1日の終わりの1杯や、休日の晩酌。自宅で楽しむ「家飲み」は、多くの人にとって身近な習慣です。ただ、1回あたりの酒代は把握していても、1カ月・1年間でどのくらい使っているかまでは把握していない人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、普段の家飲みにどの程度お金がかかっているのかをFPの視点から試算。さらに、週に何度かノンアルコール飲料を取り入れた場合、年間の飲み方がどう変わるのかもあわせてご紹介します。

1回あたりは小さくても年間ではまとまった額に

マイナビニュースが実施したアンケートで、自宅で最も頻繁にお酒を飲む人の飲酒頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」が32.1%で最多となりました。「週4~6日程度」の18.1%と合わせると、約半数が週4日以上、自宅でお酒を飲んでいることになります。

一方、毎月のお酒代については、「正確に把握している」が24.9%、「おおよそ把握している」が46.8%だったのに対し、「あまり把握していない」が19.0%、「全く把握していない」が9.3%。約3割は、毎月のお酒代を十分には把握していないことがわかりました。

家飲みの支出は、実は把握しづらいという特徴があります。1本200円前後であれば「たいした出費ではない」と感じやすく、記憶にも残りにくいものです。また、スーパーなどで食料品と一緒にまとめて買うことが多く、レジで支払うのは合算した金額のため、「そのうち酒代がいくらだったか」は意識しづらくなります。

こうした「1回分は小さく、頻度は高く、ほかの買い物に紛れる」支出こそ、家計の中で見えにくくなりがちです。だからこそ大切なのが、「1本いくら」だけでなく「1カ月」「1年間」という単位で眺めてみること。頻度が高いものは、1回の金額が小さくても、年間ではまとまった額になります。まずは、いつもの家飲みが年間でどのくらいになるのか、具体的に見ていきましょう。

FPが試算! 「いつもの家飲み」は年間いくら?

まずは、試算の前提を決めておきます。アンケートで最も多かった購入場所「スーパー」で買う350ml缶を想定し、次の条件で計算します。

・お酒(350ml缶): 1本220円と仮定
・1カ月=30日、1年=365日として計算
・週○日の年間支出は1年=52週として計算

なお価格はモデルケースであり、実際の販売価格は、商品や店舗、購入方法等によって変わります。以下は、あくまで目安としてご覧ください。

1日1本でも年間では約8万円

まず、1人で1日1〜2本を家飲みする場合を見てみましょう。

1日わずか220円でも、毎日続ければ年間で約8万円。「1本220円」と聞いたときの印象と、「年間8万円」という数字とでは、受ける印象がだいぶ違うのではないでしょうか。

頻度によって年間支出は大きく変わる

同じお酒を同じ本数飲んでいても、年間の支出は「飲む頻度」によっても変わります。アンケートでも、家飲みの頻度は「ほぼ毎日」から「年に数回」まで幅がありました。そこで今度は、1回1本という条件のまま、飲む日数だけを変えると年間支出がどう変わるかを見てみましょう。

このように表にすると、飲む頻度による金額の差が気になるかもしれません。ただ、ここでは「減らせばお得」と考えるのではなく、自分の飲み方がどのあたりに当てはまるかを確かめてみてください。「自分は週4日程度だから、年間5万円弱くらいか」と、まずは自分の家飲み代のおおよそを知っておきましょう。

夫婦2人なら世帯で年間約16万円

アンケートでは、自分だけでなく「同居する家族・パートナーもお酒を飲む」という回答が26.6%ありました。そこで、大人2人で家飲みするケースも見てみましょう。

1人分では「このくらいか」と感じる金額でも、2人がそれぞれ毎日飲めば、世帯単位・年間単位では約16万円。毎日ではなく「2人がそれぞれ1本を週4日」でも、年間では約9万円になります。

個人単位ではそれほど大きく感じない支出も、世帯全体ではまとまった金額になります。家計を見るときは、自分の分だけでなく「世帯全体でいくらか」という視点を持つと、実態がよりはっきりとわかります。

「毎日お酒」ではなく週1〜3日をノンアルにしたら?

ここからは、家飲みの一部をノンアルコール飲料に置き換えるという選択肢を考えてみましょう。

そもそも、「お酒をやめる/続ける」の2択で考える必要はありません。「今日はお酒、今日はノンアル」と選べるようにするだけでも、1年を通した飲み方は思った以上に変わります。

週1日変えるだけで年間の本数はこう動く

まずは毎日350ml缶を1本飲んでいる人をモデルに、週に何日かをノンアルに置き換えると、年間の本数の内訳がどう変わるかを見てみましょう。

「週に1日だけ」と聞くと小さな変化に思えますが、1年に換算すると、お酒は365本から約313本へと50本以上減ります。週2日なら、年間の3割近くがノンアルに置き換わる計算です。

毎日ほぼ無意識にお酒を選んでいた人でも、週に何日かを置き換えるだけで、1年間の飲み方の内訳は大きく違ってきます。お酒をやめるのではなく、「選択肢を1つ増やす」という感覚で考えてみましょう。

ノンアルにもお金はかかる

ただし、ノンアルにもお金はかかります。お酒をノンアルに置き換えた本数が、そのまま節約額になるわけではありません。そこで次に、お酒1本220円・ノンアル1本130円と仮定して、「毎日お酒」と「週2日をノンアルに」の年間支出を比べてみます。

差額は、年間で約9,400円となりました。ノンアルにも1本130円かかっているため、置き換えた104本がまるまる浮くわけではないことがわかります。

また、置き換えれば年間9,400円お得というわけでもありません。「普段の飲み方を少し変えると、年間の家飲み支出もこんなふうに変化する」という点に注目してみましょう。

なお、お酒とノンアルの価格差は、商品や購入場所によっても異なります。銘柄によっては両者の価格がほとんど変わらないこともあれば、逆にノンアルのほうが割高なこともあります。そのため、「ノンアルにすれば必ず安くなる」とは言い切れません。あくまで、選び方によって年間の内訳が変わる、という視点で捉えてみてください。

家飲みを楽しみながら家計と上手に付き合うには?

最後に、ここまでの試算を少し長い目で見てみましょう。毎日1本(220円)飲むケースを単純に累計すると、次のようになります。

・1カ月: 約6,600円
・1年間: 約8万300円
・10年間: 約80万3,000円

毎月なんとなく支払っている6,600円も、10年では約80万円です。金額の大小そのものより、「毎月当たり前に払っている支出は、長期で見るとまとまった規模になる」という点を意識してみましょう。

これは「もったいない」という話ではなく、家飲みは立派な楽しみで、そこにお金を使うこと自体は悪いことではありません。大切なのは、自分が楽しみのために使っている金額を把握し、それが納得できる支出かどうかを考えること。納得して使っているお金なら、それは良い支出です。

そのうえで、家飲みを楽しみながら無理なく家計管理もしていくポイントをまとめます。

・まずは毎月の家飲み代を、ざっくりでも把握する
・1回の金額ではなく、月間・年間で考えてみる
・1回に飲む本数や飲む頻度を意識する
・購入方法や予算を見直す
・ノンアルも選択肢に入れてみる

お酒をやめれば節約できると考えて楽しみを我慢するのではなく、「今日はお酒」「今日はノンアル」とその日ごとに選択肢を持つ。そうやって家飲みを楽しむことが、家計との付き合い方を変えるきっかけにもなります。

まずは、「いつもの家飲み、年間いくら使っているんだろう」と目を向けるところから始めてみてはいかがでしょうか。