第53回川崎みなと祭りが10月10日・11日の2日間、神奈川県川崎市の川崎マリエン(川崎市港湾振興会館)で開催された。

港湾関係者の幅広い協力を得ながら、普段は見ることができない特別な船の一般公開やさまざまな体験イベントなどを通じて、開催期間中に多くの方が来場した本イベント。10日に開催されたオープニングセレモニーの様子や本イベントに出展した日本船主協会による「海事PRブース」を取材した。

川崎市制50周年を機に始まった、市内最大級の港の祭典

川崎市経済の振興・発展のため、1974年の川崎市の市制50周年記念をきっかけに第1回が開催された川崎みなと祭り。開始当初は川崎駅前で開催されていたが、1992年以降は同年に開館した川崎マリエンが主会場となり、現在は川崎市内でも最大級のイベントのひとつとなっている。

今年で53回目を迎えた「川崎みなと祭り」には、川崎港開港75周年記念イベントとして、太平洋の白鳥と呼ばれる帆船「日本丸」が25年ぶりに寄港。第53回川崎みなと祭りの開催に伴い、外貿埠頭エリアに入港した海上自衛隊護衛艦「ゆうだち」、海上保安庁巡視船「いず」とともに3隻の船の一般公開が実施された。

開幕を彩った10日のオープニングステージには、川崎市消防音楽隊とカラーガード隊「レッド・ウイングス」が登場。音楽隊の力強い演奏とともにフラッグ演技・カラーガード演技を披露した。

続いて行われたオープニングセレモニーで、川崎市長の福田紀彦氏は「今年は川崎市が港湾管理者になってから75年目。大きな節目をこうして皆さまとお祝いできることを心から嬉しく思っています」と挨拶。 大規模な冷凍倉庫群がある川崎港は4000万人の食を支える“首都圏の冷蔵庫”と呼ばれており、国内に輸入されるLNG(液化天然ガス)と原油の約1割を受け入れる重要なエネルギー基地の役割も担っていることを紹介した。

「今年9月に国からGX戦略地域の指定を受け、川崎港を含む臨海部は大きな変化を迎えています。現在、水素製造・供給の拠点を建築中であるほか、今年8月には次世代の高度物流拠点に関する連携協定を川崎市、JFEホールディングス、JFEスチール、日本GLPの4者で結びました」(福田氏)

環境対策の面において川崎港コンテナターミナルは、国の「CNP(カーボンニュートラルポート)認証」制度における20フィートコンテナ1個あたり(1TEU)のCO2排出量の試算で、認証を取得する全国のコンテナターミナルの中で最少と認定されている。

「港湾関係者の皆さまのご協力のもと、選ばれる港として、これから100年の発展を見据えて川崎港は発展していきます。多くの市民の皆さんに港の大切さと魅力を感じていただける2日間にしてまいります」(福田氏)

新キャンペーンで海運の魅力を発信

主催である川崎みなと祭り実行委員会の森賢一実行委員長から、帆船「日本丸」、海上保安庁巡視船「いず」と海上自衛隊護衛艦「ゆうだち」の各船長・艦長へ花束が贈呈されたオープニングセレモニー。

セレモニーの会場となった川崎マリエンの交流棟では、海や港に関する展示を実施。ボトルシップ工作教室などのワークショップや、川崎を中心に活動する市民アーティストによるステージパフォーマンスなども披露された。

また、川崎税関支署による「税関展」ブースや川崎清港会による「災害時に役立つロープワーク」ブース、そしてボトルシップ教室といった多彩なブースが出展。たくさんの来場者が海や港で働く仕事の大切さや魅力に触れる機会となった。

「海事PRブース」を展開していた日本船主協会は、「“せかい”を、うんと身近に。」をキャッチフレーズに、今年から新たなキャンペーンを開始。同キャンペーンのパネルによる展示を本イベントで初めて行い、掲示されたパネルを見ながら子ども向け/大人向けのクイズを解いてもらう仕掛けを用意した。クイズの参加者にプレゼントするシールブックも今回が初出しとなったようだ。

「川崎みなと祭りはお子さんが多いので、シールブックもあえて小さいお子さま向けに、漢字が読めなくても絵を見て楽しめるように制作しています」(ブース担当者)

新たなキャッチフレーズにはグルメや衣服、スマホや車など生活の中の“お気に入り”の多くが、遠い世界から船で運ばれてきたものであり、その物語を知ることで遠い世界を身近に感じてもらうという思いが込められているようだ。

今年は日本内航海運組合総連合会と共同で巨大な自動車運搬船のブリッジやエンジンルームを体験できるVRコンテンツも用意。VR体験者向けのお土産も配布した。

「5年ほど続けてきた『“開運”じゃなくて、“海運”です。』というキャッチコピーによるPRキャンペーンに加えて、新しいキャンペーンを立ち上げました。ホルムズ海峡の問題で海運への興味・関心が高まっているタイミングですし、また少し違った視点から海運への理解増進を促していきたいなと。少し説明的な内容ではありますが、海運という仕事が担う大切な役割を、多くの方に実感してもらえたらと思います」

屋外にはグルメと荷役機械の展示も。3隻の無料公開には長蛇の列

川崎みなと祭りでは川崎港を身近に感じてもらうため、子どもから大人まで楽しめる体験イベントやステージプログラムが例年、多数企画されている。会場では「川崎市長杯JVA第18回ビーチバレーボール大会」、「ちくさんフードフェア2026」といったイベントも同時開催され、今年は好天にも恵まれ大勢の来場者で賑わいを見せていた。

屋外の駐車場エリアにはフードや物販があり、川崎港と定期航路で結ばれている八戸港の協力で、八戸の名物・特産品を販売。川崎のソウルフード「元祖ニュータンタンメン本舗」や漁港メシといったバラエティ豊かなグルメが提供された。 また、川崎マリエンの会場からほど近い外貿埠頭エリアのスペースでは港で働く荷役機械の展示コーナーも用意。フォークリフトなどが展示され、記念撮影を楽しむ親子連れの姿が多く見受けられた。

外貿埠頭に着岸していた帆船「日本丸」、海上自衛隊護衛艦「ゆうだち」、海上保安庁巡視船「いず」の一般見学は無料で、事前申し込みも不要。見学開始前には長蛇の列ができるなど、川崎みなと祭りの目玉企画となっていた。

近年の人手不足を受けて、普段はなかなか一般の人が立ち入る機会のない港と市民の関係性の構築も大きな使命となっているという港湾業界。2日間にわたって盛りだくさんのイベントが行われた川崎みなと祭りは、港や海で働く人や船と直接触れ合う秋の祭典として、多くの川崎市民に親しまれているようだ。