The Snutsが語る、オアシスやコールドプレイに学んだ「等身大のロック」──日常の喜びを歌う新境地

スコットランド出身の4人組であるザ・スナッツ(The Snuts)は、とびきりキャッチーなメロディと爽快なギターロックサウンドを武器に、2021年のアルバムデビュー以来、3枚連続で全英トップ3を獲得する快進撃を続けてきた。そしてこのたび送り出された4作目『Joy In Short Moments』は、ずっと脇目も振らずに走り続けてきた彼らが一旦立ち止まり、日々の生活に宿る小さな幸せやかけがえのない瞬間の尊さに改めて気づくことで生まれた作品だ。

メンバーの何人かに子供が生まれたことをきっかけに、彼らは前作のツアー終了後、故郷のウェスト・ロージアンに移住。そこで一度音楽ビジネスのルーティンから離れ、いち生活者としての日常を取り戻すことになった。以下の対話でフロントマンのジャック・コクランが詳しく語っているが、そうしたライフスタイル/ライフステージの変化が今作には非常に大きな影響を与えている。実際に聴いてみれば、今作では家族や地元の友人たちに向けた思いやりや優しさ、そして彼らと過ごす時間の大切さが、率直かつ地に足の着いた言葉で歌われているのがわかるだろう。

音楽的には、オアシスやコールドプレイといった、あまりに王道なのでこれまでは表に出すことを躊躇ってきた影響にも素直に向き合っている。その結果、スナッツらしいキャッチーでアンセミックな魅力は一層強まった。ライフスタイルの変化は、彼らを「クールに見られたい」という自意識からも解放したのだ。

理想に向かってひたすら邁進するだけではなく、いま目の前にある生活を大切にし、その中に喜びを見出していくこと。そして他人の期待や評価に振り回されることなく、自分自身の人生の中から、自分だけの表現を生み出していくこと。それは言うまでもなく、理想的な成熟の形のひとつだろう。『Joy In Short Moments』は、そんなスナッツの在り方の重要な変化が刻まれた作品である。

クールであることを手放して

―『Joy In Short Moments』は、大会場で映えそうなアンセミックなメロディと爽快なバンドサウンドが詰まった、スナッツならではの作品だと思います。あなたたちとしては、どのようなアルバムを目指していましたか?

ジャック:今回のアルバムの根底にあったのは、僕たちがもう一度、友達同士の関係に戻ることだった。仕事仲間のような関係ではなく、友達として同じ部屋に集まって、2026年にアーティストとして活動することに伴うプレッシャーから解放されること。それに僕は、ただツアーをしていることや、ライブをやっていることについての曲を作りたいとは思わなかった。そういうことには自分自身があまり共感できないからね。それが僕たちのすべてではないし、人間としての僕もそれだけじゃない。僕にはほかにも大切にしている価値観があるからね。

―まさにこのアルバムを聴いていると、バンドマンとしての生活から少し離れて、日常の大切さに目を向けているように感じられます。

ジャック:間違いなくそうだね。

―実際、故郷のウェスト・ロージアンに戻り、落ち着いた生活を取り戻したことで、あなた自身の考え方や価値観にどのような変化がありましたか?

ジャック:3枚のアルバムを出して、それまでずっとツアーに明け暮れる生活を送ってきたから、一度立ち止まって、故郷で自分たちが見逃してきたものを見つめ直すことは、すごく重要だった。ツアーミュージシャンをやっていると、人生の大切な出来事をたくさん見逃してしまう。例えば、友達に子供が生まれたり、友達が親を亡くしたり。僕たちは、そういう出来事に立ち会えなかった。だから、故郷に戻って、言ってくれたように地に足をつけることが大切だったんだ。そして、自分たちにとっての次の章がどうなるのかを見つけたかった。バンドとして何について書くべきなのかを見つけて、それを実際に曲にする。そういうことだったと思う。

―ご自身やほかのメンバーに子供が生まれたことも、故郷に戻って生活のペースを落とそうと思った理由のひとつですか?

ジャック:そうだね。子供を持つというのは、立ち止まって自分の人生を見つめ直す、とてもいいきっかけになると思う。子供ができると、自分の人生の中心にいるのは、もう自分自身ではなくなるからね。だから、みんなが父親になったことで、実際に少しペースを落とせたのはよかったと思う。自分たちにとって何が大切なのか、人生の新しい段階でどうやってバンドを続けていくのか、改めて考えることができた。それは本当にありがたいことだし、僕たちに喜びをもたらしてくれた。友達としての絆も深まったし、今回のアルバムに向けて、自分たちがいるべき場所を見つけることもできたんだ。

―今回は、あなたが自宅に作ったスタジオや、スコットランドの田舎で借りた家に機材を持ち込んでレコーディングしたそうですね。これまでとはだいぶ環境が違ったと思いますが、それが曲作りやレコーディングにどのような影響を与えましたか?

ジャック:そう、今回は大きな商業スタジオに行くんじゃなくて、スコットランドの田舎にある家に、自分たちでスタジオを作ったんだ。ベッドからマットレスを全部外して、窓やドアを覆って、キッチンにはドラムセットを置いてね。とにかく、みんなで集まって、友達として一緒に過ごして、プレッシャーを取り払うことが大切だった。そうやって一緒に食卓を囲みながら、アルバムを作ったんだ。

僕たちはキャリア初期の若い頃から、かなり大きなプレッシャーの中で過ごしてきた。1stアルバムのときは、レーベルと契約して、「さあ、自分たちの価値を証明してみろ」という感じだった。それがある程度成功すると、2ndアルバムでは「もう一度同じことができるのか?」と問われる。その作品もうまくいったけど、3枚目ではメジャーレーベルを離れたから、今度は「自分たちだけでやっていけるのか?」というプレッシャーがあった。つまり、3枚のアルバムを通して、ずっと極度のプレッシャーにさらされていたんだ。でも、今回はそういうプレッシャーが一切なかった。「いつアルバムが完成するんだ?」「どうやって売り出すんだ?」と聞いてくる人もいなかったしね。

今のアーティスト活動って、即座に満足感や評価を得ることにすごく左右されていると思うんだ。何人がストリーミングで聴いてくれたとか、投稿に何件「いいね」がついたとか。でも今回のアルバムでは、僕たちが必要としていた手応えや満足感を、制作のプロセスそのものから得ることができた。それは本当にありがたいことだったし、アーティストとして、そういう制作ができる恵まれた環境にいることは、すごくやりがいを感じることでもあったね。

―音楽面で、このアルバムにおける一番の挑戦は何でしたか?

ジャック:一番の挑戦は、アルバムを作るときに生じるエゴを手放すことだったかもしれない。今回は、自分たちが好きな音楽から影響を受けたり、参考にしたりすることを、素直に受け入れられたんだ。例えば、コールドプレイやオアシスのようなビッグバンドに少し似たギターのパートや曲ができたら、以前なら「いや、それはクールじゃない」と言っていたと思う。でも今回は、そういうギターのパートがあっても、「いいじゃないか。それでいこう。僕たちはそういう音楽が大好きなんだから」と思えた。自分たちが影響を受けた音楽で、今の曲にしっくりくるなら、それでいいんだ。そこにはスノッブな態度がなかった。変に気取ったり、クールに見せようとしたりしなかった。ただ、自分たちにとって自然に感じられること、気持ちよく感じられることを大切にしたんだ。

―オアシスやコールドプレイで、特にインスパイアされたアルバムや曲を挙げるとすると?

ジャック:オアシスだったら『Dig Out Your Soul』かな。一番人気のあるアルバムではないけど、僕たちはあの作品のギターパートがすごく好きなんだ。コールドプレイだったら『Mylo Xyloto』。「Charlie Brown」っていう、すごく有名な曲が入っているやつだね。若い頃って、型にはまらないことをやらなきゃいけない、というプレッシャーがすごくあると思うんだ。でも今回は、自分たちがこれまで受けてきた影響を、そのまま取り入れたかった。以前だったら、それを表に出すのを怖がっていたかもしれないね。

日常に宿る小さな幸せ、父親になって変わった人生観

―「In Motion」は、一ヶ所に留まらずに変わり続けることをポジティブに歌った曲ですよね。このようなテーマの曲をアルバムのオープニングに持ってきたのには、どのような意図があったのでしょうか?

ジャック:この曲のテーマは、僕が大切にしているものなんだ。それは常に希望を持ち続けようと努力すること。それって、ある意味では鍛錬のようなものだと思う。毎日、意識して実践しなきゃいけないんだ。自分の人生を見つめたときに、思い描いていた場所にまだたどり着いていないと感じることもあると思う。でも大切なのは、とにかく動き続けることで。毎日起きて、やるべきことに取り組んで、自分自身を磨いて、人との関係を大切にして、自分が選んだ仕事に全力を尽くす。そういうこと自体が、生きていくための糧になるんだよ。それはすごく重要なことだし、人生を楽しんだり、そこにあるポジティブなものを見つけたりするための、とてもいい方法だと思う。そういうことを伝えたかったんだ。

―「Summer Rain」はパートナーの産後鬱をテーマにした曲だそうですが、このように家族の経験や家族との関係を歌うというのも、新しい挑戦のひとつでしたか?

ジャック:これはアルバムのために書いた最初の曲なんだ。たぶんそれまでは、この曲で歌っているつらい経験があったからこそ、音楽を書くことに少しためらいを感じていたんだと思う。でも、この曲を書き上げることは、実際に起こった出来事や、そのときの状況を自分の中で受け止め、整理するための方法になった。音楽を作ることの素晴らしさって、そういう癒やしの力や、カタルシスがあることだと思うんだ。この曲を書くことで、僕自身もその壁を乗り越えることができた。そして、できればこの曲が、ほかの誰かにとっても同じように壁を乗り越える助けになればいいなと思っている。

このあいだ、ポール・マッカートニーのポッドキャストを観たんだ。そこで彼が、「最近の音楽を心から好きになるのは難しいことがある」という話をしていて。今の曲には失恋について歌ったものがすごく多い。でも彼は結婚しているから、そういう曲にはなかなか共感できない、ってね。僕も同じように、自分の人生で実際に起こっていることについて曲を書くのが大切だと思った。普段はあまり曲にされないけれど、実はとても重要なことについて。そういう曲は多くの人の心に響くと思うんだ。

―タイトルトラックの「Joy In Short Moments」や、「Defibrillator」などは、見過ごしがちな今目の前にある幸せを大切にすることを歌っています。あなた自身、以前に比べて、そうした小さな幸せを実感することが増えていますか?

ジャック:もちろん。「Joy In Short Moments」という言葉は、今回のアルバムのために僕が最初に書き留めたものなんだ。そして、僕にとって人生のマントラのようなものになった。特に、さっき話したような、つらい時期を過ごしているときには、薬のような、苦しい時間に対する解毒剤のような役割を果たしてくれたんだ。

それに、子供ができると、そういう小さな幸せを以前よりずっと多く見つけるようになると思う。例えば、すごく大変な一日を過ごして、忙しくてストレスがたまっていたとしても、子供が自分にスパゲッティを投げつけてきたら、それだけで幸せな気持ちになれたりするしね(笑)。でも、そういう瞬間は本当にあっという間に過ぎ去ってしまう。今の時代は誰もがすごく忙しくて、いつも働いている。だから、そういう瞬間を見逃すことがますます増えていると思うんだ。例えば、友達と久しぶりに会って、昔の出来事や楽しかった思い出について話したり、誰かの結婚式に出席したり。そういう瞬間が、気づかないうちに通り過ぎてしまう。でも、人生がつらくなったときに一番いいのは、自分の周りにある小さな喜びの瞬間に目を向けることだと思う。

特に今は、僕たちが毎日目にするものって、すごくつらいことや、悲惨なことばかりだったりする。例えば、一日中こうやって(スマホの)画面を見ていて、最初に飛び込んでくるのが、世界のどこかで起きている残虐な出来事だったり、人々の分断だったり、政府への不満だったり、貧困の問題だったりする。そういうものを、僕たちはあまりにもたくさん目にしている。そのせいで、人間であること、生きていることの素晴らしさが、見えにくくなってしまうんだと思う。

でも例えば、外では雨が激しく降っているけど、自分には雨をしのげる屋根のある家がある。それだけでも、すごく幸運なことだよね。そこで少し立ち止まって、「ああ、これは素晴らしいな。今、この瞬間っていいな」と思うことができれば、そこに大きな心の安らぎを見つけられると思うんだ。

―「PTS」は、アルバムでもとりわけアンセミックで、スタジアムでの合唱が似合うような曲です。ただその一方で、歌詞は故郷の若者たちが抱えるトラウマや、自分自身を肯定することの難しさについて歌っていますよね。

ジャック:アルバムのレコーディング中に、サッカーのスコットランド代表がデンマークと対戦する試合があったんだ。勝てばスコットランドが約30年ぶりにワールドカップに出場できるという、歴史的な試合でね。僕が物心ついてから、自分の国がワールドカップに出場したことは一度もなかった。だから、友達と地元のパブに行って試合を観戦したんだけど、それが本当に素晴らしい経験で。ものすごくドラマチックな試合だったし、翌朝、国中がこれまでにないほど希望に満ちていた。僕が見てきた中で、スコットランドの人たちが一番幸せそうにしていた瞬間だったと思う。

その出来事が、スコットランドの若者たちにどんな影響を与えるのか、すごく興味深く感じたんだ。というのも、スコットランドには、自分自身を信じられない若者が本当に多いから。例えば、僕の故郷にいる人たちに「プロのサッカー選手やミュージシャンになれると思う?」と聞いたら、みんな「無理だ」と答えるんじゃないかな。僕たちには、自分自身を信じる気持ちが本当に足りないんだ。

でもスコットランドという国は、世界中で使われているものをたくさん発明してきた。例えば、今日あなたが使ったものを一つ挙げてみたら、それはスコットランド人が発明したものかもしれない。それに、この50年ほどの間にも、素晴らしいスポーツ選手やミュージシャンをたくさん輩出している。それなのに、若い人たちは、自分もそうなれるとは信じられないんだ。

だから、スコットランドがああいう歴史的なことを成し遂げたのをきっかけに、そういう問題について話すようになった。どうしてこの国の若者たちは自分自身を信じられないんだろう? 自分たちの可能性を実現するうえで、何が妨げになっているんだろう? ってね。友達同士で集まって、そういうことについて話し合えたのは本当によかった。今回のアルバムに入っている曲は、どれも友達同士の会話から生まれたものなんだ。僕たちは、そういう会話をもっと広めていきたいと思っているよ。

故郷に戻って見つけた本当の豊かさ

―「Motherlands」は、成長した今だからこそ感じる故郷への愛情が歌われていると思いますが、若い頃と今とでは故郷に対する気持ちはどのように変わりましたか?

ジャック:若い頃って、とにかく故郷から離れようとするものだよね。世界を見てみたいし、地元に閉じ込められているように感じる。だから外に飛び出して、いろいろな経験をして、さまざまな人と出会って、いろいろな場所を訪れる。でも、やがて故郷には、自分を引き戻す力があることに気づくんだ。これはきっと普遍的なことだと思う。僕も故郷に戻ったときのことを覚えているよ。僕たちが地元に戻ったのは、主に子供ができたからだった。子育てには、おじいちゃんやおばあちゃんが近くにいてくれることも必要だからね。

それに、夢を追いかけて故郷を離れた人が、また戻ってくることには、ちょっとしたネガティブなイメージもあると思うんだ。夢を追いかけて出ていったのに戻ってくるということが、失敗したようには感じられたくないよね。僕自身も、それをすごく心配していた。「故郷に戻るということは、自分が失敗したということなんだろうか?」って。でも、実際に戻ってみると、何かを成し遂げようとして都会で暮らしていた頃には得られなかったものが、故郷にはあると気づき始めたんだ。例えば、朝散歩をしていると、みんなが挨拶をしてくれる。誰もが笑顔を交わす。友達とばったり会って、最近どうしているのか話したりする。そうやって、自分が育った場所にある、素朴で温かなものの価値を、改めて感じるようになった。

僕にとって、それはきっと必要なことだったんだと思う。自分の人生が今どこにあるのか、これまでに経験した成功や失敗について、自分自身の中で折り合いをつけるためにね。そして、もう少し本来の自分に戻ろうとするためにも必要だった。それにこの曲も、僕たちが一緒に交わした会話から生まれたんだ。田舎のスタジオに自分たちだけでこもったことで、腰を落ち着けて話せるようになった。「故郷に戻ってきて、どんな気持ち?」「おばあちゃんは元気にしてる?」とかね(笑)。そういう会話ができたのは本当によかったし、そのおかげで、故郷に戻ることをもっとポジティブに捉えられるようになったんだ。

―アルバム最後の「Little Marathon Man」は、父親として幼い子供に語り掛けている曲ですね。

ジャック:この曲も、やっぱり会話から生まれたものなんだよ。今回のアルバムは、友達のスコット・アンダーソンと一緒にプロデュースしたんだけど、僕たちは父親同士がもっと話し合うべきだと思うような話題について、会話を始めたんだ。例えば、自分が育つ中で、父親や男性のロールモデル、父親代わりになるような人との関係がどんなものだったのか、ということ。その人たちは、どういうところでうまくやってくれたのか。逆に、どういうところで自分をがっかりさせたのか。そういう、自分の弱さもさらけ出すような会話をしたことで、「じゃあ、自分たちは息子たちに何を教えてあげたいんだろう?」と考えるようになったんだ。

もちろん、僕たちは決して専門家じゃない。父親になってまだ日が浅いし、今は新しい時代でもあるからね。でも、自分の息子が大きくなって、結婚するような年齢になったときに、聴いてもらえるようなものを残しておきたかったんだ。その曲を聴くことで、当時の僕がどんな状況にいて、何を伝えようとしていたのか、少しでも理解してもらえたらいいなと思った。僕が息子たちに教えようとしていた価値観や道徳観、忍耐強さみたいなものをね。

―この曲は、ラフで生々しいサウンドも印象的ですね。

ジャック:ほかの収録曲とはかなり違う方法でレコーディングしたんだ。すごく短い時間で録音して、ボーカルも一発録りだった。古いマイクや古い楽器を使って、ビートルズのような、ちょっと60年代っぽい雰囲気を出したかったんだ。ほかの曲はどれも、かなり完成度を高めて、磨き上げている。でも、この曲に関しては、ものすごく完璧なサウンドにはしたくなかった。ただ、作っていたときに感じていたことを、そのまま音にしたかったんだ。レコーディングは本当に楽しかったし、ミスがあっても修正したくなかった。そのまま残しておきたくて。すごく正直な曲として演奏したかったんだ。

―あなたたちのレーベル、Happy Artist Recordsは、今後、スコットランドの新人アーティストを紹介するプラットフォームへと拡張されていくそうですね。彼らにこれから活動していく上で一番大切にしてほしいことをアドバイスするとしたら、どんなことを伝えますか?

ジャック:レーベルに所属しているアーティストたちは、たぶん僕がいつも同じことを言っているので、もう聞き飽きていると思うんだけど(笑)。僕がいつも伝えようとしているのは、音楽を作るプロセスには忍耐強さが必要だ、ということなんだ。例えば、ターンスタイルやオリヴィア・ディーンのようなアーティストは、何枚もアルバムを作って、何年も何年も懸命に活動を続けてきた。そして、ようやく自分たちが目指していた場所にたどり着いた。でも今のアーティストたちには、SNSなどの影響もあって、すぐに有名にならなければいけない、すぐに評価されなければいけない、というプレッシャーがすごくある。数曲リリースしただけで、自分が目指している場所に到達していなければいけない、というようなね。だから、僕がレーベルを通して伝えたいのは、そのプロセス自体に「幸せ」を見いだすことの大切さなんだ。僕たちは、この仕事ができること自体、本当に恵まれているんだから。

でも、今の音楽業界のあり方を見ていると、アーティストたちはますます苦しんでいる。メンタルヘルスの問題を抱えたり、ものすごいプレッシャーを感じたり、どこを目指せばいいのかわからなくなったりしているんだ。だからこそ、僕自身がこれまで経験してきたことを、若いアーティストたちに伝えていきたいと思っていて。メジャーレーベルで活動して、成功も失敗も経験してきた。インディペンデントで作品をリリースするようになってからも、成功と失敗の両方があった。そうした経験の中から学べることを見つけて、それを次の世代に伝えたいんだ。アーティストたちが、幸せで健康的なキャリアを築いていけるようにね。それが、このレーベルの根底にある考え方なんだ。

―このレーベルの活動を通じて、スコットランドの音楽シーンにもポジティブな変化をもたらせるといいですよね。

ジャック:もちろん、そうだね。僕たちは、スコットランドという国全体の音楽活動を支える基盤をもっと充実させたいとも思っているんだ。僕が若かった頃は、ロンドンやロサンゼルスに移って、音楽が作られる中心地に身を置かなければいけない、というプレッシャーがすごくあった。でも、世界中の国々を見渡してみると、素晴らしい音楽の多くは、もっと小さな地域で生まれていると思う。

ただ、そうした地域には、マネージャーやエージェント、レーベル、プロモーター、ライブ会場といったものが十分にそろっていない。しかも、地方ではそうしたものがどんどん減ってきている。だから、そこは改善していく必要があると思う。僕が話せるのは、あくまでスコットランドの立場からだけど、もっと多くの機会が生まれてほしいと思っているよ。スコットランドに才能があることは間違いないんだからね。

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ザ・スナッツ

『Joy In Short Moments』

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