
Dannie Mayが10月9日(金)、「Dannie May TOUR 2026 YOKAI」のファイナル公演をZepp DiverCity(TOKYO)にて開催した。9月23日にリリースしたEP『YOKAI』を携え、名古屋、大阪を回った同ツアーのファイナルであり、2019年の結成時から掲げてきた「Zeppに立つ」という目標が叶った日でもある。全公演ソールドアウトとなった今回のツアーの締めくくりに、2400人を前にして3人が語ったのは、7年半の歩みと、その先への決意だった。この夜の模様をレポートする。
今回のツアータイトルである「YOKAI」という文字が書かれた特大の提灯の下、Dannie Mayの3人とサポートのリズム隊を歓声と手拍子で歓迎した満員の観客にステージの5人は早速、新境地のラップナンバー「DAME DAME」をぶつけ、ライブになだれこんだ。
「本当に、本当に、ほんと~にお待たせしました!」
スタンディングの1階席と、座席があるにもかかわらずライブ開始と同時にスタンディングになっていた2階席を埋めた2400人をいきなり揺らした、その「DAME DAME」のエンディングでマサ(Vo, Gt)が言ったこの第一声に、まずグッと来たという観客は少なくなかったに違いない。なぜなら、「Dannie May始めます! どうぞよろしく!」と続いたその言葉には、単なる挨拶だけにとどまらない、とても大きな理由があったからだ。

(Photo by 小澤彩聖)
もちろん、Dannie Mayのファンならご存じだろう。東名阪を回った今回の「Dannie May TOUR 2026 YOKAI」のツアーファイナルとして、10月9日(金)に開催されたDannie Mayにとって初めてとなるZepp DiverCity公演は、2019年の結成当初からメンバーたちが掲げていた目標だったのだから、「ようこそ、約束の場所へ!」とマサの言葉がエモくなってしまうのも大いに頷ける。
「さすがに感極まるものがある。バンド結成からずっと言っていたことが今日叶えられてうれしいです」(マサ)
いや、マサだけではない。
「初Zepp DiverCity! 7年半かけて、ようやく来ました! なんとソールドアウトです!」
Yuno(Vo, Kantoku)の言葉にも熱が入る。しかし、その一方で、「え、緊張してるの?(笑)」と観客に語りかける田中タリラ(Vo, Key)が飄々としているのがおもしろい。
Yunoが言ったとおり、名古屋、大阪に続いて、ソールドアウトとなったこの日、Dannie Mayが彼らの最大の武器である3ボーカルおよび3コーラスの魅力を存分に見せつけながら演奏したのは、9月23日にリリースした配信EP『YOKAI』の「DAME DAME」「どうなったっていい」「ぬらり」「鴉と狐」を散りばめた全22曲。終盤の3曲を演奏する前にマサは「初Zepp DiverCity。過ぎてみれば、意外とあっという間でした」と振り返ったが、その体感はまちがいなく観客も同じだったはず。『YOKAI』のリリースツアーだったにもかかわらず、「名古屋と大阪でEPの話をしないという大失態を犯した」と苦笑しながら、「でも、それぐらい盛りだくさんなんです」とYunoが序盤で予告したとおり、この日、彼らは2時間たっぷりと、3回挟んだMCコーナー以外はほぼ曲間を空けずに本編の21曲をたたみかけるように繋げていったのである。そして、その勢いと最後まで途切れることがなかったハイエナジーなパフォーマンスで観客を熱狂させつづけ、我に返る時間など一瞬たりとも与えずに圧倒したのだから、そりゃあ、お互いにあっという間だったということになるだろう。
Hoo Wooと観客に声を上げさせたパーティーソングの「ぐーぐーぐー」、タオルを回しながらフロアが1つになった「ええじゃないか」、「全員で跳ぶぞ!」とYunoが煽って、フロアを揺らしたファンキーかつダンサブルな「KAMIKAZE」など、力強くフロアを盛り上げる楽曲を次々と披露。中盤では、凄みのあるパフォーマンスで観客を聴き入らせた「どうなったっていい」をはじめ、「適切でいたい」「異形」「ぬらり」など、メランコリーを滲ませる曲の数々も披露した。そういう曲でもエネルギッシュになるのがDannie May流。

マサ(Photo by 小澤彩聖)
それが彼らの基本のライブスタイルなのだと思う一方で、「7年半分の前フリがあるんだ。存分に清算してやろうと思います!」というマサの言葉を聞いてしまうと、この日は特にエネルギッシュだったんじゃないかと想像せずにいられなくなる。
この7年半の間、Dannie Mayのメンバーたちがどんな思いで活動を続けてきたのか、寡聞にして、筆者は耳にしたことがないが、悔しいと思ったことや、なにくそと歯を食いしばったこともあったんじゃないか。マサが言った「清算」という言葉や後述するこの日のメンバーたちのMCから察すれば、初のZepp DiverCity公演は臥薪嘗胆を経ての目標の成就と考えるべきなんじゃないだろうか。

Yuno(Photo by 小澤彩聖)
「語弊を恐れずに言えば、あきらめる人は嫌いなんです。それには理由があって、誰もが俺よりも才能も運も持っている。本気でそう思っているんです。この音楽業界を戦っていても、自分が一番できていないと思う。ただ、この世界と対決したとき、俺が才能で負けることと俺が大好きな音楽をやめることは別なんです。だから、俺は俺よりも才能のある奴らがやめていくのが腹立たしい。そんな中で戦いながら、俺がこの世界で勝てるものは何か考えると、それは絶対あきらめないことなんです。俺はあきらめないというプライドだけで走ってきました。この7年半、いろいろなことを言われました。言われましたけど、あきらめなかったからこそ、今日、立てました。みんなのおかげです。本当にありがとう!」
Zepp DiverCityのステージに立ったとき、胸に去来した思いをYunoが語ってからの終盤戦。「俺たちを傷つけるこの世界に反旗を翻そう!」とYunoが声を上げ、その火ぶたを切ったラップロックナンバー「鴉と狐」では、マサ、田中、サポートベーシスト&ドラマーがソロを回して、バンドサウンドの醍醐味も見せつけた。そこからマサがロカビリー調のリフを閃かせたロックンロール「BAD遺伝子」、ラップロックの「ダンシングマニア」と繋げ、再び観客の気持ちを煽り立てていったところで、観客のシンガロングとともにクライマックスという言葉がふさわしい盛り上がりを作り上げたのが、Dannie Mayの人気をさらに跳ねさせた、彼らの新しいライブアンセム「未完成婚姻論」だった。

田中タリラ(Photo by 小澤彩聖)
「2年でZeppやっちゃうバンドもいる中で俺たちは7年半かかった。バンドをやっていると、イヤなこともある。Dannie Mayもなくなりそうになったこともある。そんな3人がこうやってZepp DiverCityでやれたのは奇跡と言えるかもしれない。バンドは続けることが大事と言いながら、終わっちゃうことを恐れていたのは俺だったのかもしれない。でも、メンバー、スタッフ、たくさんの人が味方してくれた。そして何よりもここに集まってくれたあなたに会えた今こそ胸を張って言える。バンドは続けることが大事。今日がその証明だと思います。本当に仲間になってくれてありがとう。Dannie Mayを続けさせてくれて本当にありがとう」
そんなふうに語ったマサと、田中、Yunoが深々と頭を下げる。そんな3人に観客が大きな拍手を送る中、マサは続けた。
「今日この日が終わったら、俺たちは新しいことを始めようと思っています。世界をぶち抜くための弾もいっぱい携えています。これからもよろしくお願いします!」
バンド結成以来の目標だったZepp DiverCity公演が新たなスタートに変わった瞬間だった。
さっきよりも大きな拍手を送る中、バンドが演奏したのは、Dannie Mayのさらなる前進を謳いあげる「アストロビート」だ。マサの弾き語りからバラード風に始まった曲が、「どこまでも行こう!」というマサの言葉とともにロックンロールに変わって、観客のシンガロングがDiverCityに響き渡る。この日、ここまで演奏してきた感情表現が濃厚な、場合によってはおどろおどろしいとさえ言える曲の数々に比べ、あまりにも爽やかな魅力がこの曲を際立たせていたと感じたのは、筆者だけだろうか。
曲の振り幅の1つと言ってしまえば、そうかもしれない。しかし、この日のセットリストのこの位置に持ってきたことで、憑き物が落ちたような清々しさも連想させ、7年半のさまざまな思いがこの時、少なくとも筆者には昇華されたように感じられたのだが、どうだろう?

(Photo by 小澤彩聖)
ともあれ、マサの言葉を借りれば、喜怒哀楽が入り混じる7年半のさまざまな思いを清算して、心機一転したDannie Mayの姿を見せることができたのだから、ここで本編を終えてもよかった。
しかし、それはDannie Mayらしくないと考えたのか、彼らはさらに2曲、ファンクと日本の祭りのリズムを掛け合わせたような「ネガティヴジャンキー」とジャズファンクな「カオカオ」を披露して、ダメ押しするように客席を揺らしたのだった。
そして、公式ファンクラブ「MAYLAND」の開設に加え、4th Album『DECALAND』のリリースと、全国9都市を巡るONEMAN TOUR 2027「DECALAND」の開催、さらにはバンドの公式キャラクター「ダニー君」のアップデートバージョン(新ロゴの解禁)を発表するとともに音のタイムカプセルを開封するというもう1つの約束も果たされたのだった。
音のタイムカプセルとは、結成間もない頃、今や彼らの代表曲の1つになっている「御蘇 -Gosu-」をレコーディングしたとき、いつかZepp公演という目標が叶ったら、そこで観客と一緒に聞こうと約束した上でマサ、田中、Yunoがそれぞれに録音した、このバンドにかける熱い思いのことだ。
そして、Zepp DiverCity公演という目標を達成した今、「でっかいところを獲りにいく! 今日みたいに仲間を増やして、俺たちの夢を叶えてやろうと思います!」とマサが宣言。最後の最後に演奏した1曲は、もちろん「御蘇 -Gosu-」だった。

(Photo by 小澤彩聖)
3人のハーモニーワークをじっくり聴かせるDannie May流のゴスペルナンバーは曲調もエンディングを飾るのにぴったりだったが、ミラーボールが眩い光を放つ中、ラスサビを歌う観客のシンガロングが彼らの約束の場所に響き渡る光景は、言葉本来の意味で、これこそ圧巻という言葉がふさわしいものだった。
最後は、3人がそれぞれ観客に贈ったメッセージで締めくくろう。
「最高の日を本当にありがとうございました。Dannie Mayはどこまでも行きます!」(マサ)
「さあ、次の『DECALAND』は俺たちの大地を広大にしていく旅です。みんな、『DECALAND』のツアーで会おう。またな!」(Yuno)
「お客さんがゼロ人の時にZeppがまず目標だねって7年半前に言って、今日がそれを叶えた日で。(Dannie Mayが離れていってしまうみたいで)寂しいという声もちらほらあったんだけど、そんなことはなくて、これからもみんなと今日みたいに特別な日を1つ1つ刻んでいきたいと思ってます。Dannie Mayはやめないので、一緒に人生を歩みましょう!」(田中)
Official HP:https://danniemay.com/