フジ・メディア・ホールディングスは12日、2030年までの新たな「グループビジョン」を発表した。フジテレビをグループのコンテンツビジネスを統括する中核企業「コンテンツカンパニー」と位置づけ、制作力とディストリビューション、IPの多角展開を強化。番組コンテンツの制作費とは別枠で500億円を投じ、映画、アニメの制作ライン増強や海外展開体制の構築を進めるほか、ライブエンターテインメント、ファンダム、グッズなどの領域では800億円規模の投資も想定する。
重点領域として示されたのが、IP・コンテンツビジネスのバリューチェーンにおける「中流」にあたる「制作・ディストリビューション強化」と、「下流」にあたる「IP多角展開」だ。
実写コンテンツについては、大ヒットの確率が高く成功している映画ビジネスをはじめ、制作ラインを増強。さらに、多様な発想と才能を取り入れるため、映像クリエイターとの協業や、国内外のパートナー企業との共同制作を進める。アニメ領域でも、事業拡大に向けて制作スタジオの機能強化や投資が必要とした。
グローバル展開については、国内でヒットした作品を迅速に海外展開できる体制を構築する。コンテンツの供給力と商品力を高めることで、地上波テレビ放送と配信事業の発信力を強化し、それがさらにコンテンツ価値の向上につながる「循環」を生み出すことを目標に掲げている。
この領域には、番組コンテンツの制作費とは別枠で合計500億円を投じる。放送収入が落ち込んだ2025年度の実績から、540億円の営業増益を目指すとしており、そのうち440億円は地上波テレビ事業の増益で達成する計画だ。コスト構造改革による収益性改善に加え、IP開発の強化、制作力・番組の商品力向上によって増収を図る。
一方、「IP多角展開」では、ライブエンターテインメントやファンダム、グッズなど、国内外で市場の高成長が見込まれる領域を強化する。
同社は、これらの領域を、コンテンツ活用の幅を広げられる期待領域と位置づけている。イベント、MD、ECについては、フジテレビ、ニッポン放送、クオラス、ポニーキャニオンなどで成功例が多いとし、今後はより多角的なIP・コンテンツの活用と拡大を目指す。この分野では、規模感のあるM&Aも視野に入れ、投資額800億円を想定。70億円の利益増を目指すとした。
ビジョンを実行する体制として、フジテレビの役割も明確化する。今後、フジテレビは有力なメディアを有する「コンテンツカンパニー」として、グループのコンテンツビジネスを統括する中核企業となる。
事業領域ごとに、グループから人材と知見をフジテレビに集約。戦略を統括する責任者を置き、グループ連携と機能の集約・増強を図ることで、市場での競争力を高める。
同時に、放送インフラ機能や放送用設備などのハードアセットを、フジ・メディア・ホールディングスに移管することも検討。将来的には、グループ会社の設備投資や保守・運用を集約し、ハードアセットの最適化を進める。
同社グループは、都市開発・観光事業の売却後、メディア・コンテンツ事業とその周辺領域の新規事業で構成される事業構造へ移行する方針。資本を効率よく使いながら、「IP・コンテンツの商品力」と「メディアの発信力」が補強し合い、価値が循環することで、パートナーとともに利益を獲得していく「メディアで強化されたコンテンツ企業の事業モデル」への転換を目指すとしている。
