独立後は、テレビや配信だけでなく、AI関連や都市開発など、局員時代には接点のなかった分野からも声がかかるようになった。日置氏は「フジテレビにいたら、きっとやっていなかっただろうなという仕事をいろいろやらせていただいている」と、新しい環境を楽しんでいるようだ。

フジ時代、『ダウンタウンなう』『人志松本の酒のツマミになる話』『まっちゃんねる』『THE SECOND~漫才トーナメント~』と松本人志の出演番組を多数担当してきただけに、「DOWNTOWN+」の仕事も手がけることになりそうだが、「これはすごく聞かれます(笑)」と苦笑しながら、明言を避けた。

個人会社「サンルイダ」の社名に込めた思い

ABEMA以外でも、テレビでは『隣のスクイチ』(中京テレビ)を手がけ、高比良くるま(令和ロマン)とYouTubeチャンネル『ゲリラ』を展開し、10月30日には同チャンネルpresentsのお笑いライブ『混線ト融和』をプロデュースするなど、退社後はほとんど休みなく働いているというが、「作りたくて辞めたので、そういう意味では幸せなんだろうなと思います」と充実感をにじませる。

目の前にあるのは、一つ一つの“打席”だ。自身の会社を「三塁打」をカタカナにした「サンルイダ」と名付けたのも、そんな考えにつながっている。

「“ホームランは打てないよ”っていう自虐でもあるんですけど(笑)、一生懸命走ったら三塁までは何とか頑張って行ける」という意味に加え、三塁にランナーとして残れば、「次の人にもチャンスを与えられる」という思いを込めた。

高校まで野球部だった日置氏には、県大会で同点の際、満塁で三塁打を放ち、勝利につながった経験がある。「ホームランは打てないけど、三塁打だったら僕でも打てたんだということで、少ない活躍の中で思い出に残っているんです(笑)」。

そんな日置氏が見据えるのは、壮大な目標よりも、これからも自ら打席に立ち続けること。

「とりあえず3年後もちゃんと作れるように、一個一個の仕事を一生懸命やって、ちゃんと面白いものを作る。そこしか今は見えてないですね」

●日置祐貴
1980年生まれ、千葉県出身。早稲田大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。以来バラエティ制作で『めちゃ×2イケてるッ!』『ピカルの定理』『バチバチエレキテる』などでディレクターを務め、『IPPONグランプリ』『ドラフトコント』『THE CONTE』『酒のツマミになる話』『呼び出し先生タナカ』『THE SECOND~漫才トーナメント~』などで演出を担当。26年1月末で同局を退社し、ABEMAで『30時間限界突破フェス「完徹」』『裏垢ウララカ』を手がけるほか、『隣のスクイチ』(中京テレビ)、『ゲリラ』(YouTube)などを制作・展開。10月30日にはプロデュースする『ゲリラ presentsお笑いライブ 混線ト融和』が東京・関交協ハーモニックホールで開催される。