紫 今が証明した、歌声ひとつで未来を切り拓く力──「PURPLE SHELTER -ep.1-」ツアーファイナル

紫 今、東名阪を巡るワンマンツアー「PURPLE SHELTER -ep.1-」を、見事に完遂。この記事では、10月3日(土)、渋谷CLUB QUATTROにて敢行されたツアーファイナル公演の模様をレポートしていく。はじめに総論から書いてしまえば、今回も、ライブハウスの規模に収まりきらないような破格のポテンシャルを感じさせるライブだった。彼女は、かねてより、いつかドーム公演を実現したいと宣言していて、この日も、目の前の一人ひとりのファンに向けて力強く約束を結んでいた。実際に、ドームの規模感をはっきりとイメージできるような壮大なスケールのライブを、彼女はしている。今回も、全編を通じて何度も圧倒された。

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開演時間になると、3人のバンドメンバーに続く形で、スーツスタイルの今がステージイン。しばしの沈黙。深いブレス。そして、無音の中、彼女は、流麗なロングトーン、しなやかなフェイク、鮮烈なハイトーンを炸裂させ、そのまま、重厚なスタジアムロックナンバー「革命讃歌」へと繋いでみせた。左手を天高く突き上げながら会場全体を巻き込み、力強く〈革命〉を牽引していく今。彼女の熾烈な歌声には、ここから〈新時代〉を切り拓いていかんとする揺るぎない意志と覚悟が貫かれているように感じられる。「踊れるか、東京ー!」「遠慮しないでもっと前おいでよ、一緒にぐちゃぐちゃになろうぜ」。今は、そう呼びかけながら次々と楽曲をドロップしていく。クレオパトラ風の衣装を纏い、優雅に舞いながら披露した「魔性の女A」では、観客からお決まりの〈クレオパトラも見惚れちゃう〉コールを引き出した上で「よくできました」と褒め称え、続く「Not Queen」では、魅惑的なグルーヴの中、歌声の力で観客を圧倒しながら、同時に、一挙手一投足を通して深く魅了していく。

Photo by Natsumi Korimoto

「ウワサのあの子」では、エレキギターをかきならしながら激情に満ちた歌声を轟かせ、「八月の花火」では、思わず息を呑むほどに美しいアカペラを届ける。彼女が誇る表現力の幅と奥行きたるや。ジェットコースターのような予測不能な展開はまだまだ続く。「Server Down」では、その曲名のとおり、観客の〈Server Down〉コールを次々と引き出しながら会場を完全制圧。そして、紫 今&muqueの最新曲「ブルーチーズ」では、サプライズでAsakura(muque)がゲストとして招かれ、チアフルなバイブスが満ちる中で2人の熱烈なマイクリレーが展開されていく。同曲の歌のメロディは限りなく平熱に近いが、ライブではそこに並々ならぬ熱量がこもり、とびっきりのパーティーチューンと化していた。今に負けじと、「シンギン!」「もっとやれそうですか、QUATTRO!」と煽りまくるAsakura。そこで生まれた熱狂は「メンタルレンタル」へと引き継がれ、さらに加熱。一転して、「私が、初めて人を愛した時に書いた曲です」という言葉を添えて披露された「最愛」では、狂おしいほどに切実な想いが力強いロングトーンとファルセットによって共有されていく。

Photo by Natsumi Korimoto

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中盤のMCで、今は、ライブの予定があまりなかった今年の春から夏にかけて、家に引きこもって制作に打ち込んでいた時期の心境を振り返った。いわく、その時期、彼女は、心が元気でなくなってしまい、「早くライブをしたい」「みんなとあったかい時間を過ごしたい」という気持ちがみるみる込み上げていたという。そして、改めて、ファンの存在と、ライブという空間のかけがえのなさに気付いたという。続けて、今は、今回のツアータイトル「PURPLE SHELTER -ep.1-」に込めた想いを明かし始めた。今回のツアーのコンセプトは、世界の終わり。外の世界には、しんどいこと、残酷なことが数え切れないくらいたくさんある。それでも、このライブの空間だけは、穢れや痛みのない場所として守っていきたい。みんなが、いつでも帰ってこれる実家みたいな場所にしていきたい。そう語った今は、続けて、「人は、一人にはなれないし、一人にはさせないから」「シェルターの外に出て、『New Walk』を踏み出していけるように、一緒に歌ってくれますか」と呼びかけ、「New Walk」からライブを再開した。観客は、彼女の渾身の想いに応えるように、高く上げた手を懸命に左右にウェーブさせていく。「こっから後半戦、まだまだやれるか、東京ー!」という今の呼びかけの後に披露された「天獄と地極」では、サプライズでyowa(CLAN QUEEN)がゲスト出演を果たした。互いにぶつかり合うように、また、互いに手を取り合うように、共に遥かなる高みを目指さんとする熾烈なマイクリレーを繰り広げていく今とyowa。クライマックスに向けて高揚感が増す中、「青春の晩餐」では全身全霊のコール&レスポンスが、「メロイズム」では鮮やかなタオル回しが、「合法パンチ」では、怒涛のコールが巻き起こり、そして、「凡人様」では、この日何度も最高潮を迎えた熱狂が、さらに大きなうねりとなって押し寄せる。あまりにも、圧巻。

Photo by Natsumi Korimoto

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最後のMCで、今は、「あまり話してこなかった自分の話を、一つ」と前置きした上で、自身が5歳だった頃の経験を明かし始めた。なかなか周りのクラスメイトに馴染めず、仲間外れにされることもあり、先生にも話を聞いてもらえない。そんな環境で過ごしていた頃、クラスメイトの一人からある裏切りにあい、深く傷付いてしまった。「私の名前を呼んでほしい」「私の言葉を聞いてほしい」その時に抱いた呪いのような衝動が、のちに音楽を始めるきっかけになり、今では、当時の経験があったからこそ、みんなと出会えて、このシェルターが生まれた。「人生、捨てたもんじゃない」と告げた今は、続けて、2027年6月5日にZepp Shinjukuで開催するワンマンライブは通過点にすぎないと断言した上で、「このシェルターをどんどんデカくしていって、私はいつか絶対に全員をドームに連れて行く」「これからも私に付いてきてくれますか?」「最後に、一緒に1曲歌ってくれる?」と呼びかけ、ラストナンバー「ギンモクセイ」へと繋いだ。イヤモニを外し、アカペラで、かつ、マイクを通さずに、美麗な歌声を響かせていく今。サビからバンドサウンドが合流し、そして、観客も高く掲げた手を左右に振りながら歌声を重ね、彼女の歌声を優しく彩っていく。感涙の大団円を経て、最後に今は、「今日は、本当に来てくれてありがとう!」「この瞬間を、私は絶対に忘れないから!」と万感の感謝の想いを叫び、名残惜しそうにステージを去っていったのだった。

Photo by Natsumi Korimoto

セットリスト

1. 革命讃歌

2. ゴールデンタイム

3. フラットライン

4. 魔性の女A

5. Not Queen

6. ウワサのあの子

7. 八月の花火

8. Server Down

9. ブルーチーズ

10. メンタルレンタル

11. 最愛

12. New Walk

13. 天獄と地極 feat. yowa

14. 青春の晩餐

15. メロイズム

16. 合法パンチ

17. 凡人様

18. ギンモクセイ

Photo by Natsumi Korimoto