
ザラ・ラーソン(Zara Larsson)が10月7日(水)・8日(木)に、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで自身初となる単独来日公演を開催した。世界を席巻する彼女の東京2公演は瞬く間にソールドアウト。熱狂に包まれた2日目の模様をレポート(ライブ写真は1日目に撮影されたもの)。
世界がようやく追いついた、ザラ・ラーソンの真価
「今夜、みんなにお願いしたいことは2つだけ。まず1つ目は、思いっきり楽しんでほしい。自由になって、何も気にせずはしゃいでほしい。だって今夜は、誰もあなたのことをジャッジしないから。そして2つ目は、思いっきり声を出してほしい。みんな、できる?」
4曲目を披露する前に、ザラ・ラーソンが呼びかける。しかし、彼女にそう言われる前から、東京のオーディエンスはこの2つを完璧なまでに実践していた。
ポップシーンの最前線に躍り出たディーヴァの、どこまでも伸びていく歌声。目の前のザラに全力で興奮し、会場が爆発しそうなほどのシンガロングで応える観客たち。一人ひとりが本気で歌い、踊り、スマホを掲げ、特別な時間を思う存分に堪能する。ステージとフロアが互いのエネルギーを増幅させ、高め合う。圧倒的な熱量がそこにはあった。

ザラ・ラーソンが前回来日したのは、2017年のサマーソニック。単独での来日公演は今回が初となる。2008年、わずか10歳でスウェーデンのオーディション番組に優勝し、2013年にはデビューEP『Introducing』を発表。Spotify再生回数が26億回を超えるクリーン・バンディットとのコラボ曲「Symphony」をはじめ、数々のヒットを送り出してきた彼女は、もちろん新人ではない。それなのに2026年のザラを見ていると、まるで新しいスターが誕生する瞬間に立ち会っているかのような錯覚に陥ってしまう。
象徴的な出来事が、今夏のロラパルーザだ。何万人もの大観衆がシカゴの会場を埋め尽くし、往年のヒット曲はもちろん、最新曲でも大合唱が巻き起こり、現在の勢いを印象づけた。それまで作品やライブへの高い評価、SNSでの盛り上がりを通じて蓄積されてきた再ブレイクへの機運が、大型フェスのステージで可視化された瞬間だった。
現在の躍進につながる転換点となったのは、昨年9月に発表された5thアルバム『Midnight Sun』だ。スウェーデンの夏、白夜、花、海、友情、セクシュアリティ。ユーロダンスの記憶と現代的なポップ・プロダクションを結びつけながら、ザラ自身が全曲のソングライティングに参加し、ビジュアル面にも主体的に関わった。13歳でレコード契約を結び、キャリアの初期には用意された楽曲を歌うことも多かった彼女にとって、これまで以上に自らの感性を制作の中心に据え、一貫した世界観を築き上げた作品となった。
そこから2026年に入ると、点在していた出来事が一気につながり始める。タイトル曲「Midnight Sun」がグラミー賞にノミネート。過去の代表曲「Lush Life」はリリース10周年を経てTikTokから再び火がつき、ドイツでは公式シングルチャート1位まで上昇した。
さらなる決定打となったのが、ピンクパンサレスとの「Stateside」。アリサ・リュウがミラノ・コルティナ五輪のエキシビションで使用したことも追い風となり、同曲はSpotifyグローバル・チャートで1位、全米シングルチャートでも最高6位まで上昇。さらに5月には、シャキーラ、ピンクパンサレス、ロビン、タイラ、ケラーニらを迎えたリミックス・プロジェクト『Midnight Sun: Girls Trip』を発表し、アルバムの世界観を拡張させた。
ストリーミングとSNSで生まれた熱がチケット争奪戦を巻き起こす。そして、ライブ会場で撮影された映像が再びSNSで拡散され、さらなる観客を呼び込んでいく。音源・SNS・ライブが互いの熱狂を増幅させ、その勢いが次の熱狂へとつながっていく。この循環こそが、再ブレイクを規格外のスケールに押し上げている大きな要因だ。
北米ツアーは開幕前に全公演がソールドアウトとなり、追加公演や会場のアップグレードが相次いだ。アジアでも、東京に先駆けて開催されたソウル2公演が完売。大会場すら埋め尽くすほどの人気と勢いを手にしたザラを、キャパ約1500人の恵比寿ザ・ガーデンホールで目撃できたこと自体、奇跡に近い出来事だった。
ザラはなぜ、これほど求められる存在になったのか? 数字や理屈だけでは説明しきれない答えが、この夜のステージには詰まっていたように思う。

そして迎えた当日。ライブが始まる何時間も前から、ザラ・フィーバーはすでに巻き起こっていた。『Midnight Sun』でザラが作り上げたカラフルな世界観を、ファンたちも思い思いのファッションやメイクで表現し、その写真がSNSに次々と投稿されていく(「#ザラ来日Look」を参照)。
会場に到着すると、頬や目元にグリッターを散りばめ、髪にハイビスカスを飾り、ピンクやブルーのネオンカラー、トロピカル柄やY2K風のトップスで着飾ったファンたちの姿が目に飛び込んでくる。いまやお約束となったイルカのモチーフもちらほら。ザラの世界観を自分なりに取り入れ、観客自身がショーを彩っていた。

ビジュアル面で大きな役割を果たしているのが、ザラのメイクを手がけているソフィア・シノットだ。今回のツアーでは、大胆なチークにパステルカラーや鮮やかな原色のアイメイク、星や蝶のモチーフ、ラインストーン、ボディグリッターを組み合わせた「Midnight Sun Glam」と呼ばれるスタイルを確立。照明を浴びるたびにラインストーンがきらめき、観客がスマホで撮影する縦型動画でも大いに映える。しかも、メイクや衣装は公演ごとに変化するため、「今日はどんなザラが見られるのか」という期待そのものがSNSで話題となり、ファンのメイクやファッションにも波及していく。
今回の東京2公演でも、ザラのメイクは大きな話題を集めた。まず初日は、日本のアニメ文化に着想を得た「Kawaii Glam」。目の下からこめかみ、眉の上まで鮮やかなピンクのチークを大胆に広げ、頬にはアニメキャラクターが照れたときのような斜めの線を描く「アニメチーク」を取り入れた。
そして2日目は、ハローキティのリボンをモチーフにした「Hello Kitty Glam」。左眉の上に、黒い縁取りを施した赤いリボンが立体的にあしらわれ、キュートでありながら強烈なインパクトを放っていた。訪れた国のカルチャーを自分たちの美学に取り込み、その土地でしか生まれないルックへと昇華していく。遊び心と日本へのリスペクトが感じられる。

ザラ・ラーソン公式Instagram(@zaralarsson)から引用
歌い、踊り、自分を解放するショー
客電が落ちた瞬間、割れんばかりの大歓声が沸き起こった。ピンクからオレンジへと照明が切り替わり、ザラがステージに姿を現す。オープニングを飾ったのは「Midnight Sun」。スウェーデンの白夜をモチーフにしたユーロダンスの高揚感が会場を包み込み、ザラは2人のダンサーとともにトップギアで踊り始める。ボーカルの迫力たるや凄まじく、音源で聴き慣れたはずなのに、生で浴びると改めて心を震わされた。
そこからシームレスにつながった「Blue Moon」では、ザラのもうひとつのトレードマーク、激しく腰を振るトゥワークも炸裂。マイクを客席に向けると、観客はイントロのフレーズを完璧に歌い上げ、本人も思わず驚きの表情を浮かべた。続く「Cant Tame Her」でも〈Uh, oh, uh, oh〉というコーラスが会場いっぱいに響き渡る。ザラの歌声をかき消さんばかりの声量で応えるファンたちは、この夜のもう一人の主役だった。

半円形のステージセットは、「Midnight Sun=沈まない太陽」を反映したものだ。ロラパルーザを含むフェス出演時と比べれば、会場の規模もあって、東京を含むアジア公演のプロダクションがコンパクトだったことは否めない。それでも、衣装や振付といったツアーの核となる要素はそのままに、大掛かりな舞台装置に頼ることなく、アルバムの世界観を鮮やかに凝縮してみせた。むしろ、シンプルなセットが、ザラの歌声、バンドの演奏、ダンサーたちの躍動感をいっそう際立たせていたとも言える。あれほどの至近距離で体感できたからこそ、パフォーマンスそのものが最大のスペクタクルなのだと実感させられた。
その後も、タイラとのコラボ曲「SHE DID IT AGAIN」から、2019年リリースのシンセポップ「All the Time」まで、ダンサブルな楽曲を畳みかけるように披露。そのあと中盤へ向かう前に挟まれる「Dancers Roll Call」は、ツアーを象徴する演出のひとつだ。
2人のダンサー、サマーとチェルシーが紹介され、それぞれがステージ中央で個性あふれるソロを披露。後半に設けられたバンド紹介も含めて、ショーを支える一人ひとりにスポットライトを当てる時間となっており、メンバーが前に出るたびに客席から歓声が飛んだ。ダンサーとバンドメンバーは全員女性。フロアも目測だが8割近くが女性で、自分らしさを解放し、互いを称え合う空気に満ちていた。
こうしたガール・エンパワーメントの精神も、ザラの表現を語るうえで欠かせない。8曲目の「Pretty Ugly」はこの日屈指のハイライトだった。ここで歌われる”ugly”とは、単に「醜い」という意味ではない。「女の子はお淑やかに振る舞うべき」という価値観を粉砕し、取り乱し、声を上げ、自分を解放する。ありのままの自分を肯定し、好きなように生きればいい。そんなメッセージが込められた一曲だ。
ザラが先述のMCで語っていたように、この空間では、誰からもジャッジされることはない。周囲の目など気にせず、叫びたいだけ叫べばいいのだ。〈Have you ever seen a pretty girl get ugly like this? / Messy like this? / Losin' her shit?(可愛い子がこんな姿になるの見たことある? / もうめちゃくちゃで / 激ギレしそう)〉という冒頭のフレーズを、観客たちはこの日一番のボリュームで絶叫。ザラはその声を受け止め、全力で肯定してみせる。
「東京のみんな、本当にプリティだね! 自分でも可愛いって思ってる?(「イェー!」と客席)だったら、ちゃんと声に出して言ってほしいな。私に続いて!」
そこから「I'm so pretty!」、さらに日本語で「私は可愛い!」のコール&レスポンスへ。会場が一体となって自己肯定の言葉を叫ぶなか、ザラはますます観客を煽りたてる。
「(日本語で)可愛い、可愛い、可愛い! でもね、本当に可愛くあるためには、時にはちょっと”ugly”になることも必要なの。周りがどう思うかなんて気にせず、自由になることが大事。だから、また私に続いて言ってほしい!」
「I can get ugly!(私だってお行儀悪くなれる)」
「I'm so ugly!(私ってすごく”ugly”)」
「And that's what makes me pretty!(それこそが私を可愛くする)」
感情を思いきり爆発させることで、フロア全体が無敵モードに突入したかのような高揚感に包まれ、その勢いのまま中盤を一気に駆け抜ける。11曲目の「Hot & Sexy」は、会場のムードをそのまま言い表しているようだった。
ザラ、「Pretty Ugly」の大合唱も鳥肌ものだった。可愛くあることも熱狂的に叫ぶことも周囲の目なんて気にしなくていい自由な空間。ステージ上のダンサーやバンドは全員そうだし、フロアもたぶん8割以上が女性。ただ楽しいだけじゃなくガール・エンパワーメントの精神に満ちていた。#ZaraLarsson https://t.co/UgF63e3RTe — 小熊俊哉 (@kitikuma3) October 8, 2026 「Pretty Ugly」(筆者撮影)
東京ドームという新たな夢
続く「The Ambition」は、ポップスターとして頂点を目指す飽くなき夢と、他者との比較や数字に追い立てられる焦燥を赤裸々に歌った曲だ。成功を渇望する一方で、誰かと自分を比べずにはいられない。今のザラだからこそ、いっそう切実に響く。
彼女はこの夜、その野心を未来への力強い宣言に変え、大きな夢を語りかけた。
「東京で2公演もソールドアウトできるなんて! 活動を始めた頃の自分からは、想像もできないくらい遠くまで来れた。本当に幸せ。でもね、野心っていうのは、どれだけ夢を叶えても、もっと上を目指したくなるものなの。だから、次にみんなに会うときは、東京ドームでライブがしたい! 私はこれからも大きな夢を追いかける。みんなにもそうしてほしい。だって、みんなには何だってできるんだから!」
そこから「Girl's Girl」を挟み、ザラの夢を大きく後押しした「Stateside」へ。今年2月、ピンクパンサレスの来日公演でオープニングを飾ったこの曲は、そのあと瞬く間に2026年を代表するポップソングとなった。ザラもピンクも、8カ月前には思いもよらなかった成功を手にしている。そこに至る道のりを思えば、ザラが歌う「Stateside」は胸に響いた。
そしてライブは終盤へ。2度目の衣装チェンジを経て、ザラは左肩にスウェーデン国旗をあしらったトップスと、きらびやかなミニスカートで登場。ヨーロッパのダンスミュージック文化に着想を得た「Eurosummer」で、フロアを再び狂騒の渦へと巻き込んでいく。アコーディオンの音色はどこか懐かしく、ビートは底抜けに開放的だ。
一方、「ここでちょっとだけテンポを落としてみようかな」と告げて披露された「Ruin My Life」や「Saturns Return」では、突き抜けるような声量と、感情の機微を鮮やかに描き出す表現力を兼ね備えた、稀代のボーカリストとしての実力を見せつける。続く「Puss Puss」の前には、こんな一幕もあった。
「スウェーデンでは、大好きな人と電話を切るときに『puss puss』って言うの。『キス、キス』っていう意味。昨日教えてもらったんだけど、日本語では『チューチュー』って言うんだよね?」と話すと、「『cat』って何て言うの?」と客席に質問。「ネコ!」という声が返ってくると、「ネコ? ネコ、ネコ、ネコ!」とうれしそうに繰り返す。この日のキティメイクともつながるチャーミングなやり取りだった。
「終わらない夏」のフィナーレ
クライマックスに待ち受けているのは特大ヒット曲だ。まずは「Lush Life」。2015年リリースの名曲は、ライブを通じて新たな生命を得た。ファンをステージに招く演出は、グリーン・デイに影響されたもの。昨年11月のアムステルダム公演で、招かれたファンがザラと踊った映像がTikTokで拡散されると、ツアーを象徴する”儀式”として定着していった。
このときザラが重視しているのは熱意だ。そして彼女は、選ばれてもおかしくないほど熱心なファンが、この会場に何人もいることもわかっている。今夜のためにダンスを練習し、思い思いのボードを掲げて全力でアピールする観客たち。そんな彼らに向けて、ザラはまず「みんなありがとう! メイクも衣装も最高だし、カラフルな色も、お花も素敵。」と感謝を伝え、一人ひとりの熱意を受け止め、肯定してみせた。
そして選ばれたのは、男性ファンのアイザックさん。ステージに上がると、「ちょっとだけ話してもいいですか?」と切り出し、彼はザラの歩みをまっすぐな言葉で肯定した。
「僕たちはあなたのことを心から誇りに思っています。これまで頑張ってきてくれたこと、そのすべてにありがとうって伝えたい。僕たちにとって、あなたには一度だって”flop era”(低迷期)なんてなかった。一度たりもなかったんです!」
ザラは満面の笑みを浮かべた。「ありがとう! あなたのボードには、私のこれまでのアルバムのジャケットが全部載っていたよね? それに『Uncover』の頃から応援してくれているって書いてあった。私が15歳のときにリリースした最初の曲なの。本当に長い間、私と一緒にいてくれたんだね。そして今、こうして私たちがここにいる。ずっと応援してくれてありがとう。このTシャツに何か描いてあげたいな」
アイザックさんは、その答えをずっと前から決めていたのだろう。Tシャツを渡されると、迷うことなく即答した。「NO FLOP ERA !」
ザラは大喜びでその言葉をTシャツにスプレーで書き込み、こう続けた。「あなたの言うとおりだと思う。本当の意味での”flop era”なんてないの。だって、たとえ物事がうまくいかなかったとしても、それは私たちがもっとよくなっている途中ってことだから。次のシーズンに向けて準備しているだけ。私たちはいつだって成長し、学んでいるんだよね。そうでしょ?」
この投稿をInstagramで見る Zara Larsson(@zaralarsson)がシェアした投稿
あまりにも感動的なやり取りだった。ザラは以前、再ブレイク前の自分を振り返るなかで、「Khia Asylum」というネットスラングに言及している。すでにヒット曲を持ちながらも、本人の存在感や文化的アイデンティティが確立するに至らず、楽曲ほどには世間に浸透していないポップスターを指す言葉だ。「Symphony」も「Lush Life」も知っている。でも、ザラ・ラーソンという歌手についてはよく知らない──彼女は長らく、そんな不遇の時期を過ごしてきた。
そもそも彼女には、圧倒的な歌唱力とダンススキル、誰もが知るヒット曲、長年のライブ活動で培ったステージ経験という、確固たる実力があった。それだけのものを備えながら、なかなか評価が追いつかない日々には、もどかしさもあっただろう。実際、この日のMCでも「若い頃の私は、何もかもすぐに実現してほしかった。とにかくせっかちだったの。だから、なかなか思うように成功できなかったことや、もっと早く日本に来られなかったことが、少し悲しくなることもあった」と振り返っていた。
しかし、ファンは知っていたのだ。世界がようやくザラの魅力に気づくよりもずっと前から、彼女が最高のアーティストだったことを。アイザックさんの「Lush Life」ダンスが、完璧すぎるほど完璧な切れ味だったことは言うまでもない。
そして、いよいよ「Symphony」だ。2010年代の洋楽に親しんできたリスナーなら誰もが知るサビ、〈I just wanna be part of your symphony〉の大合唱はあまりにも凄まじく、その光景を捉えた動画がSNSでもバズっていたほどだ。互いの熱狂を高め合うシンフォニーは、もはや歓喜が奔流となって押し寄せるラプソディーでもあった。
Zara Larsson performing ”Symphony” at The Garden Hall in Tokyo. https://t.co/deJKXLJYNl — Midnight Sun Tour (@midnightsuntour) October 7, 2026 「Symphony」(※動画は東京公演1日目)
フィナーレを飾るのは2度目の「Midnight Sun」。ザラは「最後はすべてが始まった場所へ、もう一度立ち返りたい。そして、この終わることのない『Midnight Sun』という物語を、ひとつの大きな円環として締めくくりたいの」と、その意図を説明する。
この曲は海外公演だと、ザラがダンサーたちに体を水平に持ち上げられる、通称「イルカポーズ」も見どころとなっている。今回の東京公演はダンサーの人数が少ないため、ステージ上で披露されることはなかったが、その演出を知るフロア前方のファンが周囲の観客に持ち上げられ、日本の客席にも”イルカ”が何組か出現した。
大団円に向かう前、ザラはこう告げる。
「最後のサビは、両手を高く上げてほしいの。それから、私と一緒に歌ってほしい。何も気にせず、自由な気持ちになってほしい。それから、このライブに来る前よりも、ほんの少しだけ幸せな気持ちで帰ってほしい。そして、ここを出たら、その喜びを世界に広げて、お互いに優しく接してほしい」
ザラは以前、ライブで実現したいことを語っている。世界中でさまざまな困難が起きているなか、たとえ1時間半だけでも、そこに幸福や一体感、コミュニティを生み出すことができるなら、それが自分の望むすべてなのだと。
「ファンはアーティストの写し鏡」という言い回しがある。この夜、ザラはファンのありのままの姿を肯定した。そしてファンもまた、ザラの世界観からこれまでの歩みに至るまで、そのすべてを肯定してみせた。暗いニュースが絶えず、誰かを否定する言葉が飛び交う世界を尻目に、会場は各々がまとったグリッターと同じくらい、眩しくポジティブな光で満ちていた。東京はすでに秋を迎えているが、永遠に終わることのない夏の熱気がそこにはあった。
ザラ・ラーソン圧倒的すぎるし、いろんな洋楽ライブ観てきたけど今夜のオーディエンスは歴代ベスト級に素晴らしかった。シンガロングの熱量と本気度がヤバすぎる!2026年最強????????????????のどこまでも伸びる声と、果てしなく高め合うフロアのエネルギーが爆発するとんでもない空間だった。#ザラ来日 https://t.co/xKsmmj8YiO — 小熊俊哉 (@kitikuma3) October 8, 2026 2度目の「Midnight Sun」(筆者撮影)
日本公演の公式セットリスト・プレイリスト
https://ZaraLarssonJP.lnk.to/MidnightSunTourSetlist
ザラ・ラーソン
『ミッドナイト・サン:ガールズ・トリップ | Midnight Sun: Girls Trip』
2026年12月23日(水)リリース
価格:¥3,300+税
仕様:国内盤限定ジャケットカバー/国内盤ボーナストラック2曲収録
〈収録曲〉
1. ミッドナイト・サン
2. ブルー・ムーン
3. プリティ・アグリー
4. ガールズ・ガール
5. クラッシュ
6. ユーロサマー
7. ホット・アンド・セクシー
8. ジ・アンビション
9. サターンズ・リターン
10. パス・パス
11. ミッドナイト・サン (ガールズ・トリップ) [with ピンクパンサレス]
12. ブルー・ムーン (ガールズ・トリップ) [with ケラーニ]
13. プリティ・アグリー (ガールズ・トリップ) [with JT & マーゴ・XS]
14. ガールズ・ガール (ガールズ・トリップ) [with エミリア]
15. クラッシュ (ガールズ・トリップ) [with エリ]
16. ユーロサマー (ガールズ・トリップ) [with シャキーラ]
17. ホット・アンド・セクシー (ガールズ・トリップ) [with タイラ]
18. ジ・アンビション (ガールズ・トリップ) [with マディソン・ビアー & バンビ]
19. サターンズ・リターン (ガールズ・トリップ) [with マリブ & ヘレナ・ガオ]
20. パス・パス (ガールズ・トリップ) [with ロビン]
21. ミッドナイト・サン (アレックス・チャップマン・リミックス) ※国内盤ボーナストラック
22. ミッドナイト・サン [with マニー・ロング] ※国内盤ボーナストラック


