アイシークリニックを運営する鉄結会は2026年10月23日、秋冬に増加する唇の荒れや口角炎に関する調査結果を発表した。調査は2026年10月5日~10月14日、過去1年以内に唇の荒れを経験した全国の20~60代の男女300人を対象に、インターネットアンケートで実施した。

唇の荒れや口角炎とは

口唇炎は、唇に起こる炎症性疾患の総称。乾燥や刺激、アレルギー、感染などが原因となり、乾燥や皮むけ、ひび割れ、腫れ、かゆみなどの症状が現れる。慢性化すると色素沈着を起こすこともある。

口角炎は、口角(唇の両端)に生じる炎症。乾燥や細菌感染、カンジダ感染、ビタミンB群の欠乏などが原因となり、口角の亀裂や発赤、痛み、かさぶたなどの症状が現れる。

舌なめ皮膚炎は、唇やその周囲を繰り返し舐めることで生じる接触性皮膚炎。唾液に含まれる消化酵素が皮膚のバリア機能を損ない、乾燥と炎症の悪循環を引き起こす。子どもに多いが、成人でも発症する。

7割以上がリップクリームを塗っても治らないと実感

唇が荒れたとき、リップクリームを塗ってもなかなか治らないと感じたことがあるか尋ねたところ、「よくある」「ときどきある」を合わせて73.7%に達した。多くの人がセルフケアだけでは改善しにくいと感じていることがわかった。リップクリームを塗っても改善しない場合は、乾燥以外の原因も考えられるという。

  • リップクリームを塗っても治らないと感じたことがあるか

    リップクリームを塗っても治らないと感じたことがあるか

6割以上が唇を舐める癖を自覚

唇が乾燥したとき、つい舐めてしまう癖があるか尋ねたところ、「よく舐めてしまう」「ときどき舐めてしまう」を合わせて62.0%となった。唇を舐めると一時的に潤った感覚を得られるが、唾液が蒸発する際に乾燥を招き、さらに荒れやすくなる悪循環につながるという。

  • 唇が乾燥したとき、つい舐めてしまう癖があるか

    唇が乾燥したとき、つい舐めてしまう癖があるか

唇を舐める癖がある人の84.3%が荒れの長期化を経験

唇を舐める癖がある人に、唇の荒れが1週間以上長引いた経験があるか尋ねたところ、「2週間以上長引いた」「1~2週間程度長引いた」を合わせて84.3%に達した。唇を舐める癖がある人の多くが、荒れの長期化を経験していた。舌なめ皮膚炎の可能性も含め、唇を舐める習慣が症状を悪化・長期化させている可能性を指摘している。

  • 唇の荒れが1週間以上長引いた経験があるか

    唇の荒れが1週間以上長引いた経験があるか

約半数が口角炎を経験、3割は繰り返し発症

口角(唇の端)が切れたり、ただれたりした経験があるか尋ねたところ、口角炎を経験した人は55.3%と過半数を占めた。そのうち、31.0%が「何度も経験がある」と回答した。繰り返す口角炎では、カンジダ感染やビタミン不足など、根本原因を特定する必要があるケースもあるという。

  • 口角(唇の端)が切れたり、ただれたりした経験があるか

    口角(唇の端)が切れたり、ただれたりした経験があるか

皮膚科を受診した人は18.3%、8割以上がセルフケアのみ

唇の荒れや口角炎で皮膚科を受診したことがある人は18.3%にとどまった。「唇の荒れくらいで病院に行くものではない」という認識が広がっている可能性もある。しかし、2週間以上治らない場合は感染症やほかの疾患が原因となっている可能性もあるため、皮膚科の受診が推奨される。

  • 唇の荒れや口角炎で皮膚科を受診したことがあるか

    唇の荒れや口角炎で皮膚科を受診したことがあるか

皮膚科医が解説する唇の荒れの原因と受診の目安

アイシークリニックの髙桑康太医師は、リップクリームを塗っても治らない唇の荒れについて、乾燥だけでなく、唇を舐める癖や口呼吸、接触性皮膚炎、カンジダ感染など、複数の要因が関係している場合があると説明する。

唇はほかの皮膚と異なり、角層が非常に薄く、皮脂腺や汗腺がないため、自ら潤いを保つ力が弱い。そのため外的刺激を受けやすく、一度荒れると治りにくい特徴があるという。

特に注意したいのが、唇を舐める癖だ。乾燥を感じて舐めると一時的に潤うものの、唾液が蒸発する際に角層の水分も奪われ、さらに乾燥が進む。また、唾液に含まれるアミラーゼなどの消化酵素が唇の薄い皮膚を刺激し、炎症を引き起こすこともある。こうした状態は「舌なめ皮膚炎」と呼ばれる。

口角炎については、乾燥だけでなく、カンジダ感染が原因となっているケースもある。この場合、保湿剤やステロイド外用薬だけでは改善せず、抗真菌薬が必要になることがある。また、ビタミンB2・B6や鉄分の不足も原因となるため、繰り返す場合は血液検査を行うこともあるという。

髙桑医師は、2週間以上セルフケアを続けても改善しない場合や、口角炎を何度も繰り返す場合は皮膚科を受診するよう呼びかけている。日本皮膚科学会の診療指針でも、慢性的な口唇炎・口角炎について原因検索の重要性が示されている。また、同医師の臨床経験では、セルフケアで改善しない唇の荒れの約3割で、カンジダ感染や接触性皮膚炎などの特定原因が見つかっているという。

唇の荒れを悪化させるNG習慣

唇の荒れを悪化させる習慣として、以下の3点を挙げている。

・唇を舐める。唾液に含まれる消化酵素が炎症を引き起こすことがある。
・皮をむく。傷口から細菌感染を起こすリスクがある。
・刺激の強いリップ製品を使う。メントールや香料などが刺激になる場合がある。

正しい唇ケアのポイント

唇の荒れを防ぐためのケアとして、以下を紹介している。

・ワセリンや低刺激のリップクリームでこまめに保護する。
・室内を加湿し、湿度50~60%を目安に保つ。
・口呼吸の改善を目指す。就寝時のマスク着用も有効としている。

唇の荒れに関するよくある質問

唇の皮むけがリップクリームを塗っても治らないのはなぜ?

乾燥以外に、唇を舐める癖や接触性皮膚炎、感染症などが原因となっている可能性がある。今回の調査では73.7%がリップクリームを塗っても治らないと感じていた。唇を舐める癖を自覚する人も62.0%に上る。リップ製品に含まれる成分へのアレルギーやカンジダなどの感染症が原因となる場合もあるため、2週間以上改善しない場合は皮膚科で診察を受けることが勧められる。

口角が切れるのは何が原因?

乾燥やカンジダ感染、ビタミン不足、唾液による刺激などが主な原因として挙げられる。調査では55.3%が口角炎を経験し、そのうち31.0%が繰り返し発症していた。口角は唾液がたまりやすく、カンジダが繁殖しやすい部位でもある。繰り返す場合は、保湿だけでなく抗真菌薬や栄養状態の改善が必要になることもある。

唇の荒れは皮膚科で診てもらえる?

唇の荒れや口角炎は皮膚科の診療対象となる。調査では皮膚科の受診経験者は18.3%だったが、必要に応じて真菌検査や血液検査を行い、原因に応じてステロイド外用薬や抗真菌薬、ビタミン剤などを用いて治療する。2週間以上治らない場合は受診が勧められる。

唇を舐める癖はどうすれば治せる?

こまめな保湿で乾燥を感じにくくし、癖を意識することが第一歩となる。乾燥を感じる前にワセリンなどで唇を保護し、舐めたくなる状況を減らすことが有効とされる。また、舐めていることを意識するだけでも頻度が減る可能性がある。就寝中の口呼吸対策として、マスクを着用する方法も紹介されている。

冬場の唇荒れを予防するには?

保湿や加湿、刺激の回避を基本に、食事にも気を配ることが大切だという。外出前・食後・就寝前のこまめな保湿、室内の加湿、刺激の強い食べ物や香料入りリップの回避、ビタミンB群を含む食品の摂取が挙げられる。また、調査で84.3%が荒れの長期化を経験していた「唇を舐める癖」を避けることも重要とされる。