鉄結会が運営するアイシークリニックは8月3日、クラゲ刺されをはじめとする海の生き物による皮膚トラブルに関する実態調査の結果を発表した。調査は2026年7月6日~7月15日、全国の20~60代で海水浴経験のある男女300名を対象にインターネットで行われた。
海水浴シーズン「クラゲ刺され」が急増
毎年7月から9月にかけての海水浴シーズンには、クラゲ刺傷による皮膚トラブルで皮膚科を受診する患者が急増する。特に8月はクラゲの発生がピークを迎え、お盆休みの海水浴客がクラゲに刺されるケースが後を絶たないという。しかし、インターネット上には「真水で洗う」「砂でこする」「酢をかける」など、誤った情報も多く流布しており、不適切な応急処置によって症状を悪化させるケースも少なくない。そこで今回、海水浴シーズンに向けた正しい知識の普及を目的として、本調査が実施された。
海水浴経験者の約7割がクラゲ刺されを経験
海水浴経験者の約7割がクラゲに刺された経験があることが明らかになった。海水浴を楽しむ上で、クラゲ刺されは非常に身近なリスクであり、正しい応急処置の知識を持っておくことの重要性が示唆される。
8割以上が誤った処置を実施
「真水で洗う」「こする」といった誤った処置が7割以上を占めており、正しい処置である「海水で洗い流した」はわずか8.9%にとどまった。真水で洗うと浸透圧の変化により未発射の刺胞が一斉に発射し、症状が悪化する危険性がある。
正しい応急処置を知っている人はわずか12.7%
正しい応急処置を「知っている」と回答した人はわずか12.7%で、半数以上が「よくわからない」または「全く知らない」と回答した。正しい知識の普及が急務であることが明確になった。
7割以上が自己判断で対処
医療機関を受診した人は4人に1人未満で、約2割が「跡が残った・症状が長引いた」と回答している。自己判断で対処した結果、色素沈着や瘢痕が残るケースも少なくないことがうかがえる。
誤情報の拡散が深刻
「酢が効く」という情報を聞いたことがある人は84.7%に上り、そのうち約半数が「正しいと思っていた」と回答した。実際には酢はアンドンクラゲなど一部の種にのみ有効で、カツオノエボシなどには逆効果となる場合がある。
クラゲに刺されたときの正しい応急処置は?
アイシークリニックの髙桑康太医師が、クラゲに刺された際の応急処置を解説している。
クラゲの触手には「刺胞」と呼ばれる毒針を発射する細胞が無数に存在する。この刺胞は物理的刺激や浸透圧の変化によって発射されるため、真水で洗うと海水との浸透圧差で未発射の刺胞が一斉に発射し、被害が拡大するという。同様に、患部をこすったり砂でこすったりする行為も、刺胞を皮膚に押し込み、さらなる毒の注入を招く。
酢については、アンドンクラゲ(通称「電気クラゲ」)には刺胞の発射を抑制する効果があるが、カツオノエボシには逆に刺胞の発射を促進してしまう。海岸でクラゲの種類を正確に判別することは困難なため、酢の使用は推奨されない。
正しい処置としては、まず海水で患部を十分に洗い流し、目に見える触手があればピンセットやカードの縁などで慎重に除去する。素手で触ると指にも被害が及ぶため注意が必要となる。その後、氷嚢やタオルで包んだ保冷剤で患部を冷やし、炎症と痛みを抑える。
症状が強い場合、広範囲に刺された場合、呼吸困難や動悸などの全身症状がある場合は、速やかに医療機関を受診する必要がある。特にカツオノエボシなど毒性の強い種による刺傷では、アナフィラキシーショックを起こすリスクがあり、迅速な対応が求められるという。
Q1.クラゲに刺されたらどうすればいい?
A.まず海水で患部を十分に洗い流し、残った触手があればピンセット等で慎重に除去する。その後、氷嚢等で患部を冷やす。調査では正しい処置を知っている人はわずか12.7%で、42.1%が真水で洗うという誤った対応をしていた。真水は刺胞を発射させるため、必ず海水を使用する必要がある。
Q2.クラゲ刺されに酢は効く?
A.調査では48.7%が「酢が効く」と信じていたが、これは一部のクラゲにのみ当てはまる。日本の海水浴場で見られるカツオノエボシには酢が逆効果となり、刺胞の発射を促進してしまう。種類の判別が困難な現場では、酢の使用は推奨されない。
Q3.クラゲに刺された跡が消えない場合、皮膚科に行くべき?
A.調査では18.7%が「受診せず跡が残った・症状が長引いた」と回答している。クラゲ刺傷による色素沈着や瘢痕は、早期に適切な治療を行うことで改善が期待できる。特に痛みや腫れが続く場合、水疱ができた場合は、感染や重症化の可能性があるため、早めの受診が推奨される。
Q4.クラゲに刺されたときに真水で洗ってはいけないのはなぜ?
クラゲの刺胞は浸透圧の変化に敏感で、真水に触れると一斉に毒針を発射する。調査では42.1%が真水で洗っており、これが最も多い誤った対応だった。必ず海水を使用し、真水(水道水、ペットボトルの水、シャワーなど)は避ける必要がある。
Q5.クラゲに刺されないための予防法は?
肌の露出を減らすラッシュガードやウェットスーツの着用が効果的とされる。また、クラゲは8月中旬~9月にかけて発生がピークを迎えるため、海水浴場のクラゲ発生情報を事前に確認することも重要となる。





