「美の努力を隠す時代から“見せる”時代へ」「“私、何もやってません”の向こう側を覗き見できる」――ABEMAのオリジナルバラエティ『エイジレスボーイズ』(毎週木曜21:00~)で企画・総合演出を務める玉野鼓太郎氏は、番組の狙いをそう表現する。

この番組は、“年齢不詳”に見えるエイジレスな人たちに注目し、その「老けない秘密」を探るアンチエイジングバラエティ。MCには、“令和の美のカリスマ”として知られMC初挑戦のヘア&メイクアップアーティスト・小田切ヒロ、美容への強いこだわりを持つレインボー・池田直人、美容はあまり気にしてこなかったという“初心者”のAぇ! group・小島健が顔をそろえる。

目指すのは単なる美容情報の紹介ではなく、エイジレスな人々を追いかけるうちに見えてくる“人生物語”。企画の原点、キャスティングやセットに込めた意図、そして番組で描きたい“老い”との向き合い方を玉野氏に聞いた――。

  • (左から)レインボー・池田直人、小田切ヒロ、Aぇ! group・小島健 (C)AbemaTV, Inc.

    (左から)レインボー・池田直人、小田切ヒロ、Aぇ! group・小島健 (C)AbemaTV, Inc.

「美容知識より“言葉力”」小田切ヒロをMCの軸に

番組の原点にあるのは、「実は、幼少期から“女性誌オタク”なんです」という玉野氏の意外な趣味。学生時代から『sweet』『ar』『CanCam』『Seventeen』『VOCE』『STORY』などを購入し、熟読しては気に入った表紙を切り抜いてファイリングするほどだったそうで、「いつか、世の中の女性が夢中になる“女性誌みたいな番組”を作りたい」と考えていたという。

そこへ近年の「美容ブーム」が重なった。美容の中でもアンチエイジングであれば男女どちらにも関心があり、一方で男性のメディア制作者で「美容番組を作りたい」という人は少ないのではないか――という発想から「女性誌オタクの自分がやるのは、ある意味ブルーオーシャンかも」と企画を膨らませた。

MC3人の中で最初に軸として決まったのが、小田切だった。このキャスティングに際して生きたのが、玉野氏が尊敬する元フジテレビの先輩・片岡飛鳥氏(『めちゃ×2イケてるッ!』総監督)から聞いた「タレントの本質とコンディションを見極めろ」という言葉。単に「今、売れているから」という理由で選ぶのではなく、その人が本来持っている魅力や現在の心境まで想像してキャスティングするという意味だ。

美容界で圧倒的な支持を集める小田切を見ながら、玉野氏は「メイクというイメージだけではなく、そろそろ“次のステージ”に進みたいと思っているのではないか」と感じていた。

そこで本人に企画をプレゼンする際、「僕はヒロさんの“メイク番組”を作りたいわけではないんです。ヒロさんの“言葉力”が立つ“ユニットトーク番組”を作りたいんです」と伝えると、小田切から「私、まさにこのような企画をやりたいと思ってました!」と即答されたという。

玉野氏は、小田切の最大の魅力を「美容知識よりも“言葉力”」と見る。独特の言葉選びには「誰も傷つけない笑い」と「今という時代との共感性」が併存。さらに、普段から幅広く本を読み、ビジネス書などにも親しむ姿を知り、「ヒロさんは本当に“知の人”なんです。賢いし、努力家なんです」と、その“言葉力”の源泉を解説した。

池田直人の「万能アジャスト力」、小島健の「空間把握能力」

池田について、玉野氏が感じる魅力は「コント力」以上に「脱力系自然体トーク力」だった。レインボーについて「2人とも平場のトーク力がすさまじい」とした上で、特に池田には相手によって自然に立ち位置を変えられる“万能アジャスト力”があると分析。小田切との初共演でも、とてつもない速さでその空気に溶け込んでいたという。

そして小島については、アイドルならではの「かっこいいビジュ」より「空間把握能力」に注目。出演するテレビ番組やYouTubeを見ていくと、純粋にその場を楽しみながらも、どこか冷静に全体を俯瞰している姿が目についた。「ボソッと言う一言がすごく興味深くてジワる」といい、その独特の「バランス感覚」と「ワードセンス」にポテンシャルを強く感じ、オファーしたそうだ。

「美容初心者」という立場も、収録では想像以上に機能。制作側がどうしても最新・最先端の情報を追い求める中、小島は「洗顔って毎日しなきゃダメなの?」「日焼け止めって毎日塗らなきゃダメなの?」という、知識のない視聴者が最初に抱く疑問を自然に投げかける役割を果たしている。

  • (C)AbemaTV, Inc.

    (C)AbemaTV, Inc.

スタジオでのMC3ショットを見ると、その距離の近さに驚かされる。広いセットでゆったりと並ぶのではなく、ソファーに3人が身体を寄せるように座っているのだ。

これは玉野氏の狙いで、「出演者同士の距離は狭ければ狭いほど良いと思っているんです」と説明。3人の距離をあえて近づけることで、「かわいく見える」上に、仲の良さも画面から伝わりやすくなると考えた。

実際、小田切、池田、小島はこの番組で初めてそろった3人ながら、すぐに意気投合。本番中だけでなく、収録終了の声がかかっても楽屋へ戻るまで会話が止まらないほどで、「5~6年ずっと友達だったのかな?というくらい仲がいいんです」と驚かされた。