1986年に放送された特撮テレビドラマ『時空戦士スピルバン』の放送40周年を記念した上映&トークイベント『時空戦士スピルバン アークインパルス上映』が2026年9月5日、東京・秋葉原UDXシアターにて開催された。4KネガスキャンHDリマスターを施されたBlu-ray(2026年10月14日、東映ビデオより発売)による4エピソードの上映と、主演のスピルバン/城洋介役・渡洋史と相棒のダイアナレディ/ダイアナ役・澄川真琴による当時の思い出トークが披露され、つめかけた特撮ファンを感激させていた。
『時空戦士スピルバン』は、1986年4月から1987年3月まで、テレビ朝日系で毎週月曜19:00~19:30に放送された、東映制作の特撮テレビドラマである。宇宙規模のスケール感を備えた強化服ヒーローの活躍を描く「メタルヒーロー」路線としては、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)『宇宙刑事シャリバン』(1983年)『宇宙刑事シャイダー』(1984年)『巨獣特捜ジャスピオン』(1985年)に続く5作目であり、この一連のシリーズの集大成、総決算を目指して制作された。
主人公スピルバンと相棒のダイアナは、故郷クリン星をワーラー帝国に滅ぼされ、たった2人で超時空戦闘母艦グランナスカに乗り、長い年月をかけて地球へやってきた。スピルバン(城洋介)とダイアナはワーラーの地球侵略を食い止めるべく、ハイテククリスタルスーツを「結晶」し、時空戦士スピルバン、ダイアナレディと名乗ってワーラーの戦闘機械人に立ち向かっていく。スピルバンはワーラーに捕まっている父ベンと姉ヘレンを救出したいと願っているが、ベンはワーラーによって洗脳改造され、現在は悪魔の科学者ドクターバイオに変貌。そしてヘレンもまた、ドクターバイオの手で少女仮面ヘルバイラにされ、スピルバンの命を狙う刺客として暗躍することになる。 「故郷を失ったヒーローが、父と姉を敵に回して戦う宿命を背負う」といった悲劇的な設定と、スピルバン、ダイアナレディの「男女ヒーロー」が各種メカニックを駆使してワーラー帝国と戦う、創意工夫に満ちたアクションが本作の持ち味だといえる。
上映に先立ち、総合司会のロボ石丸氏と、音楽ライター・不破了三氏がステージに登場。「前説」として、『時空戦士スピルバン』の音楽を手がけた作曲家・渡辺宙明氏のプロフィールや、ヒーローや巨大ロボットの活躍を彩る「宙明サウンド」の魅力についての解説を、軽妙なトーク術で披露した。
不破氏は、日本コロムビアからリリースされたLPレコード『時空戦士スピルバン ヒット曲集』ジャケットと、氏自身も取材・執筆参加した書籍『渡辺宙明大全』(著作:腹巻猫&宙明サウンド研究会/出版社:辰巳出版株式会社)を手にし、宙明サウンドが世間の流行を敏感に採り入れ、絶えず進歩・発展していったのかをわかりやすく解説した。
続いて『時空戦士スピルバン』全44話から厳選した4エピソードの上映が行われた。上映されたのは第4話「エンゼル?悪魔?少女仮面ヘルバイラ」、第17話「迷宮のゲームゾーン」、第39話「ウラワザ どんでん女王がえし」、第41話「主役は誰だ?仕組まれた夢工場」。いずれも4KリマスターBlu-rayの映像が用いられ、画質、音質ともに最高品質の『スピルバン』が劇場の大スクリーンでよみがえった。改めてBlu-ray映像を確認すると、ドクターバイオの「目」に用いられるクリアパーツの輝きや、ヘルバイラの赤い装甲の硬質感、スピルバン、ダイアナレディのハイテククリスタルスーツが放つメタリックな光沢などが、40年前のテレビモニター画面よりも鮮明に映し出された。Blu-rayソフトのデモンストレーションとして、今回の上映は大きな効果を果たしたといえよう。
第4話「エンゼル?悪魔?少女仮面ヘルバイラ」……ふだんは天使のような優しさを備えた女性なのに、ドクターバイオのバイオパルスを受けて強制的にヘルバイラにされると、悪魔のような性格に変貌するというヘレンの二面性にスポットを当てたエピソード。変身時の苦しみにより、地面に手をついて肩で息をするヘルバイラには、メカではなく生身の戦士であるという特徴が色濃く打ち出されている。
第17話「迷宮のゲームゾーン」……戦闘機械人ブロッカーの計略により、ゲームゾーンに引きずり込まれた城洋介が、次々に襲い来る危機に挑むノンストップアクション編。『勝手に!カミタマン』(85年)のネモトマン(根本伸介)役を務めた岩瀬威司が、ゲーム好きな少年・信夫役を好演。ブロッカー人間態・ヘビメタミュージシャン風の怪人に扮した演技派俳優・益岡徹が、鬼気迫る演技を披露しているのも見逃せない。
第39話「ウラワザ どんでん女王がえし」……人間の悪の心が集まって誕生したワーラーの新幹部ヨウキは、秘密結社「無無無」を率いて力をつけ、やがてワーラー帝国を乗っ取ろうとする野望を秘めていた。『電子戦隊デンジマン』(1980年)ヘドリアン女王などを務めた曽我町子はパンドラ女王を演じるにあたり、あえて優しく穏やかな話し方をすることで、悪の威厳と底知れぬ怖さの表現を試みたという。今回のエピソードではスピルバンそっちのけで、ワーラー奇城ガメデス内でのヨウキVSパンドラ女王の対決をクライマックスに持ってきており、「人間の悪の心」がいかにしぶとく、やっかいであるかを強調した。
第41話「主役は誰だ?仕組まれた夢工場」……スピルバンに負け続け、ワーラー帝国で肩身の狭いゼスゼロウ将軍が一念発起。「結婚して家庭を持てば男は強くなれる」と信じ込み、あろうことかダイアナを誘拐して結婚を申し込む、コミカル風味のエピソード。撮影所が主な舞台となり、ダイアナを救出に来た城洋介を映画撮影スタッフが大挙して襲ってくるという、手を変え品を変えのアクションシーンが最大の見どころとなった。
上映終了後、MCを務める映像監督・鈴村展弘氏がステージに登場し、本作のメインゲスト・渡洋史(スピルバン/城洋介役)と澄川真琴(ダイアナレディ/ダイアナ役)を呼び込んだ。『スピルバン』放送当時、高校生だったという鈴村氏は久々にエピソードを見返して、特撮ありアクションありという本作のサービス精神を改めて絶賛。40年前の特撮ヒーロー作品が持つパワーの強さを称えた。
渡洋史と澄川真琴はJAC(ジャパンアクションクラブ/現:JAE)の先輩後輩の間柄で、劇中でも抜群のコンビネーションを見せていた。第2話ラストシーンで、城洋介がチョップを出すとすかさずダイアナが受けるというやりとりは、リハーサルのときに渡が提案したアドリブ演技だったという。同じく第22話ラスト、逃げる洋介をダイアナが追いかけるカットなども、2人で考えたアドリブ的な芝居とのこと。幼なじみ、相棒、パートナーといった洋介とダイアナの関係性は、渡、澄川の創意工夫によって育まれていったことがうかがえる。
澄川は「せっかくJAC同士で共演しているのに、2人のコンビアクションをするチャンスがなかなか無くて残念でした。今の『りくりゅう』ペアのような、アイスダンス風のアクションができたらよかったんですけどね」と、ハイテククリスタルスーツを「結晶」する前の洋介とダイアナの連携アクションシーンが少なかったことを回想した。ちなみに、テレビ本編から離れた西武園での「スピルバンショー」に出演した時には、渡&澄川のコンビアクションを思いっきりやれたと話していた。
渡は初主演作『宇宙刑事シャリバン』(1983年)以来、2度目の特撮ヒーローを演じるにあたって「スピルバンは長い年月、カプセルに入っていたから頭の中は10歳くらいで止まっているんじゃないかと考えて、意識的に子どもっぽい芝居をやろうと試みたのですが、小笠原猛監督から『シャリバンみたいにやればいいんだよ!』と言われてね……(苦笑)」と、シャリバン=伊賀電とは違うスピルバン独自の魅力を出そうと懸命に努力していたことを明かした。
澄川はダイアナの得意技「ヒッププレス」について、「あれはアクション監督の金田(治)さんから『こうしろ』と指示されたものです。自分としてはもっとカッコいいアクションをしたかったのですが……」と、思い描いた華麗なアクションではなかったことへの戸惑いを打ち明けた。しかし「今となっては、たくさんのファンの方々が喜んでくださったので、おいしいアクションだったのかな」と、兵士キンクロンの顔面を押しつぶすダイアナヒッププレスのコミカルかつ迫力ある動きを懐かしそうにふりかえった。
トークのしめくくりとして、渡と澄川がカッコいい「結晶」ポーズを決めるコーナーが設けられた。2人は結晶から時空戦士スピルバン、ダイアナレディの名乗りまでを40年前とまったく変わらないテンションとキレ味で披露した。
熱心な『スピルバン』ファンに向け、澄川は「こうして、みなさんに愛される作品に参加できたことを誇りに思います!」、渡は「みなさんのおかげで、僕たちはスピルバン、ダイアナとして帰ってくることができます!」と感謝のメッセージを届け、また遠くない将来の再会を期待しつつ、イベントをしめくくった。
物販コーナーでは、「マクラウド」から発売のスピルバン、ダイアナレディ、ジャスピオンTシャツがファンの注目を集めた
東映ビデオのブースに並べられたBlu-ray BOXの全容。『風都探偵』などで知られる特撮愛にあふれたアニメ監督・椛島洋介氏の描きおろし「スピルバン、ダイアナレディ、ヘレンレディ」のスペシャルアウタースリーブに注目!
ロビーには『時空戦士スピルバン』放送当時の雑誌、絵本、レコードジャケットなどが並べられ、40年前を知るファンの郷愁を誘った。
バンダイから発売された「DX超時空戦闘母艦グランナスカ」は、ロボット形態のコンバットフォーメーション、二連大砲形態のカノンフォーメーションに変型できる優れものの商品。ロビーには、劇中ミニチュアを思わせる超リアル塗装を施した一点もののグランナスカが、所有者氏のご厚意によって特別に展示され、ファンの熱い視線を浴びていた。
『時空戦士スピルバン』Blu-ray BOXは現在好評発売中。
(C)東映






















