
結成20周年を目前に、coldrainがアルバム『OPTIMIZE = OPTDEMISE』をリリースした。AIとデータによる「最適化」が進む時代、5人が同じ部屋で向き合い、生身の衝動を鳴らした一作だ。MasatoとY.K.Cが、人間の不完全さ、バンドという共同体、そしてcoldrainの第二章を語る。
鎧を脱ぎ、初期装備で取り戻した衝動
ー20周年を目前にしたタイミングで、円熟だけではなく衝動も飛び散るアルバムが生まれたことに感嘆しています。原点を忘れないことはできてもゲットバックすることは本当に難しいと思うんですが、このアルバムは現にみずみずしいエネルギーに満ちていて、そこに凄まじさを感じました。おふたりは、この作品にどんな手応えを持っていますか。
Y.K.C(Gt) 昨年10月にリリースしたEP『OPTIMIZE』に新曲を追加してアルバムを作ることは決まっていたんだけど、『OPTIMIZE』を作った時点から時間が経つと、俺らのモードも変化するじゃないですか。だからいざ新曲を作るとなった時に、「前と同じ感じでやってもなぁ」みたいな部分が出てきてしまって。
そういう意味で制作が難しいアルバムだったんだけど、でも結果としてよかったのは、前半(『OPTIMIZE』の5曲)がすごく構築的に作っていった曲たちだったからこそ、『OPTIMIZE = OPTDEMISE』の新曲では「バカになってやろうぜ」みたいなモードになれたことでした。だから、言ってくれたように円熟と衝動がうまく合致した作品になったんだと思う。
Masato(Vo) 19年培った技術を使って鎧を着ていたのが『OPTIMIZE』で、その鎧を脱いでTシャツとジーパンで闘うモードになっているのが今作の新曲たちっていう感じ。新しい7曲はとにかく短期間で作ったからこそ超本能的になったんだろうし、結成19年を経て、また本能的で衝動的なところに戻ってこられたという意味で、第二章が始まったような手応えすらある。
Y.K.C 俺らがたどってきたニューメタルやスクリーモの時代には、今のようなモダンな音楽はまだ存在していなくて。でも2025年の音楽として発信するなら最低限はモダンな要素を取り込んでいく必要があるよねっていう作り方をしたのが『OPTIMIZE』だったと思うのね。それに対して今回の『OPTIMIZE = OPTDEMISE』の新曲たちには、今の能力値のまま初期装備に戻ったらどうなるのかな?っていうテーマがあった気がする。
ー「バカになろう」というのは、構築的に作った『OPTIMIZE』の反動として衝動を大事にしたかったのか。Century Media Recordsと契約したことで海外展開の道が再び開けたこと、さらに第3回となる『BLARE FEST.』も大成功を収めたことなど、ここ数年の勢いをそのままパックしようと思ったのか。どんな感じだったんですか。
Y.K.C それこそ19年という歴史が大きいんだろうけど、最近は「coldrainを聴いて育ちました」と言ってくれる世代と話すことが増えてきて。その中で「なんだかんだ、俺は初期のcoldrainが好きでした」みたいなことを言ってもらったり、俺ら自身も『The Enemy Inside』(2011年リリース)の再現ツアーを回ったりする中で、昔の曲を振り返る機会が多かったんだよね。もちろん技術的な部分は上達してきたし、複雑なこともやれるようになった。だけど、「せーので鳴らしていた頃のcoldrainもカッコよかったんだな」と理解させてもらう時間があったから、バカになった状態、つまり何も武装していない状態でアルバムに向かいたくなったんだと思う。
Masatoのたとえを引用するなら、肉体がカッコよくないとシンプルなTシャツは似合わないもんで。逆に言えば、19年分の技術や知識があるからこそ、今なら衝動的な作り方をしても大丈夫だと思えたんだろうね。そういう意味での原点回帰というか、本質的な部分だけで作れた作品だと思う。
ーCentury Mediaと契約してから最初のアルバムであるという角度で考えると、日本の音楽の受け取られ方がこの数年でガラリと変わったことも、今作の追い風になったんですか。ニューメタルやスクリーモのシーンが耕されていない時からcoldrainは始まり、足場を作るためにメロディックパンクやギターロックのシーンに飛び込んでいった。その結果としてニューメタルもエモもパンクも同時に食うキメラになったわけですが、そのミクスチャー感は「ガラパゴス」と言われる日本でしか生まれ得なかったものだと思うんです。そして今、ストリーミングサービスの台頭によってガラパゴスと言われていた日本の音楽が「世界有数の個性」に反転した状況がある。ということは海外のラウドミュージックに適応せずともcoldrainらしさがそのまま海外でも面白がられる可能性が高い。じゃあ何も考えずにやることが最も強い選択肢だろう、という考え方もあったんですか。
Masato たしかに、そういう状況を見ているところもあった。だけどそういう気持ちでアルバムの新曲たちを作ったかというとそうではなくて、本当に作為がなかった。5人でひとつの部屋に入って、どんなのやりたい?っていう会話から曲を組み立てていく感じだったから。
5人で向き合い、生身の感動を求める
ー本当にバンドを組みたての頃みたいな環境で作ったんですね。
Masato 結成20周年を目前にしてそんな作り方をするバンド、他にいないんじゃないかな(笑)。その都度会話をして作りたかったというよりは、お互いの背中、表情から受け取れるものがあるということが大事だったというか。
Y.K.C 従来は俺が作ったデモをみんなに送って、その後にみんなで集まって曲をセレクトしていく流れだったんだけど。でも今回に限っては、メンバーからゼロイチのアイデアを吸収するところから始めていった。
ーどうしてそういう作り方をしたかったんですか。
Y.K.C やっぱりメンバーがアガってないと、曲を作る側のテンションも上がらないから(笑)。活動が長ければ長いほど、そこが不安になってくるものなんだよね。でもメンバーそれぞれのアイデアを吸い上げることから始めればcoldrainとして長く演奏できる曲になるし、アイデアのアリ・ナシを早く確認できるほど新しいトライができるから。
Masato 長年やってるとお互いに気を遣い合ったり、言葉にしないでいいことがわかってきたりするでしょ。だけど、気を遣って何も言わないよりも、自分のやりたいことをストレートに表現できたほうがいいに決まってるからね。海外ツアーや『BLARE FEST.』もあってアルバムの制作時間が限られていたのも大きいけど、時間がない中でこそ5人のバンド感が全開になるんじゃないかなっていう予感もあったと思う。
ー今の話は、今作のコンセプトにも通じていますよね。「最適化=終焉」という意味を込めた作品名からもわかるように、「AIと人間」「データに支配されて思考を失う人間」を描いている歌たちだからこそ、coldrainがcoldrain自身に本能の爆発を求めたんじゃないかなと思うんですよね。
Masato それはある。今回のアルバムの歌詞には「恐怖」というモチーフが多く出てくるけど、AIやデータからは感動が生まれないと、後になって気づいたときの絶望を危惧する気持ちが表れていると思うんですよ。やっぱり人間は感動できなくなった瞬間に止まってしまうものだと思うし、それはcoldrainも俺個人もそうなんだよね。
だからこそ今回みたいな衝動的な作り方をしたんだろうし、アガれる何かを模索する道中にこそ感動が生まれるんだっていうことを実感したかったんだと思う。俺らはまだまだやれる!って言いながらバンドをやってきたけど、それはつまり感動を求め続けてきたということで。そうなると必然的に、データに従順になっていくばかりの時代が恐怖の対象として浮かび上がってくるんだよ。
ーそう考えると、個人と個人が交錯することでひとつの音楽を作り上げる「バンド」という共同体自体が、時代に対するメッセージになっている気がしますよね。
Y.K.C バンドとは何なのかと考えると……たとえばcoldrainの活動は、5人だけで成り立っているわけではなくて。たとえば『BLARE FEST.』でいえば、日本のロックシーンがあって、無数のバンドが紡いできた歴史があって、その中でいろんな人と出会って対話を重ねてきたからこそフェスが作れているわけだよね。
つまり俺らがcoldrainとして存在できているのは、人が作ってきた系譜をちゃんと確認できているからなんですよ。俺はそういう人のつながりが人生のトロフィーだと思うし、「人に出会うことで今の自分でいられている」と言えることこそがカッコいいと思っていて。そう考えれば、「いい歳のおっさんだね」なんて言われたとしても、いつまでもこのゲームを続けていけるんですよ。人と出会う道中で新しいマインドや技術を獲得して、新鮮な感動を知ることができる。それがバンドというものの本質だと思ってる。
Masato この発言はプロとしてどうなのかって感じだけど、めちゃくちゃ点数の低いライブを観られるのもバンドの面白さだと思うんだよね。
ーというと?
Masato バグが起こり得ることこそが、人間が生身で何かをやる面白さなんじゃないの?っていうこと。逆に言えば、奇跡みたいな150点のライブを観られる可能性もあるしさ。バンドに限らず、AIとか時代とかを考えれば考えるほど、人間が何かをやることの意味はそこにあると思ってしまう。

Photo by Yukitaka Amemiya
好きな音楽を混ぜ、日本の感覚でつなぐ
ーバンド感・生身感が強烈に伝わる作品になった理由がよくわかりました。『OPTIMIZE』から今作に至るまで、音楽的な青写真はあったんですか。
Y.K.C 『OPTIMIZE』を制作していた頃は『Final Destination』(1stフルアルバム/2009年リリース)の再現ツアーが終わったばかりだったから、初期の作り方――思いついたギターフレーズをゴリ押しして1曲作っていた頃の楽しさを思い出すことが多かったんだよね。そこからギターのフレーズを軸にした曲作りがテーマになっていったんだけど、これまでに培った技術や知識を使いつつ初期っぽい作り方をすれば、俺らの好きだったニューメタルが今の時代に即した進化を果たせるんじゃないか?っていうイメージもあって。
俺らが聴いていたヘヴィな音楽は一周したがゆえに若いリスナーにとっては新しい音楽として聴こえているだろうし、俺らの世代とは違う形でいろんな音楽と混ざっているのが今だと思うんですよ。でも俺らは、俺らが好きだったニューメタルがそのまま進化する世界線をまだ諦めていないんだよね(笑)。それは『OPTIMIZE』に限らず、今作の新曲たちにも一貫している部分だと思うんだけど。
Masato 最先端の音楽を目指しているわけじゃないからね。好きだった音楽を進化させたいと思い続けているだけ。俺らの世代はCDショップの試聴機に貼ってある「Hoobastank+Slipknot」みたいなポップを見て新しいバンドを知るのが普通だったけど、それをずっとやってるような感覚なんだよね。「Hoobastank+Slipknot」なんて無理だろ!って話だけど、でもそれをやれるんじゃないかっていう感覚がどこかにあるから、曲を作り続けられるんだと思う。
たとえば海外のインタビューでは「どんなバンドと比較されることが多いか」「どんなバンドっぽいと言われてきたのか」っていう質問をされることが多いんだけど、大抵のバンドは「もっとヘヴィなLINKIN PARKになりたかった」とか「もっとThirty Seconds to Marsになりたかった」みたいなことを言うんだよ。要はスタジアム級のスケール感とヘヴィな音楽の熱量が両方欲しいっていうことなんだろうし、「The Reason」のデカいバラード感と「People = Shit」のクレイジーさを1曲にまとめられるんじゃねえか?って思ってるバンドが俺らの世代にはたくさんいたんだよね。実際、俺らも「BON JOVI+LINKIN PARK」くらいのバランス感でやってきたバンドだと思うし(笑)。
Y.K.C パンチだけじゃなくて、あくまでテイスティでありたいっていうね。
Masato 究極のフライドポテトがいいよね(笑)。メインディッシュじゃないけど、B級グルメの一番ヤバいやつ。
ーとはいえ、「BON JOVI+LINKIN PARK」みたいなミクスチャー感覚は節操がないとも言えますよね。それでも思い切り混ぜてしまえるのは、日本のバンドだからですよね。で、その自由さこそが面白がられるということだと思うんですけど。
Masato 「BON JOVI+LINKIN PARK」みたいなことができるのは、俺らの根底に日本の音楽が注ぎ込まれているからだよね。日本的な歌、日本的な曲展開がベースにあるから、一見無茶な音楽の混ぜ方ができるんだと思う。何を足したとしても、日本の音楽が糊になって接着してくれるというか。
Y.K.C 俺が曲を作っていても、「こうしないと気持ち悪いんだよな」って気になっちゃうのは接着の部分であることが多くて。そもそもJ-POPは80年代からフュージョンミュージック出身の演奏者・アレンジャーが多かったから、理路整然とした展開が重視されてきたと思うの。でも海外の音楽は、何もガイドがないままいきなり次の展開をすることがあって。じゃあ俺らがどちらのタイプかというと、やっぱり前者の日本的な展開に気持ちよさを感じるバンドなんだよね。それこそが日本のバンドとしての個性なんだろうし、coldrainの音楽に一貫している部分なんだと思う。
先人の音をつなぎ、次の時代へ手渡す
ーそれで言うと「G.I.A.I.G」が本当に素晴らしくて。ニューメタルがメロディックパンクを食ったような、まさにcoldrainがたどってきた道筋を音楽で表現している1曲だと感じました。この曲はどういうところから出てきたのかを教えてもらえますか。
Y.K.C 俺らが結成した当初はヘヴィな音楽の居場所が本当に少なくて。だから、当時はメロコアのバンドと対バンすることで自分たちを鍛えて、ラウドミュージックの裾野を広げていくことが重要だったんですよ。ゆえに俺らの音楽にはメロディックパンクの血も入っているし、それこそ「Final Destination」みたいな疾走感のある曲を作ってこられたのはその時に受けた影響が大きくて。じゃあそのメロディックパンク感を全力で出してみたらどうなるんだろう?と思って書いたのが「G.I.A.I.G」だったかな。
あと、今作を作る前に回った『Final Destination』の再現ツアーにGood Griefが出てくれたのも大きくて。ポップパンクが一番カッコいいと信じて貫いているバンドの姿を見て、じゃあ俺も「このジャンルが一番カッコいい」と思うものをやってみようっていう感じになってた。
ー「F.T.T.T」とも違うタイプのパンク感がある曲ですよね。
Y.K.C 「F.T.T.T」はバンド結成10周年のタイミングで作ったから、お客さんへの感謝を伝える曲として、フロアに預ける感覚だったんですよ。でも「G.I.A.I.G」は「あの頃の自分が聴いたらアガるだろうな」っていうイメージを大事にして書いたから、完全にcoldrainのための1曲なんだよね。そしたらMasatoもそういうリリックを乗せてきたから、やっぱり曲から伝わるものはあるんだなと思いましたね。
Masato ちょっと話が逸れるかもしれないけど、俺がこの20年近く見てきたものの中で「あれは面白かったな」と思うことのひとつが、FACTがシーンに台頭した頃の状況なんだよね。あの時は、メロディックパンクのキッズだった人たちがメタルを理解するより前にFACTを好きになっていて。それは、俺らが「ラウドロック」という枠組みを作らないとやれなかったことだったんだよね。で、「G.I.A.I.G」はまさにそのラインにある曲だなと思っていて。ラウドがどうとかニューメタルがどうとか言わずとも、パンクを好きな人が自然と聴けてしまう曲。
そういう1曲をY.K.Cが作ってくれたのが嬉しかったし、日本のパンクバンドが作ったシーンの一部に俺らもいたんだよっていう表明もここに入ってる気がして。だから俺の好きなバンドの曲名をリリックに入れ込むことで俺らが経てきた道を表したかったし、その上で意味が通るものにするっていうチャレンジングなことをやれたんだと思う。
ーLINKIN PARK、Hoobastank、PAPA ROACH、Slipknot、Story Of The Year、The Usedなど。挙げていくとキリがないくらい、ルーツになったバンドの名曲が歌詞の中に織り込まれていますね。
Masato そうそう。家にあるヴァイナルを並べて曲名を挙げていったんだけど、タイトルを並べるだけでもバシバシ意味が通っていったから、これは曲に呼ばれたんだなと思うしかなかった。〈Give It All I Got〉というフレーズが自分から出てきた時も、「俺のすべてを出し切って生きていく」というのは10周年の時に書いた「F.T.T.T」にも通ずるメッセージだなと感じて。じゃあ「G.I.A.I.G」というタイトルにして、勝手に20周年直前のタイミングで続編にしてしまおうと。始まりは作為のない衝動的な作り方だったけど、最終的には俺らのやってきたこと全部がつながるような1曲になったんじゃないかなと思う。
ー〈持ってるすべてを出し切る/君たちへの愛を伝えるために〉(和訳)というラインはまさに未来に向けた宣誓だと思うんですが、何がMasatoさんにこの言葉を書かせたんだと思いますか。
Masato 俺の好きなバンドの曲名を歌詞に盛り込んでいった時に、俺らが音楽を続けていられるのは、常に先人に対する愛があるからだと思って。先人たちから「coldrainっていうバンドは絶対に俺らから影響を受けてるよ」って思われたいくらい。それこそ「BON JOVI+LINKIN PARK」の話につながるけど、先人たちの音楽を自分たちなりの解釈で掛け合わせているのは、音楽の系譜を後世につなげていきたいからだし、そういう想いを歌にすることで、俺は音楽に感謝を捧げるチャンスをもらっているんだよ。そういう気持ちを初めて言葉にしてみたのが「G.I.A.I.G」という曲なんだと思う。
矛盾や苦しみに宿る、生きている実感
ーただ、「G.I.A.I.G」や「SING」では音楽とリスナーに対する想いがストレートに歌われている一方、それ以外の曲には現代の人間への危機感が鋭く綴られています。何かを求めて手を伸ばす過程で負う痛み、傷、葛藤にこそ生きる実感が宿るんだという視座が通底している歌ばかりだと感じたんですが、この人生観はどんな背景から生まれているんですか。
Masato ……俺は半分アメリカ人、半分日本人として生まれ育った以上、本当のホームがどこなのかがわからない人間なんですよ。どこに行っても、半分違うという違和感が拭えない。それによって辛い想いをしたかと聞かれたらわからないけど、どこにいても違和感を抱えてきたのは事実で。で、それを吐き出した先がこういうヘヴィな音楽だったというところに俺の人間味が宿っている気がしていて。
たとえば「死にたい」という気持ちを叫んで聴かせるなんて矛盾した行為だし、意味がわからないじゃん。だって、死にたいくせに生きるために叫んでいるわけだから。だけど、そういう矛盾を矛盾のまま吐き出すしかない人間もいるんだよね。そういう歌が今の俺を形成していると考えたら、やっぱり矛盾や苦しみを抱えていることこそが「生きている」という実感を生んでいるんだと思う。
ー自分だけの苦しみが自分の輪郭になっている。
Masato 俺がそういう人間だから、人それぞれに苦しみがあって、その苦しみに対してもがいたり闘ったりすることが「生きていく」という実感につながると考えているんだろうね。人間が感じる苦しみに重いも軽いもないし、喜怒哀楽も人それぞれ。で、俺が怖いと思うのは、人それぞれ、感情の重みも苦しみも違うんだよということを考えられなくなることなんだよね。だからAIをはじめとしたツールに支配されていく人間を見て恐怖を覚えるんだろうし、それに対する警鐘をはっきり表明したかったんだと思う。
不完全さを赦し、人間であることを歌う
ーゆえに「SING」は、歌を通して出会ってきた人、Masatoさんが苦しみを吐き出した歌を聴いて「救われた」と感じた人に対する感謝を真っ向から綴る歌になったわけですよね。これもまた素晴らしいメロディだと思います。
Masato これは、Tシャツ・ジーパンどころかパンツ一丁になってる歌だと思う。10代の頃、なんとなく愛の曲を書いて「何も経験してないお前に何がわかるんだ」と言われていたけど、そんな歌を、本当に経験を重ねたうえで歌えた感覚だった。
ーどうして、そういう歌を歌えるようになったんだと思いますか。
Masato やっぱり20年近くも経つと、何かが起こってバンドが終わってしまう可能性も頭をよぎるじゃん。じゃあいつ終わってもいいように、今歌えることを真っ直ぐに歌うしかないと思ったんだよ。そういう意味での素直さが表れている曲だと思うし、これからは特に、思い残すことがないように毎回すべてを出し切っていきたいと思ってる。
ー人それぞれに違う苦しみを共通言語にするのは変わらないけど、でも、以前より共闘感のある歌になってきた気がするんですよね。
Masato これはアルバムに通ずるテーマのひとつでもあるし、人間とは何かっていう話でもあるんだけど、人間が人間として生きていくためには、お互いの不完全さを赦し合うしかないんだよね。その中で、俺も俺の不完全さを赦してやってもいいんじゃないかなと思えたのがとても大きなことだったんだよ。これは言い方が難しいけど、いい感じに適当にやればいいじゃんっていうさ。居場所がないからって文句を言うよりも、ホームがないならアウェイで闘い続けてやればいい。ネガティブな感情が生まれても、なんとかしてひっくり返せばいいんだよね。
……俺の言葉って、ハーフであるがゆえに人に刺さらないんじゃないかって思うことが多かったんだよ。それはこれからも背負っていく十字架なんだろうけど、でも「そうじゃないよ」って教えてくれたのが、この20年近くの間に俺の歌を聴いて「救われた」と言ってくれた人たちなんだよね。歌を歌っている以上は言葉でつながっていかなくちゃいけないと思っていたけど、英語で歌い続けてきたからこそ、感情でつながれるんだと実感してきた年月でもあって。そういう部分を信じられるようになったから、俺は自分を赦せるようになった。だからこの作品は、自分にとってもcoldrainにとっても第二章の始まりだと思ってる。

coldrain
『OPTIMIZE = OPTDEMISE』
発売中
初回仕様盤(CD):3300円(税込)/SICP-6820
初回生産限定盤(CD+Blu-ray):7700円(税込)/SICP-6821~22
初回生産限定盤(CD+DVD):6600円(税込)/SICP-6823~24※全形態に解説・歌詞・対訳付き。初回生産限定盤のBlu-ray/DVDには「BLARE FEST. 2026」のライブ映像を収録。
収録曲:
01. OPTIMIZE
02. CHASING SHADOWS
03. DIGITOLL
04. INCOMPLETE
05. FREE FALL
06. EX-HUMANITY
07. REST OF ME
08. POISON feat. Bert McCracken (The Used)
09. G.I.A.I.G
10. SING
11. PICTURE PERFECT HELL
12. SAVIOR feat. Kenta Koie (Crossfaith, AFTERVOID)
配信リンク:https://coldrainband.lnk.to/OPTIMIZEOPTDEMISE-Album
CD購入リンク:https://coldrainjp.lnk.to/OPTIMIZEOPTDEMISEPKG
<ライブ情報>
coldrain「OPTIMIZE = OPTDEMISE JAPAN TOUR 2026」
オープニングゲスト:AFTERVOID(全公演)
10月6日(火)神奈川・CLUB CITTA 開場18:00/開演19:00
10月10日(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA 開場17:00/開演18:00
10月17日(土)福岡・UNITED LAB 開場17:00/開演18:00
10月21日(水)北海道・PENNY LANE24 開場18:00/開演19:00
10月22日(木)北海道・PENNY LANE24 開場18:00/開演19:00
11月1日(日)石川・金沢EIGHT HALL 開場16:00/開演17:00
11月3日(火・祝)新潟・NIIGATA LOTS 開場16:00/開演17:00
11月29日(日)宮城・SENDAI GIGS 開場16:00/開演17:00
12月1日(火)大阪・なんばHatch 開場18:00/開演19:00
12月2日(水)愛知・COMTEC PORTBASE 開場18:00/開演19:00
12月8日(火)東京・豊洲PIT ※追加公演 開場18:00/開演19:00
12月9日(水)東京・豊洲PIT 開場18:00/開演19:00
チケット:
1階スタンディング:6800円(税込)
2階指定席:7300円(税込)※宮城・大阪・愛知公演のみ
※別途ドリンク代必要。6歳未満入場不可、6歳以上有料。
公演詳細:https://coldrain.jp/blogs/live/tagged/tour
coldrain公式サイト:https://coldrain.jp/