『ダウンタウンなう』『酒のツマミになる話』など、出演者の本音を引き出すトークバラエティを手がけてきた元フジテレビの日置祐貴氏が総合演出を担当する、ABEMAオリジナルトークバラエティ『裏垢ウララカ』(毎週土曜23:00~、全4回)が、きょう3日にスタートする。

出演者が事前に番組専用の“裏垢”へ、普段思っていることや表では言いにくい不満・疑問を匿名で投稿し、スタジオでは誰が書いたのか分からないままトークを展開する同番組。投稿者を最後まで明かさないという異色の仕掛けで、SNS時代の“本音”に迫っていく。

『酒のツマミ』では“酒”によって出演者の警戒心を解いてきた日置氏が、今度はなぜ“匿名”に目をつけたのか。そこには、近年のバラエティ制作で感じていた変化と、ABEMAに入って教えられた新たな番組作りの発想があった――。

  • 『裏垢ウララカ』(C)AbemaTV, Inc.

    『裏垢ウララカ』(C)AbemaTV, Inc.

“リモコン”はX、TikTok、YouTube ABEMAで教えられた新発想

企画の前提には、日置氏がABEMAで制作するにあたって教えられた“リモコン”の考え方があった。

テレビは電源をつけ、手元のリモコンでチャンネルを選ぶ。一方、ABEMAにとってのリモコンはパソコンやスマートフォンだけではなく、その中にあるX、TikTok、YouTubeも存在する。「そのリモコンから一発クリックしてもらえるような努力をしないと、どんなに面白くてもなかなか見てもらえない番組になってしまう」と意識して書いた企画の一つが『裏垢ウララカ』だった。

具体的に企画を考えたのは今年5月頃。ある番組でのタレントの発言がSNSで炎上する場面を目にしたことがきっかけの一つだった。

少し前までなら「そんなこと言うな!」とツッコんで笑いになっていたような発言でも、現在は誰かが過剰に反応すると瞬く間に炎上し、その一方でしばらくすると人々の関心がまた別の“火事場”へ移っていく状況に、日置氏は違和感を抱いていたという。

それは、『酒のツマミになる話』を作る中でも感じていた。「しゃべっている途中に“あれ、これヤバいかも”と急にブレーキを踏む瞬間をたくさん見てきたんです」といい、そこで「ブレーキを踏まず、こっちに任せてもらえる環境をどう作ればいいんだろう」と考えた結果、たどり着いたのが“匿名”という仕掛けだった。

編集によって炎上リスクを下げることはできるが、「全部僕らに預けてと言われても預けられないと思いますし、僕らも抱えきれない。だったら、ある程度自分が安全圏にいる状態でしゃべれたほうが楽なんじゃないか」と、『裏垢ウララカ』のフォーマットを作った。

タイトルにも、その発想が反映されている。最初から「裏垢◯◯」というタイトルを考えていたが、“裏垢”にはどこかネガティブな印象がある。そこで真逆となる明るい言葉を組み合わせようと考えていたところ、「パッと“うららか”が思いついたんです。『裏垢ウララカ』って語呂もいいし、真逆の言葉を組み合わせるのも面白い」と命名した。

実際に収録してみると、匿名だからこそ書けたと思われる投稿もあり、一定の手応えを感じている。

投稿者を最後まで明かさないのも、この番組ならではのポイント。通常であれば最後に答え合わせをしたくなるところだが、そこにはこだわらない。「“きっとあいつだぜ”、“あの人っぽいぞ”と言いながら、ニヤニヤして見ていただけたらいい」と、正解を知らないまま楽しむことも含めて番組の魅力と位置づけた。