
我儘ラキア解散から約1年。星熊南巫は今、これまで以上に自分自身と向き合いながら、新たな音楽と居場所を模索している。「OXYGEN」「Chandelier」「NOVA feat.Kenta Koie」に刻んだのは、激しいサウンドと、生身の人間として抱える弱さや欲望。海外で得た刺激や仲間との出会いを糧に、「ヒロインじゃない女の子」が存在できる場所をどう作ろうとしているのか。その現在地に迫った。
「作ること」が初めて生活の中心になった
―Rolling Stone Japanでは我儘ラキア時代からインタビューさせてもらっています。星熊さんは2019年からソロ活動を始めて、2021年にはDEATHNYANNも始動しているので、我儘ラキア解散後に突然別の音楽を始めたわけではないですよね。僕が前回インタビューしたのが2023年でしたが、当時から環境も立場もかなり変わったと思います。今、自分自身で一番変わったと思うのはどこですか?
星熊: いろいろ変わりすぎて麻痺してる部分もあるし、たぶん見落としてることも結構あると思うんですけど、一番変わったのは音楽のやり方ですね。あと、日常の過ごし方がめちゃくちゃ変わりました。我儘ラキアの時は「ライブを1本でも多くやる」みたいな生き方だったので、年間何百本とライブをやって、その合間に楽曲を作る感じだったんです。今は逆にライブ本数をすごく絞らせてもらってるので、「自分っていう生き物」に向き合う時間が強烈に増えました。合間に曲を作るんじゃなくて、作ることが初めてメインになったというか。前までは「なんだ、この感情。わからんけど、とりあえず行くか。知らねえ、やるしかねえ」みたいな(笑)。モヤモヤしても「こんなこと考えてる暇ねえ」って進んでいたけど、今は「なんでこう思うんだろう?」と考えられる。自分を知ることを、この年になってやる日々に変わりました。
―我儘ラキアが終わって、逆に自分と向き合わざるを得なくなった?
星熊: そうですね。今でちょうど1年ぐらいなんですけど、自分で新しい道を選んだのに、「何者でもない」という怖さみたいなものが追ってくるんですよ。でもライブがないから、それをかき消すものもない。「知らねえ、やるぜ!」みたいに進めない。最初はそれにすごく飲まれてたんですけど、だんだん紐解くことにも慣れてきて。まだまだですけど、前より中身も成熟できたかなと思います。
―改めて、我儘ラキアに区切りをつけようと思った理由を聞かせてもらえますか?
星熊: パッと思って辞めたわけじゃなくて、何年も向き合って、話し合って、という時間があったんです。やっぱり「アイドルという生き物」と「自分という生き物」の乖離があった。海外にはいろんなアイドルがいるから、そういう形に自分たちを持っていこうともしたんですけど、それでも「自分はここにいると違和感があるな」と。ただ、その違和感はアイドルというフィールドでは武器にもなるんですよね。我儘ラキアの異物感みたいなものも個性になっていたと思う。でも、それが毒にもなる。我儘ラキアは小さい事務所から始まって、ずっと必死にやって、いろんな大きいアーティストとも一緒にやれるようになった。最初は泣いて喜んでたのに、それに慣れると「もっと上、もっと上」ってなって、今あるもののありがたみに気づけなくなって。「これができてない、あれができてない」と自己否定ばっかりになっていったんです。
私は我儘ラキアを辞めてもソロで音楽をやることはずっと決めていました。ソロをやりたいから我儘ラキアを辞める、という話ではなくて、頭の中では別だった。本当だったら、もっと早く解散してたと思います。でもメンバー同士がすごく仲良すぎて、最後の2、3年は「好きだから一緒にいる」みたいな感覚もあった。今思えば、あれはすごく尊かったなと思います。簡単に言うと、自分たちの居場所に違和感を感じすぎちゃったんだと思います。
我儘ラキアで過ごした約9年は「人生で一番、愛をもらった時間」
―我儘ラキア時代から見てきた僕らからすると、今の活動にそこまで違和感はありません。でも何も知らない人からすると、アイドルグループからラウドなソロアーティストに転身した、かなり珍しいキャリアに見えると思う。自分では「転身した」という感覚はありますか?
星熊: 確かに転身したといえば転身したけど、「こっちが本体」という感じでもなくて。基本的に、私は好きじゃないものは絶対やらないので、自分の中ではナチュラルなんです。ただ、「アイドルからソロになる」ことにも、自分が想像してるよりいろんなイメージがあるんだなとは最近知りました。アイナ・ジ・エンドちゃんとか、あのちゃんとかはすごくかっこいいし、自分の個性を突き通していると思う。でも自分のロールモデルかと言われると、また違うかもしれない。自分がやろうとしていることには、日本ではあまり前例がない感覚があります。
―海外でいうと、BTSやBLACKPINKのメンバーのように、グループの文脈だけではなく一人のアーティストとして成立している人たちがいます。
星熊: そういう人たちは、グループの紹介がなくても一人のアーティストとして成立してますよね。「この子、アイドルだったんだ。じゃあ聴いてみよう」じゃなくて、ただ曲がいいから素直に聴ける。私もそういう存在になりたい。日本でも海外でも、先入観を武器に使わず、「曲がいいから聴ける」アーティストはかっこいいなと思います。
―とはいえ、アイドルカルチャーで長く活動した経験は、今の星熊さんにもかなり残っていると思います。
星熊: バンドの人と話していて、「感覚が違うな」と思ったことがあって。アイドルって特典会があるから、ライブをする脳みそと、特典会をしている脳みそって絶対違うんですよ。めちゃくちゃしんどい(笑)。でもファンとの距離が近くて、直接感想をもらえる。そこから改善できたり、元気をもらえたりもする。だから、アイドルをやって良かったと思うことは、愛に触れたことです。音楽のアーティストとしては、アイドルという形の中ですごく自己否定もした。でも人間という部分では、人生で一番愛をもらった時間だったという感覚がめちゃくちゃある。ファンに愛されてるという自覚があるから、自信を持って一人の人間としてステージに立てる。これはたぶん、アイドルだったから知れた感情なのかなと思います。
―だからこそ、解散という決断はつらかった?
星熊: もう心がボロボロでした。みんなの人生で頼りにしていたものを壊すことになるから、「自分の人生を取るのか、みんなの幸せを取るのか」ってずっと考えていて。でもMCで「好きなように生きろ」と言ってる私自身が、自分の人生を生きてないって、それは矛盾じゃない?と思ったんです。今もソロのライブに来てくれる人たちはいて。アイドルじゃなくなったから離れた人がいるのもしょうがない。それは自然の摂理だと思ってます。だからこそ、何もない状態で「アーティストとして始めます」と言って、形も違うし、握手もできないのに会いに来てくれている人たちを、とにかく大事にしたいです。
「忘れられたくない、必要とされたい、愛されたい」
―「OXYGEN」「Chandelier」「NOVA feat.Kenta Koie」と3曲を連続リリースしますが、ソロに本腰を入れる段階で、今後どんな音楽を作っていくかは改めて考えましたか?
星熊: 考えました。最初は、自分がやってみたかったことをひたすらアウトプットしてたんです。でもボイトレの先生から、「好きな音楽を作るだけなら自己満足。人の人生に影響を与えて初めて、聴く人にとって意味のあるものになる」みたいなことを言われて、それがぶっ刺さって。2月のお披露目ライブを実際にやって、「聴く人にとって楽しい」「ライブで遊べる」ものを作りたいと思った。それで衝動的に作ったのが「OXYGEN」でした。それまでの「CRAVE」や「LUMEN」「PREDICTION」は、自分のやりたかったことの色がすごく濃かったんです。
でも「なんで私は、こんなに人に音楽を聴いてもらいたいんだろう?」「なんで自己満足じゃダメなんだろう?」って考えた時に、友達から「そもそも、なんで認められたいんですか?」って聞かれて。最初に出てきたのが、「忘れられたくない」だった。有名になりたい、じゃないんですよ。忘れられたくない。必要とされたい。愛されたい。そこがたぶん根源にある。だから私は一人で曲を書いて「別に誰も聴かなくていい」とやる人間じゃなくて、みんなと一緒に楽しみたい人なんだって気づいたんです。今は、自分も楽しいし、ファンの人にも楽しいと思ってもらえる曲を作りたいと思っています。
―「OXYGEN」は星熊さんが作詞・作曲、Brody McKeeganが編曲を手がけています。
星熊: Brodyが最初にトラックを作って、そこに私がトップラインを入れる形です。彼はアメリカに住んでるので、いつもリモートで作っています。ライブが終わった直後に一緒に作ったんですけど、私が言ったのは、「クラウドサーフできる曲をやらないとまずい。ライブが静かになってる。とりあえずぶち上げてほしい」みたいな(笑)。それまでの曲って結構内向的で、暗いし、盛り上がるタイプじゃなかったんです。「OXYGEN」は歌っていること自体は暗いけど、全部を暗くせず、初見では乗れる曲にしたかった。
あとから歌詞を読んだら、「こんなこと歌ってたんだ」ってわかるくらいがいいなと。
―以前のソロはエレクトロニック/ハイパーポップ色が強かったですが、最近はかなり生音へ向かっていますね。
星熊: ある時から「生音ってかっこいいな」と思い始めたんです。「CRAVE」以降は「なるべくシンセを使わずに作りたい」とBrodyに言って、バンジョーを入れたりもしました。「OXYGEN」はドラムンベースっぽいビートも入ってますけど。
―「OXYGEN」というタイトルは?
星熊: 私、「酸素って実は毒なんじゃないか」みたいな説が好きなんですよ(笑)。でも人間は酸素を吸って生きるしかない。それを考えていた時に、自分にとって音楽も酸素みたいなものだなと思って。時には苦しくなるし、つらい。でもこれで生きるしかない。「今世はこれでやります」みたいな気持ちです。あと最近、自分はもっと「人間らしいこと」を書いたほうがいいんだと気づいたんです。愛されたいとか、必要とされたいとか。そういう感情を無視して、理解不能な存在になろうとしなくていい。だから「じゃあ、人間らしいことを書こう」と思って作ったのが「OXYGEN」の歌詞でした。「NOVA feat.Kenta Koie」もそうです。
―MVは海外からのコメントも目立っています。
星熊: 謎に海外の人と共鳴し合うんですよね(笑)。理解してくれる人は結構、海の向こうの人が多いので嬉しいです。
「NOVA feat.Kenta Koie」では「自分のトラウマの蓋を開こう」と思った
―続いて、シーア(Sia)「Chandelier」のカバー。なぜこの曲を選んだんでしょう?
星熊: シンプルに、すごく好きだったんです。初めて、歌詞の意味もわからないのに、声だけで涙が出た曲が「Chandelier」だった。あとから歌詞を読んで、「こういう意味だったんやな」って知って、さらに刺さったんですけど。すごく大事な曲です。ただ、難しいので「自分で歌うのは無理やな」と思ってた。でも挑戦してみたかった。
―編曲は丸山漠さん。かなりラウドなアレンジになっています。
星熊: 漠さんと「日本のポストハードコアで女性ってあまりいないよね」という話をしていて。「『Chandelier』をやるんだけど、”日本の女性ポストハードコアといえば”と言われるようなアレンジにしたい」と伝えました。シーアの曲をバンドでカバーしている動画をYouTubeでいろいろ探して、PVRISとか、いろんな解釈をリファレンスとして送りました。
―ボーカルも、ハイトーンから中低域までかなり振り幅があります。
星熊: めちゃくちゃ難しいです。今も週1でボイトレして練習してます。先生に言われたのが、「シーアはサビで叫んでるように見えるけど、叫んでない」って。叫ぶほうが簡単なんですよ。でもコントロールしたまま、叫んでいるように聴かせるのはすごく難しい。最近ずっと狙ってるのが、「喋るように歌う。それをどんな音域でもできるようにする」ことです。原曲の終盤でボーカルが何層にも重なっているところやフェイクも、原曲へのリスペクトとしてできるだけ再現しました。誰が歌っても「シーアの曲」になるくらい強い曲だから、その中にちゃんと自分の個性も出したいと思っています。
―最新シングル「NOVA feat.Kenta Koie」はCrystal LakeのYDさんと共作しています。「OXYGEN」と比べても、かなりロックのフィジカルな感覚が強い曲ですよね。
星熊: YDさんに、「一回、めっちゃ激しいやつをやってみたいです」ってお願いしたんです。そしたら「やり切るけどいいの?」って(笑)。「やりたいです」って言ったら、届いたトラックがもう極悪でした。
―歌詞については?
星熊: 「NOVA feat.Kenta Koie」を作ってた頃に、「愛されたい」「必要とされたい」という自分の人間らしい部分を出したほうが、人にも伝わるんだと気づいたんです。それで、自分のトラウマの蓋を開こうと思った。最初に日本語で歌詞を書いてるんですけど、「このトラウマで誰かが救われるかもしれない」と思いながらカフェで書いてたら、普通に涙が止まらなくなって(笑)。でも、ここに向き合わないと、今の自分からはいいものを生み出せないと思った。みんなに必要としてもらうために、自分と向き合う。自分の人間っぽい部分と初めてガッツリ対面した曲が「NOVA feat.Kenta Koie」だったかもしれません。
―Kenta Koieさんをフィーチャーした理由は?
星熊: プロデューサーの鈴木さんから「Koieさんどう?」って提案してもらって、「そんなの最高ですよ!」って。我儘ラキアの時から優しくしてくれてたし、AFTERVOIDも、私はテクノが好きなので興味があった。シャウトもすごいですし。Koieさんには、「初めて音楽を作った時、マイクに声を乗せた瞬間の爆発感を表現したい」と伝えました。内側にあるネガティブなものや黒いものに飲まれそうになりながら、それを音に変換して爆発させる。私も爆発して、Koieさんも爆発して、YDさんも爆発して、みんな爆発したらすごいものが生まれるじゃん、みたいな作戦です(笑)。
一人になったのに、仲間が増えていった
―Zepp Shinjukuでも「NOVA feat.Kenta Koie」を披露していました。実際にライブでやってみて、音源制作時には見えていなかったものがありました?
星熊: めっちゃありました。Koieさんはお客さんの盛り上げ方や煽るスキルが天性なんだなと思った。パワーもすごいし、お客さんもすっごく楽しそうな顔をしてくれて。逆に「この曲なかったら、ライブ結構暗かったな」と反省するぐらい(笑)。「NOVA feat.Kenta Koie」があって良かったと思いました。ライブ後にKoieさんから、「クマちゃんはめっちゃいいボーカルだけど、俺みたいな起爆剤をたまに入れると、さらに良さが引き立つんじゃない?」って言ってもらったんです。
―今のバンドメンバーも、もともと星熊さんがステージで観ていた人たちですよね。
星熊: 最初はめっちゃ飲まれました。「バンドのほうが目立ってるんちゃう?」ぐらいで、そんな自分が情けなくて。「メンツが神すぎて、ほんまに私、負けてる」って。でも、「これで絶対終わらさへん」と思って、いろいろ工夫しました。今は、誰がどう思っていようと、ステージに立った瞬間は「私は私」と思える。それからめちゃくちゃ強くなりました。どんな人が来ても、「私は私です」。誰かによって自分そのものを変えられることはない。もちろん相手に寄り添う部分はありますけどね。
―ソロになったのに、今はむしろ周りに仲間が増えていますよね。
星熊: そうなんです。4人で何年もずっと一緒にいて、家族みたいだったのが、パッと一人になった。自分の身は自分で守らなきゃいけないし、判断も全部自分でする。誰にも相談できないということに、最初はすごく食らっちゃって。でも今のバンドチームになった時に、形としてはサポートなんですけど、「気持ちは俺ら、サポートじゃないよ」って言ってくれたんです。Hirokiさんもいろんなアイデアを出してくれるし、もっとアーティストとして深くなるために、みんないろいろ教えてくれる。その時に、「一人だと思ってたけど、一人じゃなかったんだ」って感じられた。我儘ラキアとは全く違う形ですけど、今はそういう感覚になれていて、すごく新鮮です。
―12月には初の対バン形式となる「NOVA TOUR」もあります。
星熊: 自分から「対バンにしたい」と言ったのもあるし、とにかくたくさんの人に見てほしい。いろんなアーティストと化学反応を起こしたいという気持ちもあります。我儘ラキアの時にもNOISEMAKER、ROTTENGRAFFTY、MY FIRST STORYとかと対バンしてましたけど、今はまた違う緊張感があって。今の私はまだ得体の知れないものじゃないですか。「元アイドル」「我儘ラキア」「バックバンドがすごい」とか、いろんな眼鏡で見る人はいると思う。その中で、純粋に「私という生き物と一緒に対バンしてみたい」と思ってくれた3組には、本当にリスペクトがあります。
―花冷え。、Cö shu Nieを選んだ理由もそれぞれ違う?
星熊: Cö shu Nieはシンプルに私がファンで。中村未来さんには以前曲を書いてもらったこともあって、「未来さんと対バンしたい」とオファーしました。花冷え。は、改めてライブをちゃんと観たら「めっちゃかっこいいやん!」って。衝動があるけど、照明や音楽、ボーカルの動きまでちゃんとショーになっているところが刺さりました。最初の対バンだから、3組とも絶対に自分が「いい」と思える人たちとやりたいとずっと言ってたんです。「組まされた」対バンじゃなくて、ちゃんと想いを持って組みたかった。
「ヒロインじゃない女の子」が存在できる場所を作りたい
―今後、自分の周りに新しいシーンを作っていきたい気持ちはありますか?
星熊: 自分がシーンを作れるような人間かわからないですけど、女の子でこういうことをやってる人って、日本には意外といないと思っていて。海外にはFKA twigsみたいな、独自の世界観を持つ女性アーティストがいるけど、日本はまだ「見やすい」人が多い気がする。それが求められてるからだとは思うんですけど、私が気になる人って、もっとダークだったり、ちょっとヴィランっぽかったりする人が多い。だから、そういう存在の第一人者になりたい。ヒロインじゃない女の子たちが存在できる世界、場所を作りたいんです。大衆に理解されるためにメイクを薄くしなきゃいけないとか、髪は黒やブラウンのほうがいいとか、そういうのじゃなくて。もっとナチュラルに、自分がやりたいものをやれる環境になったらいいなと思います。音楽の世界も。
―Instagramでは、アトランタのSPARKに参加したことや、一人でヨーロッパを旅したことも書いていましたね。
星熊: SPARKは、私が持っているIgA腎症の患者さんたちが世界中から集まるイベントで、最新の医療について学んだり、患者同士で話したりする場なんです。そこから初めて「ヨーロッパを一人旅してみよう」と思って、ロンドン、ベルリン、ワルシャワと回りました。一番は「建築物かわいい!」って(笑)。でもロンドンからベルリンに渡った時に、空気が一気に違った感覚があって。「なんだこれは?」って。ちょっと鬱屈した独特の感じがあって、テクノの文化もすごい。「この街だから、こういうものが生まれるんだ」とすごく勉強になりました。いろんなクラブに行ったり、サウナに行ったり、価値観を学ぶみたいなことをやってきた。実際にその場所へ踏み入れないとわからない空気感があるなと思いました。それが自分にどう影響するのかは、まだわからないですけど。
ーなるほど。
星熊: もともと海外の文化や歴史には興味があって。小さい頃、おじいちゃんに世界図鑑を買ってもらった時も、ユダヤ人迫害やアウシュビッツについて書かれたページがすごく印象に残っていたんです。今回、ベルリンからワルシャワへ移動する中で、アウシュビッツ=ビルケナウを訪れることも考えていたんですけど、実際に現地に着いたら、「今の自分は、もう少し歴史を知ってから訪れたい」と思って。ちょうどワルシャワ蜂起の記念日の時期でもあって、街の中に花が手向けられていたり、そこで暮らす人たちにとって歴史が今も身近にあることを感じました。それをきっかけに、今はその土地の歴史、宗教について本を読んでいます。自分がその土地の文化を好きなら、その背景にある歴史についてもちゃんと知りたいと思うようになって。知らなかったことを知ることで、自分自身のものの見方も少しずつ変わっていくんじゃないかなと思っています。
―今の星熊さんが目指している場所を、改めて教えてください。
星熊: シンプルに、日本の女性アーティストを代表する存在になりたいです。メインストリームとは少し違うけど、単純にアンダーグラウンドという言葉だけでも括れない。そういうシーンを代表する女性アーティストとして、世界中に認知されたいというのはあります。
―我儘ラキア時代から「世界へ」という話はしていましたけど、今はかなり具体的になってきましたね。
星熊: はい。頑張ります。

星熊南巫「NOVA feat.Kenta Koie」
9月30日(水)デジタルリリース
作詞:星熊南巫 / KENTA KOIE
作曲:YD / 星熊南巫
HOSHIKUMA MINAMI「NOVA TOUR」
12月2日(水)
愛知・名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
GUEST:花冷え。
12月3日(木)
大阪・梅田CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
GUEST:COMING SOON...
12月9日(水)
東京・渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
GUEST:Cö shu Nie
