ブライアン・メイ最新インタビュー、クイーンの今後のライブ活動を語る「今は休んでいるだけ」

「いつか朝起きて、『そろそろツアーに出てもいいんじゃないか』と思う日が来るかもしれない」。ブライアン・メイが本誌の最新インタビューで語った。

クイーンのブライアン・メイは最近、スタジオで多くの時間を過ごしている。6月公開の映画『マスターズ・オブ・ユニバース』の音楽制作(サウンドトラックは近日アナログ盤でも発売予定)から、ウィリアム・シャトナーとのコラボレーションまで、その活動は多岐にわたる。数十年にわたるツアー生活を経て、今は自宅で過ごす時間を楽しんでおり、ライブ活動の再開を急いでいるわけではない。しかし、先日Zoomで行われた米Rolling Stone誌のインタビューでは、今後のライブ活動の可能性を否定していないことを改めて明言した。また、クイーンが音楽を手がけた映画『フラッシュ・ゴードン』や『ハイランダー/悪魔の戦士』、新たに修復されたブダペスト公演のコンサート映画などについても語っている。

クイーンと映画音楽、知られざる制作秘話

―映画『マスターズ・オブ・ユニバース』で一緒に仕事をした作曲家のダニエル・ペンバートンが、あなたはしばらく考え込んでから、頭の中ですでに完成しているフレーズを弾くのだと話していました。

ブライアン:そうだね。それが僕のやり方なんだ。頭の中で音が聴こえなければ、実際に弾くこともできない。僕にとってギターは声のようなものだからね。何を言いたいのかわかっていないなら、そもそも口を開く意味がない。もちろん、ギターを手に取れば何かが生まれることもあるから、延々とあれこれ弾き続けることはできる。でも、それは目的を持ってギターを弾いていることにはならないんだ。だから僕は、まず頭の中で音を聴きたい。「Bohemian Rhapsody」のギターソロであろうと、まだ誰も訪れたことのないエターニアの世界を表現する音楽であろうとね。

―『マスターズ・オブ・ユニバース』のサウンドトラックで特に秀逸だったのが、あなたがザ・ダークネスとともに制作したエターニアのテーマのロック・バージョンです。どのように生まれたのでしょうか?

ブライアン:自分の頭の中で鳴っていたエターニアのテーマを、何とかして決定版と呼べる形に仕上げたいと思ったんだ。ダニエルは映画の随所で、そのテーマをさまざまな形にアレンジして使っている。だから、それらをすべて集めて、まるで最初から僕の頭の中で生まれた曲であるかのように、ひとつのロック・ナンバーとして組み立てたかった。

そこでダニエルの力も借りながら、見つけられる素材をすべて取り込んで、曲全体を再構築したんだ。それから「ここにザ・ダークネスも参加してくれたら最高じゃないか? 曲に命が吹き込まれるはずだ」と思った。もともと物語をもう少し伝えるために、ボーカルの要素を増やしたいとも考えていたんだ。ザ・ダークネスはすでにこのプロジェクトに参加していて、エンドタイトルのテーマ曲を手がけていたからね。

それで彼らに電話したんだ。彼らは僕にとって本当に大切な友人なんだよ。まずやって来たのがダン。僕は「ダン・ダークネス」って呼んでいるんだけど、ダン・ホーキンスのことさ。彼はベースを弾きに来てくれた。実はそんなつもりじゃなかったんだけど、彼のほうからすぐに「いいかい、これは僕がベースを弾かなきゃダメだ」と言い出したんだ。それで僕が「君のお兄さんにもボーカルをお願いできないかな?」と聞くと、ジャスティンは即座に引き受けてくれた。ジャスティンは本当に素晴らしかったよ。彼らはすでにツアー中で、地球の反対側にいたんだけど、曲のデータを受け取って、手元にあった小さな録音機器、たぶんiPhoneだったと思うけど、それに向かってホテルの部屋で歌って、僕に送ってくれたんだ。その音質が十分に良かったから、そのまま曲に使うことができた。

ドラムは最初からルーファス・テイラーに叩いてもらいたいと思っていた。僕の頭の中では、そういう音が鳴っていたんだ。ルーファスは本当に素晴らしいドラマーで、優れたミュージシャンだと思う。彼がまだ小さな子供だった頃から知っているけど、本当にいい青年に育った。演奏も実に美しいんだ。それで彼にお願いして、父親のロジャーのスタジオで録音した。こうして、結果的にザ・ダークネスのメンバーがほぼ全員参加することになったんだ。

―1980年にクイーンが『フラッシュ・ゴードン』を手がけたとき、ロック・バンドが映画全編の音楽を担当するというのは、まったく新しい試みでした。

ブライアン:実際、それまで誰もやったことがなかったし、周囲からは不可能だと言われた。だから、あの音楽には自由さが感じられる一方で、周囲がそんなことはできないと信じ込んでいたことへの驚きも表れているんだ。「ギターやロック・バンドで映画音楽なんて作れない」と言われたからね。でも僕は「頭の中ではもう音が鳴っている。この映画なら僕たちにもできると信じているし、作品の雰囲気にも合うはずだ」と答えたんだ。

今でも少し胸が痛むけど、僕が特に気に入っているエピソードがある。僕たちは撮影したばかりの映像を見せてもらって、クイーンの4人それぞれが、自分たちなりに映画に貢献できそうなアイデアを考え、短い曲のスケッチを作った。僕もいくつか用意していて、その中にはメインテーマの「Flash」もあった。映画の冒頭と最後を結びつけ、作品の個性を際立たせるのにぴったりだと思っていたんだ。そしてトライデント・スタジオでそれぞれのアイデアをデモにしたあと、監督のマイク・ホッジスとプロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスを交えて、もう一度集まった。ディノは映画界の超大物プロデューサーだった。

彼はコントロールルームにどっしりと座っていて、ものすごい威圧感があった。曲をひとつずつ聴きながら、「イエス、イエス、イエス」と言っていたよ。イタリア人で、英語はあまり話さない人だったから、言葉数も少なかった。そして、いよいよ僕のメインテーマの番になった。曲を聴かせると、彼は微動だにしなかった。まるで石のように無表情だったんだ。曲が終わると、こう言った。「うん、とてもいい曲だ。でも私の映画には合わない」

それだけだった。僕はすっかり落ち込んでしまったよ。すると隣にいたマイク・ホッジスが耳元でささやいたんだ。「心配しなくていい。僕が何とかするから。大丈夫だよ」って。結局すべてうまくいった。そして映画のプレミア上映が行われたとき、上映後の集まりでディノが僕のところに来て、「私の映画のために素晴らしい仕事をしてくれた。本当に満足しているよ」と言ってくれたんだ。あれはうれしかったね。

―なぜ、最初は気に入らなかったのでしょうか?

ブライアン:問題は、マイク・ホッジスとディノが、この映画についてまったく違うイメージを抱いていたことなんだ。マイク・ホッジスは、作品を完全にレトロなパスティーシュとして捉えていた。ちょっと茶目っ気のある、コミック原作の壮大な冒険映画という感じだね。一方、ディノは『キングコング』のような、非常にシリアスな大作映画だと考えていた。彼には、作品にあるユーモアや、原作の持つ軽妙な魅力があまり伝わっていなかったんだ。僕たちがみんな観ていた、バスター・クラブ主演の昔のシリーズには、そういう魅力があったんだけどね。

だから、今となってはいい思い出だよ。最後はハッピーエンドだったからね。

―数年後には『ハイランダー/悪魔の戦士』も手がけています。こちらは劇伴音楽よりも、挿入歌のほうが広く知られていますね。

ブライアン:そうだね。ただ、実際には劇伴もかなり手がけているんだ。僕自身、作曲家のマイケル・ケイメンと一緒に多くの仕事をしたし、それは今でも誇りに思っている。戦闘シーンのいくつかには、普通なら想像もつかないような音楽が使われていて、当時としては斬新だった。今ではみんながいろいろな手法を取り入れて、当たり前になっているけどね。当時、戦闘シーンには決まって騒々しい音楽が流れていた。でもマイケル・ケイメンは、映画最大の戦闘シーンのために、実に美しい曲を書いたんだ。とても抑制が効いていて、悲しみに満ちた、ゆっくりと引き延ばされていくような曲だった。まるでスローモーションのような音楽を激しいアクションに重ねたんだよ。その組み合わせが観る者を釘付けにした。あれは本当に驚くべきシーンだったと思う。

僕も彼と一緒にその曲で演奏したし、彼もほかにいくつかの曲を手がけた。映画の音楽は基本的に僕たちが中心になって作っていたけど、マイケルも「ハイランダーのテーマ」と呼んでいた曲を提供してくれたんだ。これはあまり知られていないと思う。そして「Who Wants to Live Forever」を一緒に作ったときも、彼がオーケストレーションを担当してくれた。実に美しく、壮大な仕事をしてくれたよ。注意深く聴いてみると、その曲の中にも「ハイランダーのテーマ」が織り込まれているのがわかるはずだ。

マイケルとは本当に幸せな時間をたくさん過ごした。彼は楽譜を渡されれば何でも演奏できるし、何もないところから曲を生み出すこともできる人だった。普通はどちらか一方なんだよね。僕の父は耳で聴いただけで何でも弾けた。歌って聴かせれば、ピアノの前に座ってそのとおりに弾いてくれる。でも楽譜はまったく読めなかった。一方、父の姉妹は、目の前に置かれた楽譜なら何でも読めたけど、楽譜を取り上げられると何もできなかった。多くのミュージシャンは、そのどちらかのタイプに分かれる気がする。実際、僕は父のタイプなんだ。楽譜はほんの少ししか読めないからね。基本的には音を耳で捉え、それを自分なりに表現する人間なんだ。でもマイケルは、その両方の才能を持っていた。一緒に仕事をするのは本当に素晴らしい経験だったよ。今でも彼がいないことを寂しく思う。信じられないほど優れたミュージシャンだった。

―『ハイランダー/悪魔の戦士』の劇伴音楽は、これまで発売されていません。代わりに楽曲はクイーンのアルバム『A Kind of Magic』に収録されました。いつか劇伴を正式にリリースしたいと話していましたね。

ブライアン:そうだね。その話はこれまで何度も出ている。いつかぜひ実現したいと思っているよ。僕たちはサウンドトラック・アルバムを作ることを避けたんだ。僕個人の判断ではなく、バンド全体で決めたことだった。サウンドトラックとして出すより、クイーンのアルバムとして発売するほうがいいと考えたんだ。でも、素晴らしい音楽がたくさん残っているから、いつかCDで聴けるようになったらうれしいね。ところで、今でもCDってあるのかな?

―実は少しずつ人気が戻ってきています。若い世代がコレクションとして買っていて、CDプレーヤーを持っていない人もいるくらいです。

ブライアン:触れたり、手に取ったりできるものがあるのは、いいことだよね。

クイーンは再びツアーに出るのか?

―最近、あなたがクイーンとしてのツアー活動を完全にやめると宣言したように受け止められていました。

ブライアン:ああ、そうだね。あれはちょっと誤解されたというか、発言を少し違う形で引用されてしまったんだ。僕は二度とツアーをしないなんて言っていない。そもそも、そんなことを断言できるわけがないよ。

今はひと休みしているような気分で、その時間を楽しんでいるんだ。長年ツアーで忙しくしていた頃、時間がなくてできなかったことを、今はようやく実現できている。子供たちに会えるし、孫たちとも過ごせる。ずっとやりたいと思っていたさまざまなプロジェクトにも取り組めるようになった。天体物理学の研究にも、もっと時間を使えるし、動物福祉や動物保護の活動にも、より深く関われる。だから、少なくとも今のところ、休むという決断は自分にとって良かったと思っているよ。

いつか朝起きて、「ああ、そろそろまたツアーに出てもいいんじゃないか」と思う日が来るかもしれない。ただ、もう9カ月も続くような長期ツアーを引き受けることはないと思う。今は、自分が演奏したいときに演奏できている。それだけでも十分幸せなんだ。悪くない話だろう? 最近はスターマス・フェスティバルでアンドレア・ボチェッリと共演した。すごく楽しかったし、これまでとはまったく違う種類の挑戦だったよ。ベンソン・ブーンとも共演して、あれも本当に楽しかった。それにスタジオでもたくさんの仕事ができている。

―ラスベガスのスフィアでの公演についてはどうでしょう? 前回お話ししたときは、かなり前向きな印象でした。

ブライアン:そうだね。それについては何と言えばいいのかわからないな。今どこまで話が進んでいるのか、僕自身にもわからないんだ。本当にね。状況があまりにも速く変わっていくから。

ただ、音楽を360度の空間で体験できる環境というアイデアには、今でも強く惹かれている。特に僕たちの場合、これまでの歴史を振り返るような形で実現できたら面白いと思うんだ。でも、ABBAがやっていることと同じにはならないよ。みんな「ABBAがやったようなことをするんだね」と言うけど、そうじゃない。僕たちには僕たちなりの歴史があるし、歩んできた道も違うから、別のものになるはずなんだ。頭の中には今でも実現できそうな構想がある。ただ、ほかにもいろいろな事情があって、計画がそれほど早く進んでいるとは思えない。だから、結局のところ「わからない」としか答えられないんだよ。

―以前、アダム・ランバートとスタジオで新しいクイーンの楽曲を試作したことがあると話していました。その可能性は今も残っているのでしょうか?

ブライアン:あれはずいぶん昔の話だよ。彼との関係が始まったばかりの頃だった。一度だけ試してみたんだ。確かナッシュビルだったと思う。一晩スタジオに入って、一緒にやってみた。面白い方向性になるかもしれないとは感じたけど、どうもしっくりこなかった。それで、その後は再び取り組むこともなかった。僕から話せるのはそれくらいかな。

―今でもアダムとは連絡を取っていますか? もし何か新しいプロジェクトが実現するとしたら、ボーカルは彼になるのでしょうか。それとも、そこもまだ決まっていないのでしょうか?

ブライアン:連絡は取っているよ。彼がこちらに来たときも会いに行った。ラウンドハウスでの公演を観たけど、とても楽しめたね。ただ、一緒に何かをやろうという話はしていない。今の僕は、そういう気分ではないんだと思う。現時点では、ツアーばかりする生活には戻りたくないし、以前と同じ道をもう一度たどりたいとも思わない。でも、繰り返しになるけど、絶対にないとは言えない。そんなこと、誰に断言できるだろう? だから、可能性はまだ開かれているということだね。

創作への情熱、クイーン黄金期の記憶

―スタジオでは多くの仕事をしているとのことですが、具体的にはどんな作品が生まれているのでしょうか?

ブライアン:僕は挑戦するのが大好きなんだ。ある意味、スタジオでの仕事を持ちかけてもらうのが好きなんだよ。最近ではウィリアム・シャトナーと一緒に曲を作ったんだけど、これが本当に素晴らしい出来だと思う。僕自身、とても気に入っている。彼は95歳にしてヘヴィメタルのアルバムを作ろうと決意したんだよ。その曲に参加できて本当にうれしかったし、実際、とても意義深い作品だと思っている。ディラン・トマスの作品をもとにしていて、非常によくできているんだ。だから僕もプロデューサーとしての役割を引き受けて、いくつか手を加えることにした。

それも刺激的だったけど、孫とも一緒に仕事をしたんだ。新しい曲があって、たぶん2カ月後くらいにリリースされると思う。完全な新曲で、とても面白い作品だよ。正直に言うと、ギターの大部分を弾いているのは孫なんだ。それがまた素晴らしい。ギターを弾いて、曲を書いて、バンドまでやっている孫がいるなんてね。誰が想像しただろう?

それから、グラハム・ボネットが曲を持ってきてくれた。僕にとって偉大なヒーローのひとり、ロリー・ギャラガーに捧げた曲なんだ。それで一緒に制作することになった。仕上がりにはとても満足しているよ。その曲のために作っている短い映像の初期編集版も、つい最近観たところなんだ。僕にとっては本当に感慨深い仕事だった。ロリーは僕に計り知れない影響を与えた人だからね。歌詞にもあるように、彼を偲ぶ曲を誰も演奏してこなかった。だから今度は僕たちがやったんだ。彼を追悼するための曲なんだよ。

―ほかには?

ブライアン:ノエル・フィッツパトリックという人とも仕事をしている。知っているかどうかわからないけど、テレビ番組『The Supervet』に出演している獣医師なんだ。ほかの誰にも治療できない動物を救うことができる人でね。新しい四肢を再生させるような、人間に対してさえ実現できない治療を犬や猫に施すことができる。本当に驚くべき人だよ。今ではとても親しい友人になった。彼が人生を懸けて取り組んでいるのは、動物の医療と人間の医療をひとつにすることなんだ。人間の医療を発展させるために動物を実験に使うのではなく、両方の医療が一緒に進歩していくべきだと考えている。根本的なところでは、僕たちはみんなひとつの種のようなものだ、というのが彼の考えなんだ。だから一緒に仕事をするのが本当に楽しい。今取り組んでいる曲も、そうした考えを表現するものになっている。

―音楽面では、彼はどんな役割を担っているのでしょうか?

ブライアン:歌詞の大部分を書いているよ。たぶん全部だと思う。彼にはバンドもあるし、ギターも弾くんだ。ギターを始めたのは、おそらく18カ月くらい前かな。僕も応援したくて、自分のギターを1本プレゼントしたんだ。それから一緒に過ごす時間もあったけど、まさか彼がそこまで本気で取り組むとは思わなかった。世界屈指の獣医外科医のひとりなのに、毎晩というか、午前3時から4時の間に起きてギターを練習しているんだよ。そして今では、立派なギタリストになっている。バンドでライブもやっているし、曲もたくさん書いている。その中で特に惹かれた曲があって、僕もギターで参加した。それに、時々そういうことになるんだけど、結局ボーカルまで録音することになったんだ。そんなわけで、僕も結構忙しくしているんだよ。

―レストア版の映像作品『クイーン:ブダペスト』が公開されました。改めて観て、どんな記憶がよみがえりましたか?

ブライアン:これは何と言えばいいんだろうね。あの記憶の箱を開けると、当時の僕たちがそこにいるんだ。ツアーという独特の世界の中にいて、クイーンの世界的な地位がどんどん高まっていく時期だった。初めてのスタジアム・ツアーを行っていて、まさに絶頂期にいたんだ。フレディも肉体的にも精神的にも最高の状態だった。ちょうどウェンブリー・スタジアムで2夜連続の公演を終えたところで、どちらも満員御礼の素晴らしいライブだった。その1年前、ライブエイドでウェンブリー・スタジアムのステージに初めて立ったばかりだったのにね。そして再びヨーロッパへ向かい、鉄のカーテンの向こう側にあるブダペストで演奏することになった。それまでロック・バンドが演奏することなどできなかった場所だよ。あれは歴史的な瞬間だった。本当にそう思う。

そんな時代に戻ることができるわけだからね。それに、あの公演は非常に丁寧に撮影されていて、記録としても素晴らしいものが残っている。当時最高峰の撮影監督たちが参加していて、しかもそのほとんどがハンガリー人だった。編集も見事だったし、街中で過ごす僕たちの姿も撮影してくれた。ステージ上だけでなく、舞台裏で何をしていたのかも垣間見ることができる。とても美しい作品だと思うし、映像と音声の両方を修復できたのは本当にうれしかった。映像の修復を手がけてくれたのはニュージーランドの素晴らしいスタッフたちで、『ロード・オブ・ザ・リング』などに携わっている人たちなんだ。音声の修復は僕たちが担当した。結果は本当に美しいものになったよ。

ロジャーと僕は、いわばプレミア上映にあたるIMAXでの初回上映に足を運んだ。そこで誰かがロジャーに感想を聞いたら、彼は「すっかり疲れ果てたよ」と答えたんだ。まさにそのとおりの気分になる。映像を観ていると、当時の感情の渦に引きずり込まれてしまうんだよ。まるで実際にあの場に戻ったかのように、「あそこでミスをしなかっただろうか」「あの音はちゃんと鳴っていただろうか」と、今でも気になってしまう。そして、当時抱えていた個人的な問題までよみがえってくる。僕たちにとって、あの映像を観るのは本当に消耗する体験なんだ。

でも、誇らしくも思っている。少し距離を置いて客観的に観れば、あの頃のクイーンは本当にいいバンドだったと思う。メンバー同士の息がぴったり合っていて、隅々まで調整された機械のように機能していた。あれは素晴らしい瞬間だった。その姿が記録として残っていることを、本当にうれしく思うよ。

From Rolling Stone US.