コンテンツを通じて生まれる「好き」や「熱狂」を、新たなビジネスにつなげる――フジ・メディア・ホールディングス(FMH)とSBIホールディングス、SBIネオメディアホールディングスの3社が2日、メディア・コンテンツ領域における戦略的資本業務提携契約を締結したと発表した。2027年1月には50%ずつ出資する合弁会社を設立する予定で、アイドルのファンビジネスや大型映像コンテンツの資金調達、海外展開などに取り組む。

  • (左から)フジ・メディア・ホールディングスの清水賢治社長、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長

    (左から)フジ・メディア・ホールディングスの清水賢治社長、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長

50%ずつ出資の合弁会社、2027年1月に設立へ

今回の提携では、コンテンツやIP(知的財産)を起点に、ライブ・イベント、スポーツ興行、施設など、人々が実際に集まって体験を共有する「リアルメディア」領域を中核とする合弁会社を設立する。

合弁会社は、SBIグループとFMHグループが50%ずつ出資し、2027年1月の設立を予定。資本金は資本準備金を含め1億円とし、両グループからそれぞれ複数の役員を派遣する。将来的には複数の事業を展開する持株会社と位置づけ、事業領域ごとに子会社を順次設ける計画だ。

提携事業の第1弾として検討するのは、リアルイベントを起点としたファンプラットフォーム事業。アイドルなどのアーティストとファンが、イベントの開催時だけでなく、年間を通じて継続的につながる仕組みを構築するため、事業子会社の設立を検討する。

FMHグループの番組・イベント企画制作力やメディア発信力に、SBIグループが持つ8,800万を超える顧客基盤(2026年9月末時点)と決済・デジタル技術を組み合わせる。国内で事業モデルを確立した上で、アジアを起点に海外展開することも目指す。

大型映像コンテンツの資金調達でも連携 1,000億円規模のファンドに出資

第2弾として、大型映像コンテンツなどを継続的に生み出すため、コンテンツファイナンスの共同研究・事業開発を進める。

FMHグループが持つコンテンツの企画・開発力やIPと、SBIグループのファンド運用ノウハウ、銀行・証券・信託にまたがる金融機能、投資家ネットワークを組み合わせ、新たな資金調達の仕組みを検証。合弁会社の傘下で、コンテンツファンドの組成・運営を担う事業子会社を設立することも検討する。

さらにFMHは、SBIグループが組成する1,000億円規模の「SBIネオコンテンツ投資事業有限責任組合」(通称:SBIネオコンテンツファンド)に出資する。投資先の発掘・選定や、投資先との連携でも協力し、日本のコンテンツ産業の成長と海外展開につなげる方針だ。

このほか、テレビ、配信、SNS、リアルイベント、金融サービスの顧客接点を横断した広告・マーケティング施策や、地域文化の発信による地域活性化などでも連携を進める。

「好き」と「共感・信頼・熱狂」を経済的な価値へ

今回の提携の背景には、両グループが進める成長戦略の共通性がある。

FMHは今年5月に発表した新中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」で、「好きでつながる明日をともに」を新たな経営ビジョンに掲げ、コンテンツを生み出し、届け、拡張する一気通貫モデルによる成長を目指す方針を示した。

一方、SBIグループは金融、IT、メディアを組み合わせた「ネオメディア生態系」の構築を進めている。コンテンツやIPを通じて生まれる「共感・信頼・熱狂」を、購買やイベントへの参加などの経済行動につなげる仕組みを「感情経済圏」と位置づけ、継続的なファンとの関係を新たな価値の源泉にしようとしている。

両グループは6月26日、戦略的資本業務提携に向けた協議・検討の開始を発表しており、今回の契約締結で具体的な事業計画が明らかになった。

放送・配信を通じてコンテンツを届けるだけでなく、ファンとの継続的な関係づくりから、イベント、商品、投資へと事業領域を拡大する。テレビ局のコンテンツ制作力と金融グループの資金調達・デジタル技術を融合させる、新たな事業モデルの構築を目指していくとしている。

【編集部MEMO】
フジ・メディア・ホールディングス
フジテレビジョンなどを傘下に持つ認定放送持株会社。テレビ放送を中心としたメディア・コンテンツ事業や都市開発・観光事業などを展開。2026年5月には新中期経営計画「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」を発表し、「好きでつながる明日をともに」を経営ビジョンに掲げた。代表取締役社長は清水賢治氏。