「金バブル」が続いている。かつて1グラム1,000円台だった時代を知る人であれば、現在の2万円を超える水準は特に衝撃的だろう。しかし、これほど価格が乱高下するのはなぜなのか。そして、プロの目から見て、現在は本当に“売り時”といえるのか。
今回は、金価格が決まる仕組みから今後の展望まで、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに話をうかがった。
そもそも、金価格が変動する仕組みとは?
――金の価格は毎日のように変動していますが、どのように決まっているのでしょう。
金の価格は、世界中の「買いたい」「売りたい」という取引の状況、つまり需要と供給のバランスによって変動しています。特に、投資家の方々が何にお金を投資するかによって大きく変わります。
経済が好調なときは、株などのリスク資産への投資が強まります。一方、経済が不安定になったり、戦争が始まって株価が下がったりすると、安定資産と呼ばれる金に投資する動きが強まります。そうなると需要が増え、金の価格も高騰する。簡単に言うと、そういう仕組みですね。
――「円安」や「インフレ」も金価格に影響しているのですか?
はい、影響しています。まず、金は基本的に「ドル」で取引されているんですよ。そのため、円安になると日本円での金価格は上昇します。例えば、世界で金の価値が一定だったとしても、円の価値が下がれば下がるほど、日本円に換算したときの金額は上がります。
あとは、インフレで物価が上がると、お金の価値が下がりますよね。そうすると、価値が下がりにくい金への投資が強まることもあります。世界情勢への不安、円安、インフレなどの要素が重なって、現在の相場が決まっています。
金価格「今はまだ相当な高水準」
――現在の金価格は、過去と比べてどのような水準にあるのですか?
1グラムあたり2万3,000円くらい(取材時)の水準です。昨年12月が2万2,000円くらいだったので、その頃と比較すると、今は高い水準を維持しています。もっとさかのぼれば、例えば10年前は4,200円くらいだったので、今はもう5倍以上。20年前は2,000円くらいでしたから、10倍以上になっています。
今年3月には、過去最高となる1グラムあたり3万円台を突破しました。この相場を知ってしまうと、今は「少し下がったな」と感じる人も多いとは思いますが、10年前、20年前と比較すると、かなり高い水準であると言えるでしょう。
――もし今後、「円高」が進んだらどうなるのでしょう。
もし、昔のように1ドル=80~85円という時代が来たら、単純に考えると、金価格も現在の半分くらいになるということですね。それほど簡単に円高へ振れることはなさそうな気はしますが、ドルを基準に取引されるものなので、為替の状況は常に見ておく必要があります。
「読めない」からこそ、高い今のうちに売るのが正解!
――今後の金価格をどのように予想されますか?
経済不安があり、金の需要も一定程度保たれているので、急激に下がることはなさそうですが……率直に言って、今は全く読めない状態です。
これまでは「戦争が始まった瞬間に上がる」といった形で、比較的分かりやすかったのですが、今はそういうわけでもありません。1万円台まで下がる可能性がないかといわれれば、あると思います。実際、先月か先々月には、1日で2,500円も下がったことがあり、本当に驚きましたね。
――金を売ろうかどうか迷っている方へ、アドバイスをお願いします!
売却を検討している人であれば、早く売ったほうがいいと思います。今後どうなるかは分かりませんが、現在の相場が過去と比較すると高いのは事実です。最高値のときよりは低いものの、昨年12月と比べてもまだ高いですし、10年前、20年前と比べれば、当然さらに高くなっています。そのため、「昔買ったものであれば、かなり値上がりしているのだから、売ってもよいのではないか」というのが本音ですね。
もし、科学が進歩して人工的に金を作れるようになったり、未発見の鉱山から大量の金が出てきたりすれば、価値は下がります。現在、地球上の金は「プール5杯分しかない」といわれていますが、それも100%事実だとは言い切れません。価格が高い今のうちに、利益を確定させておくのが一番安全だと思います。
