9月2日、日生地区海運組合は、岡山県備前市の「中日生港 駅前桟橋」にて、練習船「弓削丸」および玉野海上保安部所属PC39巡視艇「たまなみ」見学会を開催した。
午前中には、日生諸島周辺をクルーズする「弓削丸」体験乗船が実施され、備前市立中学校1年生をはじめ、備前市立日生西小学校5年生と備前市立日生東小学校5年生の計55名が参加。今回は、この体験乗船と「たまなみ」一般公開の模様をレポートする。
「弓削丸」で日生諸島周辺をクルーズし、船について学ぶ
練習船「弓削丸」は、2024年3月に竣工したばかりの船。文部科学省が所有し、愛媛県上島町に拠点を構える国立弓削商船高等専門学校(以下、弓削商船高専)が運用している。ちなみに、総工費は40億円を超える。将来の船員を育成する“教材”として活用されているだけではなく、災害支援の機能を併せ持っているのが特徴だ。先日も令和8年熊本地震の被災地に派遣され、給水支援を行なっている。
バスに乗って会場に到着した子どもたちは、停泊する弓削丸を見上げて歓声を上げていた。
開会式を終えたのち、出航を見学することに。操舵室には大声で指示が飛び交い、緊張が張り詰めていたが、無線でやり取りする光景を憧れの眼差しで見つめる生徒もいた。
岸から離れ、弓削丸がゆっくりと動き始めると、子どもたちは操舵室やデッキから海の風景を堪能。
レーダーを眺めたり、電子海図をもとに解説してもらったりと、子どもたちは貴重な体験を思い思いに楽しんでいた。
出航見学の後は、セミナー「私たちの生活と船」の時間。弓削商船高専 商船学科 山崎慎也准教授が講師を務めた。
まず明かされたのは、船の凄まじい輸送力。キャリアカーには6~8台の自動車を積めるが、巨大な立体駐車場のような構造の船なら一度に6,800台も運べるという。また、コンテナ船は、約2万4,000個のコンテナを運ぶそうだ。いずれも子どもたちの予想を大幅に上回り、どよめきが起こった。
「他にも、勉強で使うノートやトイレットペーパーなどを作るのに必要な木のクズや、子どもたちが大好きなパンの材料となる小麦、鉄の原料の鉄鉱石なども、船が外国から日本に運んでいる」と、山崎准教授。「みんなの住んでいる瀬戸内海は島が多くて狭いから、大きな船を間近で見ることはなかなかないかもしれない。でも、船が見えないところでみんなの生活を支えている。このことを覚えて帰ってほしい」と呼びかけた。
そして、スタンプラリーをしながら船内を探検。船首や船尾、電気工作室など、ヒントを頼りに子どもたちは「どこだ?」と楽しそうに探し回っていた。
スタンプラリー中も弓削商船高専の先生や学生たちに質問する生徒の姿があり、この体験乗船を機に船や船員への興味が高まったように感じられた。
最後に弓削商船高専の「学校紹介」が行われ、クルーズを終えた弓削丸は無事入港。子どもたちは船員や学生たちに見送られて弓削丸を後にした。
瀬戸内海沿岸の警備と海難救助を担う巡視艇「たまなみ」
15時からは、練習船「弓削丸」とともに巡視艇「たまなみ」が一般公開された。
「たまなみ」は、玉野海上保安部に所属する。全長27メートル、幅5.6メートル、総トン数64トンという比較的コンパクトなサイズは、瀬戸内海沿岸の警備と海難救助に適しているのだとか。
夜間監視装置[b1.1]や停船命令等表示装置も搭載。真っ暗で肉眼では何も見えないようなときも、夜間監視装置のおかげで安全確認や監視を行えるそうだ。
「たまなみ」は定期的に一般公開されているが、参加者からは「普段は見ることができない船なので、嬉しい。船を動かす『航海計器』を実際に触ることができておもしろかった」などの喜びの声が届いているという。
練習船「弓削丸」も巡視艇「たまなみ」も、日本を支え、守るために欠かせない船であることは間違いない。今回のように身近に触れられるイベントは、日々の計り知れない貢献を多くの人に知ってもらう貴重な機会だろう。



















