
エアロスミス(Aerosmith)が10月29日、ロサンゼルスのハリウッド・ボウルで開催された「California Dream On: Aerosmith & Friends」に出演。ガンズ・アンド・ローゼズ、ブラック・クロウズら豪華ゲストが集結した2夜にわたる特別公演の初日には、ドラマーのジョーイ・クレイマーも一部楽曲に参加し、デイヴ・グロールやジョン・ダグラスとともにステージに立った。
大きな期待を集めていた「California Dream On: Aerosmith & Friends」が10月29日(木)、ハリウッド・ボウルで開幕した。2夜にわたる公演の初日は、答えよりも多くの疑問を残す結果となった。これは復活公演なのか、それとも最後のステージなのか? 2023年9月を最後にフルコンサートを行っていないボストン出身の伝説的ロックバンドは、ボーカリストのスティーヴン・タイラーが喉頭を負傷したことによる活動休止を経て、4人全員が再びステージに戻ってきたのだろうか? それとも、このオールスターによるトリビュート公演は、輝かしいキャリアを締めくくるためのものなのか? 2025年に英国で開催されたブラック・サバスの「Back to the Beginning」のように。あの壮大な公演では、タイラーもオールスターバンドとともに大観衆の前で3曲を披露していた。
文字どおりの花火が打ち上がり、夜が幕を閉じても、その答えが示されることはなかった。ソールドアウトとなった公演を終え、会場を後にするファンたちは、短いながらも圧巻だったエアロスミスのラストセットについて語り合っていた。「観られるだけでもありがたいと思わないとね」と話すファンもいれば、バンドの今後について「まだ続きがありそうだ」と期待を寄せる声もあった。また、あるカップルは「信じられないくらい素晴らしい演奏だった」と感想を漏らしていた。
実際、エアロスミスの演奏は驚くほど素晴らしかった。ここ数年、単発のステージに登場するたび、タイラーは絶好調と思える歌声を聴かせてきたが、この夜も例外ではなかった。そのエネルギー、スタイル、ドラマチックな表現力、ユーモアは尽きることがなく、ベースのトム・ハミルトンとギターのブラッド・ウィットフォードが、寡黙ながらも欠かせない存在としてバンドを支えていた。ブルージーなプレイで高く評価されるギターヒーロー、ジョー・ペリーは、ハリウッド・ヴァンパイアーズのバンドメイトであるジョニー・デップをステージに招き、エアロスミスもたびたびカバーしてきたタイニー・ブラッドショウの「Train Kept a Rollin'」を披露した。しかし、ペリーに映画スターの助けは必要なかった。トークボックスやスライドギターを駆使したおなじみのプレイ、そして楽曲にぴたりとはまる飄々とした演奏スタイルで、唯一無二の存在感を放っていた。
この夜のステージは、ブラック・クロウズ、ガンズ・アンド・ローゼズ、エアロスミスによる圧巻のフルバンド演奏を軸に構成されていた。コメディアンのビル・バーが司会を務め、前半はエアロスミスに敬意を表するアーティストたちが次々と登場。少々荒削りな場面もあったが、それも含めて楽しい時間となった。
エリック・チャーチ(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation)
豪華アーティストが集結、エアロスミスへの敬意を込めた熱演
オープニングを飾ったのは、エアロスミスと同じボストン出身で、ゴッドスマックのフロントマンを務めるサリー・エルナだった。初期の楽曲「Make It」と「Lightning Strikes」を披露したエルナは、自信と力強さに満ちた歌声を響かせた。そして観客に向けて、バンドの「50年」にわたる歴史を祝おうと呼びかけた言葉は、この夜の趣旨を最も的確に表していたのかもしれない。バックを務めたのは、ドラマーのケニー・アロノフ、ベーシストのドン・ウォズを中心に、ボン・ジョヴィのギタリストであるフィル・X、そして同じくボストン出身で、エクストリームのギタリストとして数々のステージを経験してきたヌーノ・ベッテンコート。観客の多くにとってエルナは馴染みの薄い存在だったかもしれないが、力強いパフォーマンスで公演の幕開けを飾った。
オールマン・ブラザーズ・バンドやガヴァメント・ミュールで活躍してきたウォーレン・ヘインズは、疾走感あふれる「Lord of the Thighs」を熱演し、エアロスミスへの敬意を示した。さらに、自身の持ち味にも合ったルーファス・トーマスの古典的名曲「Walkin' the Dog」を披露。この曲は、エアロスミスが1973年のセルフタイトルのデビューアルバムでカバーしたことでも知られている。

スティーヴン・タイラーとジョーイ・クレイマー(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation)
多彩で総じて質の高いパフォーマンスが続いたことを考えると、ゲストアーティストたちはそれぞれ、カバーしたいエアロスミスの楽曲を自分で選んだのではないかと思われる。後期のエアロスミスからファンになった人たちは、初期の楽曲が多く選ばれたことに戸惑ったかもしれないが、昔からのファンにとってはたまらない選曲だった。そのなかで異色だったのが、サミー・ヘイガーによる「Helter Skelter」だ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマー、チャド・スミスと、プロデューサー/ギタリストのアンドリュー・ワットを迎えた演奏だったが、どうにもこの場にはそぐわない印象を受けた。それでも、長年ソロアーティストとして活動し、かつてヴァン・ヘイレンのフロントマンも務めたヘイガーは、いつものように全力を尽くしていた。「レッド・ロッカー」の異名を持つ彼が本領を発揮したのは、エアロスミスが1977年に発表したアルバムのタイトル曲「Draw the Line」だった。短いセットの最後には「エアロスミスに神の祝福を」と言い残した。
「Aerosmith & Friends」のジャムセッション的な前半で、間違いなくハイライトとなったのが、ハートのアンとナンシー・ウィルソン姉妹だった。トリビュート公演は彼女たちにとってお手のものだ。2012年、まだスキャンダルに揺れる前のケネディ・センター名誉賞授賞式で披露したレッド・ツェッペリンへのオマージュは、今なお語り継がれる歴史的名演となっている。今回披露した「Janie's Got a Gun」は、児童虐待と復讐を描いた楽曲だが、ボーカルの素晴らしさは際立っていた。姉妹はこの痛ましい物語を持つ曲を、品格と繊細さを兼ね備えた表現で見事に自分たちのものにしていた。
ビリー・アイドルとスティーヴ・スティーヴンスが披露した1993年の大ヒット曲「Livin' on the Edge」は、オリジナルが持つダイナミズムに欠けていたものの、拳を握りしめて歌うアイドルらしい威勢の良さは健在だった。同じく、自らを「80年代の申し子」と称するカントリーシンガーのエリック・チャーチも、「Rag Doll」と「I Don't Want to Miss a Thing」をまずまずの出来で歌い上げ、エアロスミスへの敬意を示した。後者は、1998年公開の映画『アルマゲドン』の主題歌として絶大な人気を博した。

ビリー・アイドル(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation)
ガンズとブラック・クロウズ、圧巻のステージ
8月にもハリウッド・ボウルで公演を行っていたブラック・クロウズがステージに登場すると、イベントの水準は一気に数段引き上げられた。バンド全体からほとばしるエネルギーが観客を圧倒したのだ。ジョー・ペリーが書いた豪快なロックナンバー「Let the Music Do the Talking」では、ギタリストのリッチ・ロビンソンによるスライドギターと、兄クリス・ロビンソンの骨太で土臭い存在感、そしてボーカルが融合。楽曲にふさわしい、狂乱すれすれのエネルギーを生み出した。ブラック・クロウズは、自分たちに求められているものをよく理解していた。1976年の力強いナンバー「No More No More」を見事に演奏し、「Chip Away the Stone」でも同様の実力を発揮。後者はチャートやラジオでのヒット曲という意味ではないものの、70年代を代表するもうひとつの名曲だ。
1988年、エアロスミスは『Permanent Vacation』ツアーにガンズ・アンド・ローゼズを帯同させた。当時も今も、エアロスミスが彼ら、とりわけアクセル・ローズとスラッシュにどれほど大きな影響を与えたかは明らかだ。不思議なことに、ガンズはクラブで活動していた頃からカバーしてきたエアロスミスの「Mama Kin」を演奏しなかった。そしてローズは「プレッシャーなんて全然ないよ」と冗談めかして言うと、バンドは1974年の美しくも哀愁漂う名曲「Seasons of Wither」へと突入した。短いセットながら、ガンズのパフォーマンスは世界最高峰と呼ぶにふさわしいものだった。継続中のスタジアムツアーで鍛え上げられた演奏は、さらに円熟味を増していた。エアロスミスの「Combination」と「Last Child」をカバーし、自分たちの大ヒット曲「Welcome to the Jungle」と「Paradise City」も披露。かつて「世界で最も危険なバンド」と呼ばれた彼らは、『Appetite for Destruction』でブレイクした当時、人々を惹きつけたあの荒々しくハングリーな魅力を、今もまったく失っていなかった。
エアロスミス復活の夜、その先に待つ未来とは?
いよいよメインイベントが近づくと、会場のスクリーンには「Love in an Elevator」のミュージックビデオが映し出された。セクシーでおバカな魅力にあふれながらも、抗いがたいインパクトを持つこの映像は、MTVが絶大な影響力を誇っていた黄金時代を思い出させた。そして、映像の世界が現実になったかのように、スクリーンから飛び出してきたのは、ミュージックビデオを彩った2人の美女だった。スティーヴンの娘であるリヴ・タイラーと、YouTubeで7億5400万回再生を記録している「Crazy」のMVで、クールな女子高生を演じた女優アリシア・シルヴァーストーンだ。2人はステージに登場し、この夜の主役であるバンドを紹介した。リヴは「私たち、夢を見ているの? それともこれは現実?」と、思わず声に出して問いかけた。
バンドのメンバーたちがこれほど元気で、力強く、健康そうな姿を見せていること自体、どこか現実離れした光景だった。とはいえ、この公演でドラマーのジョーイ・クレイマーが復帰すると期待していた人も多かったが、どうやら背中と心臓の手術、そして健康上の問題によって、フルセットへの参加は叶わなかったようだ。さまざまなステージに引っ張りだこのデイヴ・グロールがドラムを担当し、「Toys in the Attic」「Back in the Saddle」「Sweet Emotion」で見事な力強いプレイを披露した。「Dream On」では白いグランドピアノがステージに運び込まれ、タイラーが演奏。そして「Walk This Way」では、クレイマーがドラマーのジョン・ダグラスとともにドラムを叩いた。

Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation
10月29日と11月1日の2公演では、「and more」として告知されていたゲストの顔ぶれが異なる可能性もあるが、初日のステージにRun-DMCの姿はなかった。Run-DMCとエアロスミスが1986年にコラボレーションした「Walk This Way」は、ジャンルの壁を打ち破ると同時に、新たな音楽の可能性を切り拓いた歴史的成功作だ。また、公演の告知に名前が掲載されていたアリス・イン・チェインズのメンバー、トム・モレロ、マーカス・キングも初日には登場しなかった。
このコンサートによって、エアロスミスがアメリカのロックンロール界にとって国宝級の存在であり、オリジナルメンバー全員で演奏を続ける数少ないバンドのひとつであることが、あらためて強く印象づけられた。タイラーはエアロスミスの今後について、何も明かしていない。11月1日の「Aerosmith & Friends」2日目公演を終えたあとも、ライブ活動を続けるのかどうかさえ不明だ。答えは時間が経ってみなければわからない。しかし、どのような形で活動するにせよ、かつて酒とドラッグに溺れていた時代に「トキシック・ツインズ(有毒な双子)」という異名を獲得したタイラーとペリーは、アメリカにおけるミック・ジャガーとキース・リチャーズなのだ。ハリウッド・ボウルの観客も、2人をまさにそのような存在として敬愛していた。そして、さまざまなグッズを買い求める人々の列がいつまでも途切れなかったことから判断する限り、エアロスミスの人気はまったく衰えていない。
今回のコンサートが伝えようとしていたメッセージは、「Dream On」の歌詞に込められているのかもしれない。タイラーの忘れがたい絶叫によって、ローリングストーン誌の「音楽史に残る最高の叫び」ランキングで1位に輝いた楽曲だ。タイラーは、今この瞬間を生きることについて、こう歌っている。〈笑いのために歌おう、涙のために歌おう/今日だけでもいい、僕と一緒に歌ってくれ/明日には神様が君を連れ去ってしまうかもしれないから〉。
「Aerosmith & Friends」ハリウッド・ボウル初日公演 セットリスト
1. 「Make It」― サリー・エルナ(ゴッドスマック)
2. 「Lightning Strikes」― サリー・エルナ(ゴッドスマック)
3. 「Lord of the Thighs」― ウォーレン・ヘインズ
4. 「Walkin' the Dog」― ウォーレン・ヘインズ
5. 「Livin' on the Edge」― ビリー・アイドル&スティーヴ・スティーヴンス
6. 「Draw the Line」― サミー・ヘイガー
7. 「Helter Skelter」― サミー・ヘイガー
8. 「Never Loved a Man」― ハート
9. 「Janie's Got a Gun」― ハート
10. 「Rag Doll」― エリック・チャーチ
11. 「I Don't Want to Miss a Thing」― エリック・チャーチ
12. 「Let the Music Do the Talking」― ブラック・クロウズ
13. 「Write Me a Letter」― ブラック・クロウズ
14. 「Combination」― ブラック・クロウズ
15. 「No More No More」― ブラック・クロウズ
16. 「Chip Away the Stone」― ブラック・クロウズ
17. 「Nobody's Fault」― ガンズ・アンド・ローゼズ
18. 「Last Child」― ガンズ・アンド・ローゼズ
19. 「Seasons of Wither」― ガンズ・アンド・ローゼズ
20. 「Welcome to the Jungle」― ガンズ・アンド・ローゼズ
21. 「Paradise City」― ガンズ・アンド・ローゼズ
22. 「Toys in the Attic」― エアロスミス(ドラム:デイヴ・グロール)
23. 「Back in the Saddle」― エアロスミス(ドラム:デイヴ・グロール)
24. 「Sweet Emotion」― エアロスミス(ドラム:デイヴ・グロール)
25. 「Dream On」― エアロスミス(ドラム:デイヴ・グロール)
26. 「Train Kept a Rollin'」― エアロスミス(ドラム:デイヴ・グロール、ギター:ジョニー・デップ)
27. 「Walk This Way」― エアロスミス(ドラム:ジョーイ・クレイマー&ジョン・ダグラス)
