「カメラが回っていないカットがある」――4日にスタートした日本テレビ系ドラマ『ハイド&シーク 0秒前の彼女』(毎週日曜22:30~)の第1話で、生成AI技術によって制作された映像カットが使用された。
福士蒼汰が主演を務める同作は、国家からテロリストとして追われるフリージャーナリスト・津倉が、死んだはずの最愛の恋人からの1本の電話をきっかけに、彼女の「知らない顔」と巨大な陰謀を追いかける極限チェイスのラブミステリー。
生成AI映像を手がけたのは、実写×AIドラマ『TOKYO 巫女忍者』を生み出したクリエイターチームと、日本テレビグループの日テレ アックスオンによるAIクリエイティブチーム「NOKI AI Studio」だ。
「AIで安く早く作る」ことが目的ではない
今回の取り組みで一貫していたのは、生成AIによる制作の「効率化」ではなく、「AIでしか到達できない画を、物語のために獲りにいく」という姿勢だったという。
『ハイド&シーク』は、逃走と追跡が高速で切り替わる物語。スケールや時間帯、危険度などの制約から、従来なら撮影を諦めざるを得なかった映像を生成AIによって制作した。
チーフ演出の鈴木勇馬氏は絵コンテの段階からAIチームと画作りを共有。撮影された実写素材とシームレスにつながるよう、カットの前後や光、レンズの質感まで細かく調整し、視聴者が違和感なく物語に没入できる映像を追求した。
AIチーフクリエイターの古谷康佑氏は、1月に放送された『TOKYO 巫女忍者』で培った制作ノウハウを連続ドラマに生かせたことを喜び、「生成AIを業務効率化だけでなく、『人間のクリエイティビティを拡張するパートナー』とすることが、次世代の映像制作における新たな一歩になると考えております」とコメントした。
「撮れないから描かない」という発想そのものを外す
AIチーフクリエイティブディレクターの古田則夫氏も「AIは、予算やスケジュールの制約で諦めていた画を物語のために取り戻すだけでなく、これまで『撮れないから描かない』と無意識に線を引いていた発想そのものを外し、作り手の創造力を押し広げてくれるもの」と説明。「日本の現場から、AIだからこそ生まれる新しい映像体験を発信し続けてまいります」と意欲を示した。
AIクリエイティブディレクターの山室健一氏は、目まぐるしく展開する物語への没入感を高めるため、映像の質感やカメラワークにもこだわったといい、「生成AIによって生み出された映像を通じて、本作の緊張感や疾走感をより一層楽しんでいただけたら嬉しいです」と呼びかけている。
生成AIで作られたカット数、10日に“答え合わせ”
今回参加した『TOKYO 巫女忍者』のチームは、同作でアジアの国際アワード「ContentAsia Awards 2026」の「Best Use of Technology in Content Production in Asia」を受賞。米エンターテインメント業界誌・Varietyでも、人間とAIの共創をコンテンツ制作に活用した事例として取り上げられた。
また、「NOKI AI Studio」は2025年7月に発足。中京テレビ制作の連続ドラマ『こちら予備自衛英雄補!?』では全10話・130カット以上に生成AIを実装するなど、ドラマやアニメ、CMで生成AIを活用した映像制作を手がけている。
『ハイド&シーク 0秒前の彼女』第1話のどの映像が生成AIによって制作されたものなのかは、10日に番組公式SNSで発表される予定。
【編集部MEMO】
『ハイド&シーク 0秒前の彼女』は、今村昌弘氏の小説『0秒前の彼女』を原作とする極限チェイスのラブミステリー。福士蒼汰が主演を務め、志田彩良、田中樹、葉山奨之、志賀李玖、藤崎ゆみあ、成海璃子、風間俊介らが出演する。脚本は山崎太基氏、演出は鈴木勇馬氏、中茎強氏らが担当。

