チャーリー・プースが奏でた、ポップミュージックの幸福──横浜を包んだ至福の90分

世界トップクラスのシンガーソングライター、チャーリー・プースによる一夜限りのプレミアム・ライブが、神奈川・ぴあアリーナMMで開催された。

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チケットは完売し、幅広い世代の観客が会場を埋め尽くした。SEの音量が上がり、LEDビジョンに「みんな準備はできてるか?」という日本語の字幕が映し出されると、オーディエンスの熱気は一気に高まった。「Yokohama みんなの声を聴かせてくれ」「いやいやいや、まだまだ声が小さいぞ もっと声を聴かせてくれ 叫べえええええ」と、画面上のテキストで畳みかけるアジテーションに、観客も歓声で応える。そこへバンドの演奏と男女のコーラス隊の歌声が重なるという、巧みな演出で盛り上げるオープニングだ。

ステージにはギター、ベース、ドラムのバンドメンバーに加え、男女のコーラス隊がスタンバイ。最後にチャーリー・プースが姿を現し、ピアノを奏でながら、最新アルバム『Whatever's Clever!』収録の「Beat Yourself Up」でライブの幕を開けた。いきなりご機嫌なバイブスで場内を包み込む。間違いを犯しても自分を責めず、たった1日でも生き延びることに意味があると伝えるポジティブなメッセージは、ライブの始まりにふさわしい。

ギタリストがさらに場内を温め、「How Long」へ。イントロが鳴った瞬間に歓声が上がる。チャーリーはマイクを客席に向けてシンガロングを促し、スリリングなグルーヴを加速させていく。笑顔で手を振りながら、オーディエンスに挨拶する姿も印象的だ。

切ない歌声と弾むようなシンセポップが融合した「LA Girls」では、〈TOKYO〉という言葉を歌詞に織り交ぜると、大喝采が巻き起こる。続いて、宇多田ヒカルとのコラボレーションが話題を呼んだ「Home (feat. Hikaru Utada)」へ。宇多田のパートは女性コーラスが担い、チャーリーとの美しいハーモニーを聴かせる。無駄な音をそぎ落としたタイトなアンサンブルが、チャーリーの歌声の魅力をいっそう際立たせた。

ピアノを弾きながら「良い時間を過ごしてるよ」と語り、「Cry (feat. Kenny G)」へ。ギタリストの見事なソロプレイが楽曲を彩る。「I love you, I love you, I loved you I loved you dangerously」というフレーズをオーディエンスが歌い上げた「Dangerously」では、チャーリーのおどけたMCに笑い声が上がった。

「Patient」では、オーディエンスが腕を左右に揺らしてリズムを取る。終盤には演奏が止まり、チャーリーのロングトーンだけが会場に響き渡った。「We Don't Talk Anymore (feat. Selena Gomez)」でも、もちろんシンガロングが発生。ビジョンに歌詞が映し出される演出も嬉しい。チャーリーはマイクを客席に向け、一体となって歌うオーディエンスを称えた。息子のエピソードを楽しそうに語った後は、「BOY」へ。ビジョンには無数の音符がビートに合わせて跳ね、軽やかなファルセットが生み出す高揚感をさらに増幅させていく。

後半戦、「Left and Right (feat. Jung Kook of BTS)」をチャーリーが歌い出すと、悲鳴のような歓声が上がった。「Attention」はイントロからオーディエンスの歌声が響き、チャーリーも嬉しそうな表情を浮かべる。客席の歌声に自らのボーカルを重ね、会場全体をひとつにしていった。

もうすぐこの時間が終わってしまうことを告げ、「最高の時間だったよ」と感謝を伝えるチャーリー。続く「One Call Away」は、チャーリーとコーラス隊のアカペラで始まった。心地よいハーモニーに合わせて、オーディエンスがスマートフォンのライトを灯し、左右に振る。会場を包む多幸感は、さらに大きくなっていく。「Im only one call away Ill be there to save the day」という歌声が場内いっぱいに響き渡り、演奏はチャーリーのピアノだけに。客席から「チャーリー!!」という絶叫が上がると、ステージには笑顔が広がった。

続いて披露されたのは、映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』の製作中、2013年に交通事故で亡くなった俳優ポール・ウォーカーに捧げられた、ウィズ・カリファの「See You Again (feat. Charlie Puth)」。ここでもピアノと歌だけというシンプルな構成で、オーディエンスの「I see you again」という歌声が会場に響き渡る。さらにチャーリーは、歌詞を「Tokyo again」と変えて歌い、観客を喜ばせた。

日本のオーディエンスに感謝と愛を惜しみなく伝え、再会を誓ったチャーリー。最後は最新アルバムの冒頭を飾る「Changes」を披露した。自然とハンドクラップが巻き起こり、ピースフルな空気に包まれたライブは幕を閉じた。

歌声と楽器の音色、コーラスのハーモニーを巧みに重ね合わせ、良い歌、良いメロディ、良いグルーヴでオーディエンスを包み込み、会場全体をひとつにしてしまう。ライブならではのアレンジや観客とのコミュニケーションもふんだんに盛り込まれ、終始、多幸感に満ちた時間が流れた。音楽の喜びを全身で味わい続けられる、約1時間半の至福のステージだった。