たら再度、訓練生に戻されることもある。それだけ厳しい世界なのだ。それでもCAへの応募者は多いので、「容姿端麗」な人材を採用する余裕があるのである。

同じ質問を日系の大手航空会社に何度かしたが、そこは少しでも差し障りのある事柄には本音を言わない日本人。案の定、言葉を濁す。一方、アメリカでは、そんな答えをしようものなら、女性差別だと訴えられかねない。

スターアライアンス加盟航空会社のCAたち(2010年5月撮影)

しかし、筆者は少なくとも明らかに乗客の気分を害するようなCAにはこれまで一度も遭遇したことがない。というより、たとえ多少ふっくらしていたとしても、ユーモアがあったり、細やかな気配りができるCAであれば気分を害されるわけがない。アメリカ系航空会社には社会性を反映してか、ユーモアのあるCAが多く、感心させられる。逆に、どんなに「容姿端麗」でも怒ったような表情で仕事をされると印象は悪くなる。つまり、CAには「サービス業」としての能力が必要なのであり、航空会社の採用担当者はその適性を見抜いているということなのだろう。

ちなみに、身長が一定の基準を下回ると上部の荷物棚に手が届かないなど、業務を円滑に運べないなどの理由で採用されない項目はある。比較的身長の低いアジアでも背の高いCAが揃っているのは、そのためだ。

スチュワードの場合は?

なお、男性CA、つまりスチュワードに「容姿端麗」かどうかの採用基準があるかは、筆者は興味がないので質問したことはない(笑)。ただ、あるベテランのスチュワードは、インタビューでこう答えてくれた。

「お客様からクレームを言われたことは一度もない。常に細やかな気配りをし、要望を把握し、リクエストには的確に対応できるように心がけています」。はい、それで十分です!!