高級ブランドの値上げが止まらない。かつては頑張れば手が届いた憧れのアイテムも、今や文字通り“桁”が違う。かつては数十万円で買えたものが、今では100万円超えが当たり前という世界線だ。そんななか、中古市場にはこれまでにない変化が起きているという。
最近の相場高騰ブランドとタンスに眠る意外なお宝について、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに話をうかがった。
新品で190万円! 高騰するシャネル、再評価されるヴィンテージ
――高級ブランドの値上げが続いていますが、現場ではどんな変化を感じますか?
ロレックス同様、ブランド各社の値上げが凄まじいですよね。例えばシャネルの「マトラッセ」は、昔は20万~30万円で買えていましたが、今は新品で190万円くらいします。
そうなると、若い方を中心に「新品は高すぎて買えない。けど、やっぱり欲しい」という層が中古市場に流れてきます。最近はSNSでインフルエンサーが持っているのを見て憧れる20代の方も増えていて、中古需要がどんどん上がっているんですよね。
――最近、特に相場が上がっているブランドやアイテムは何でしょう。
圧倒的にヴィンテージ人気が高まっています。主に70年代、80年代、90年代のものですね。特にエルメスの「バーキン」や「ケリー」、シャネルの定番品は、定価に引きずられて中古価格もかなり高くなっています。
最近の傾向としては、以前は不人気だった「バーキン」の40cmサイズを男性インフルエンサーが持つようになって、一気に300万~400万円出さないと買えない状況になったりしています。
興味深いのは、近年、新品のようにきれいなものだけでなく、使い込まれた風合いそのものを魅力と捉える人が増えていることです。例えば、THE ROW(ザ・ロウ)のデザイナーが、使い込まれたバーキンをミニマルな装いに合わせたスタイルが注目を集めました。以前なら敬遠されがちだった使用感のある個体にも人気が集まり、中古市場での評価も変わってきています。
"価値がない"と思っていたものが、数十万円に化けるかも!
――値上げをきっかけに「今のうちに売ろう」という人は増えていますか?
増えています。ただ正直、売られる方はヴィンテージとしての価値に気づいていないケースも多いですよ。60代~70代の方が、20代の頃に買ったものを「捨てるよりは売ったほうがいいか」とお持ちいただく感じですね。
なかには状態が悪く、「こんなボロボロのもの、恥ずかしくて持てない」と言って持ってこられるパターンもあるのですが、それが今、若い人には「一点物でかっこいい」と評価されるんです。
昔は5万、10万円だったものが、今なら20万、30万円、あるいはそれ以上になることもあります。若い人たちは「汚くてもいい。この味がいいんだ」と考えているので、売る本人が「こんなもの売れないでしょ」と思っているものほど、実はチャンスだったりするんです。
――今「売るならこれ」という具体的なブランドなどはありますか。
シャネル、ルイ・ヴィトンのモノグラムは鉄板ですね。あとは例えば、フェンディのズッカ柄(FF柄)。『ひと昔前のデザイン』と思われがちですが、今は流行っています。セリーヌの昔の馬車金具のデザイン、イヴ・サンローランのロゴ入り、あとはプラダやディオールも動いていますね。
洋服に関しても、ちょっと前まではリーバイスの古いヴィンテージしか価値がなかったんですけど、最近だと10年~30年前のマルタン・マルジェラやトム・フォードなどの「デザイナーズ」が、当時より高く売れるケースも出ています。
ぜひタンスのなかを探してみて、昔のものでもお持ちいただきたいですね。「これはさすがに恥ずかしいだろう」と思っているものこそ、今の若い人にはかっこよく見える時代ですから。

