藤井聡太王位に伊藤匠二冠が挑戦する伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は、両者2勝で迎えた第5局が徳島県徳島市の「渭水苑」で行われました。対局の結果、挑戦者用意の右玉策を意表の仕掛けで打ち破った藤井王位が93手で勝利。快勝といえる内容で7連覇に向けあと1勝と迫っています。
伊藤二冠の問題提起
勝った方が先に3勝目となる本局はタイトルの行方を左右する大一番。藤井王位の先手番で始まった本局は挑戦者用意の右玉策を藤井王位が臨機応変の指し回しで攻略する結果となりました。後手の伊藤二冠が角換わり右玉に誘導したのは直近の採用例から予想された戦型選択。4筋に右金を上がったのは将棋ソフト界隈を中心に水面下で研究が進む形です。
伊藤二冠の戦いぶりからは「事前研究しづらい変化に持ち込むことで最善手を選ばせない」という実戦的な狙いが読み取れます。その思惑通り「本意ではない手渡し」(局後の感想)を強いられた藤井王位ですが、難解な様子見合戦に突入した直後に対応力を示します。玉頭の歩を自らこじ開ける「頭突き」で打開を目指したのが観戦者一同を驚愕させた衝撃の手順。
即座に示した対応力
藤井王位の記した封じ手が開かれ2日目の戦いへ。角打ちの王手で左辺の勢力権を奪ったのが直前の垂れ歩と連動した好手順で、こうなると8筋の歩を切った効果が最大限に発揮された形に。逆に伊藤二冠としてはと金作りを受けるためにせっかくの拠点を成り捨てるようでは作戦失敗の印象で、以降は藤井王位の手厚い指し回しをみるばかりとなりました。
終局時刻は15時38分、最後は逆転の見込みなしと認めた伊藤二冠が投了。伊藤二冠は感想戦で(飛車を回って左辺の仕掛けを見せる)「▲7九飛が見えておらず駒組みに問題があったか」と序中盤を振り返りました。快勝で3勝目を挙げた藤井王位はこれで7連覇に王手。注目の第6局は9月8日(火)・9日(水)に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で行われます。
水留啓(将棋情報局)
