
今、インドネシアの音楽シーンで起きていることは、単なるローカルトレンドではない。ヒップホップと同国の大衆音楽ダンドゥットを掛け合わせた「Hip-Dut(ヒップダット)」は、TikTokを起点にZ世代からその上下の世代へと波及し、国民的なムーブメントへ膨れ上がった。注目すべきは、その手つきだ。伝統的・民族的な要素をエキゾチックな装飾として添えるのではなく、庶民の生活に根を張ってきたダンドゥットのリズムを、トラップやEDM、R&Bと同じ地平で鳴らす。本稿でidomが語る通り、これは「土地勘があるからこそ生まれた音楽」であり、企画的なオリエンタリズムとは無縁の、現在進行形のポップミュージックである。
そのうねりのただ中で実現したのが、ソニー・ミュージックの国際プロジェクトによるidomとRACH?のコラボレーションだ。idomは、USのR&Bをルーツに持ちながら、近年はJ-POP的なメロディや情緒を貪欲に吸収してきた神戸出身のシンガーソングライター/マルチクリエイターで、2025年11月の初アルバム『idom』はApple Music R&Bチャート1位を記録した。一方のRACH?は、J-POP色の濃い音楽活動からキャリアを出発させ、eスポーツやコンテンツクリエイションの世界を経て、2025年12月のデビューシングル「Dopamine」でシンガーとして再起動したインドネシアのマルチタレント。
ジャカルタでのコライトは、Hip-Dutのヒット曲「Aku Dah Lupa」で知られる F4dli、そして Gamalielという2人のローカルプロデューサーを迎え、わずか4日間で完遂された。生まれたのは、7月19日リリースの「Call it Love(Lofi-dut)」と、8月14日リリースの「Tell Me What(R&B-dut)」。前者は距離を越えて「繋がる」恋を、後者はすれ違い「繋がらない」恋を描く対の2曲だが、日本語・英語・インドネシア語が一つの楽曲の中を行き交うその構造は、遠く離れた2つのシーンが言葉の壁を越えて共振する、このプロジェクトそのものの寓話としても聴こえる。RACH?の来日中、翌日にidomのビルボードライブ公演での共演を控えたタイミングで、2人にじっくりと話を聞いた。
ーまず、今回のプロジェクトがどう決まって、最初に話を聞いたときにどう受け止めたのかを、それぞれ聞かせてください。idomさんからいいですか。
idom:最初に、ソニーのアーティスト同士でインドネシアと日本のコラボをやるという企画の話をもらったんです。正直、それまで僕はインドネシアの音楽シーンにそこまで詳しくなかったんですけど、知っていくうちに、まずリスナーの熱量に驚いて。日本のトップランカー級の再生数を持つアーティストが、インドネシアには結構ゴロゴロいるんですよ。しかもジャンルの幅がすごく広い。日本だと今は正直、アニソンをやっているアーティストが強かったり、割とヒットするジャンルが一極集中化している印象があるんですけど、インドネシアではおしゃれなR&Bっぽい曲がすごい再生数を取っていたりして、そこが個人的にすごく面白いなと。あと、そもそも音楽を聴く文化が根付いているんですよね。車移動が多いから、みんな車の中でずっと音楽を流している。カーステレオの文化が日本よりもまだ根強いんです。そういう国で一緒にコライトするのはすごく楽しそうだなと思ったし、自分にとっても未知のチャレンジで。どうせなら、せっかくだからインドネシアに行ってやろう、という流れで決まった感じですね。
idom
ーインドネシアでは今、ヒップホップとダンドゥットを融合したHip-Dutが大きなムーブメントになっています。idomさんはこれまでいろんなビートの上でラップし、歌ってきたわけですが、Hip-Dutのビートにはどんな印象を持ちましたか。
idom:民族的な要素とEDMやヒップホップが複合しているジャンルはいろいろ動いていますけど、その中でも特に受け入れやすいサウンドだなと思いました。日本のカルチャー的なサウンドを取り入れたとしても、多分ああいう風にはならない。インドネシアの土地勘があるからこそ生まれた音楽だなという感じがあって、ムーブメントとして大きくなっていくのは明白だなと。それに、自分がこれまでやってきたことと、そんなに外れている感じもなかったんですよ。単純にサウンドとして楽しいし、こういう音作りは面白いなと。今回はプロデューサーの F4dliと3人で1曲、 Gamalielともう1曲を作ったんですけど、2人とも、いろんなジャンルが複合してHip-Dutができていることを感じさせてくれる経歴の持ち主で。日本ではこういうことはできないなとは思いつつ、でも日本でも全然受け入れられるサウンドだなと思いましたね。
ー民族音楽の消化の仕方が独特ですよね。ここまでポップに、メロディアスに落とし込んでいる。これがもし日本の民族音楽だったら、と考えると難しそうです。
idom:尺八とか、そういうものを言い出すと、急にアニメタイアップっぽくなる気がするんですよ。オリエンタリズムが強くなっちゃうというか。もちろん、そういう企画ものはそれで面白いと思うんですけど、どこかしらに「楽しんでやりました」みたいな雰囲気が匂っちゃうと思うんです。でもHip-Dutは、そういう雰囲気をそこまで感じさせない。現代の音楽にうまく馴染むな、という感覚がありました。
ー極めて現代的なポップミュージックとの相性がいい、と。RACH?さんのidomさんに対する第一印象は?
RACH?:最初、idomはシンガーだと思っていたんです。でも、ホテルで別の音楽を制作しているのを見て、すごくテクニカルなことをやっているんだと知って、びっくりして。「自分でプロデュースまでするんだ」って。

RACH?
idom:ホテルで、2人で作っている曲とはまた全然違うビートを、僕が1人で作っていて。めちゃくちゃ忙しく作っているときにその話をしたら、「ビートも作るんだ」って驚かれて。単純に「ちょっとこういうのを思いついたな」というものを作っていたんです。デモのスケッチみたいな感じで。
RACH?:idomが曲を作っているときの姿がいいなと思っていて、この人となら合いそうだなと感じたんです。ただ、私は一つのジャンルに縛られたくないタイプで。「idomっぽい曲をやる」ということではなくて、いろんなジャンルをやってみたい。だから今回も、自分にとっては今までやったことのないスタイルかもしれないけれど、そこで自分をリミットしたくないから、チャレンジしてみようと思いました。
ーHip-Dutがこれほどインドネシアで流行っているのは、RACH?さんとしてはなぜだと思いますか。
RACH?:今、TikTokでこれを楽しんでいるのはZ世代なんですけど、面白いのは、その上のX世代やY世代にも、下の世代にも影響が広がっていることで。そこは自分でも少し驚いたところです。メインストリームのポップがずっとある中で、新しくて、踊りやすくて、キャッチー。それがやっぱり魅力なんだと思います。TikTokのおかげで一気に広がっていった感じですね。最初は「この2人でHip-Dutをやるの?」と、正直少し戸惑う気持ちもあったんです。でも、idomの声を聴いて、自分の声と重ねてみたら、すごく相性がいいなと感じて。周りの人たちも「これいいじゃない」「これができたら絶対いける」と自信を持って言ってくれました。あと、idomの音楽を聴いたときに、すごく温かいなと思ったんです。きっと温かい人なんだろうな、って。
ーidomさんは、RACH?さんのシンガーとしての側面をどう捉えていますか。
idom:最初に聴いたとき、とにかく声がいいなと思って。まだそんなにたくさん曲をリリースしているわけではなかったので……。
ー「Dopamine」とか、そのあたりですよね。
idom:そうですね。「Dopamine」を聴いた時に彼女がやりたいジャンル感もいろいろあるんだろうなと思っていて。初めてオンラインでミーティングしたときに少し話したら、割とロックなサウンドが好きだったりもして。そういうことも聞いていた中で、彼女の声を聴いたときに「こういう曲があってもいいな」「自分とコラボするなら、こういう曲でやったら、彼女の声がすごくいい作用を生むだろうな」と、想像しながら聴ける声だなと思ったんです。このコードが合いそうだな、この構成が合いそうだなって、いろんなイメージがバーッと出てくるアーティストで。そこにすごく魅力を感じたので、まだ1曲くらいしかリリースしていない段階でしたけど、インドネシアに行く前から「こういう曲を作ろう」と、ふわっと考えていました。
ー「Dopamine」は、いろんなジャンル感がカオティックに融合した、非常にオルタナティブなエレクトロポップでした。一曲でいろんな可能性を提示している感じがある。RACH?さん、あの曲があれだけカオティックになったのは、あなたのフェイバリットな音楽にいろんな側面があるからなんでしょうか。
RACH?:「Dopamine」は、もともとトキシックな恋愛──痛みと快楽が入り混じった、依存的な関係がテーマなんです。だからサウンドもカオティックになった、というのが一つ。もう一つは、私自身がいろんなジャンルを聴いてきていて、特に日本のシティポップが好きで、そこからの影響もあること。そして三つ目は、リスナーに、歌詞も含めていろんなジャンルを、ジェットコースターのように体験として届けたかった、という思いですね。
ー今、シティポップというワードが出ましたが、フェイバリットなシティポップアーティストは誰ですか。
RACH?:竹内まりやさん。あとはMONDO GROSSO。シティポップというと竹内まりやさんなんですけど、それ以外にもいろいろ聴いていて。椎名林檎さんや東京事変、King Gnu、LiSAさんとか。本当にいろんなジャンルを聴いているんです。
ーRACH?さんは、日本のポップスやロックの特徴的な部分をどこに感じますか。
RACH?:日本のポップスは、メロディーがすごく切ないんですよね。そのメロディーが胸に刺さる。愛についての歌とか、特に。ロックはすごく刺激的で面白いなと感じます。日本のシティポップは、これから世界中のシティポップになっていくかもしれない。実際、今のインドネシアのミュージシャンにも、日本のシティポップから影響を受けている人が増えてきていて。新しいインドネシアの音楽を聴いていると「あ、これは日本的なメロディーだな」と感じる瞬間があるんです。

ーidomさんは、実際にインドネシアに行って、日本の音楽へのリスペクトや愛を感じる場面はありましたか。
idom:向こうで会った人は、みんな結構日本が好きなんだなという印象がありました。アニメ文化もすごく根付いているし、そもそも国柄的にも、歴史的に見ても、日本との親和性が強い国だと思うんです。日本の音楽を知っている人も多くて。むしろ僕らよりも、好きな人はすっごく深く掘っているんだろうなという印象が、話していてありましたね。
ーidomさん自身、これまで聴いてきた音楽のバックグラウンドにはいろんなジャンル、いろんな国のものがあると思います。今RACH?が「日本の音楽はメロディーが切なくて胸に刺さる」と言っていましたが、そういう日本の情緒的な旋律の影響が、自分の中にも流れている自覚はありますか。今回のコラボレーションで、その面が出た部分もあるのかも含めて聞きたいです。
idom:僕も彼女と同じで、さっき名前が挙がったようなアーティストは聴いてきたし、子供の頃に触れてきたものもあります。ただ、自分のルーツとしては2000年代頭のR&Bが強いんです。USがベースで。周りの環境的にも、グローバルな感覚の仲間が多かったし、自分自身もそういう育ちだったので。だから自分が持っているメロディー自体は、そこがベースにはなっている。ただ、この5、6年、音楽活動をする中でマーケットのいろんな動きを見ながら勉強して、日本人が好きなメロディーや歌詞というのも、いわゆる分析はしてきていて。それがメインというわけではないんですけど、自然と入ってくるじゃないですか。昔からずっと聴いてきたもので言うと、本当にUSのR&Bポップスが8割くらいで、日本の音楽は2割くらいだったのが、この5、6年でありえないくらいJ-POPやシティポップ、いろんなものを吸収した感覚があるんです。それを吸収した上での今回のコラボは、日本のリスナー向けかというと、どちらかというと、もう少しグローバルな、ユニバーサルな方向に振ったムーブで。トラックのサウンド面やカルチャー感、コード感のところで「日本人はこういうコードの動きが好きだよね」ということをスタジオで形にしていく作業の方が大きかったのかなと。メロディーや歌詞に関しては、もう少し広い目線で作っていった感じです。
ー今回、LoFi-DutとR&B-Dutという2つのキーワードが、それぞれの曲に付けられています。最初から、LoFiとR&BでHip-Dutをオリジナルに昇華する、というプロジェクトのテーマがあったんですか。
idom:いや、絶対そうしようという感じでは全然なかったんです。プロデューサー2人の得意とするサウンドは活かしつつ、僕らが合いそうなところで、「どんな曲が好き?」という話をしながら、「僕らの声だったらこういうものだよね」と探っていった結果が、LofiとR&Bを混ぜたHip-Dutだった、という感じで。
ー最初からテーマをガチガチに固めていたわけではなく、結果的にLoFi感の強いものと、R&B感の強いものになった、と。
idom:そうです、全然。「俺たちはR&BとLoFiをベースに作るんだ」と最初から決めていたわけではなくて。本当に自然に生まれて、結果そうなった感じですね。

ーRACH?さんにとって、みんなで過ごした制作の時間はどんな刺激的な時間になりましたか。
RACH?:私が曲を書くときは、いつもまずコンセプトから入るんです。テーマを最初に話す。「Call it Love」は、オンラインで、デジタルで出会うデジタルラブというコンセプトが最初に頭に浮かんで。そのコンセプトとテーマを固めて、idomに提案してディスカッションして、OKならメロディーや曲、テンポ、リズムを作っていく、という順番でした。フックができたところでお互いに話し合って、プロデューサーに投げると、もうすぐにビートを作り始めてくれる。すごく早かったです。2日間で2曲、本当にあっという間で。パートごとにハミングで「わーっと、ここはこうしましょう」という感じで、どんどん進んでいきました。……あと、これはすごいなと思ったんですけど、idomはいきなりフリースタイルでハミングしながら、新しい歌詞をその場で生み出していくんです。さすがだなと。
ーidomさん、その言葉を受けてどうですか。
idom:嬉しいですね。フリースタイルな制作って、いつもの自分はもう少し考え込んでしまうんですよ。でも今回は、コラボで2日間でダダダッと作っていこう、みんなでセッションして、とにかくアイディアを出し合いまくろう、という企画だったので、いつもよりも自分もかなりフリースタイルに、メロディーも歌詞も、それこそコードやトラックのビートも「もうちょっとここをこうしてみてもいいね」というのを、いつもよりアグレッシブに出すことを意識して。彼女が、ビートの大枠を作っている途中で「この歌詞のテーマ、2人で歌ったら面白そうなんだけど」と提案してきてくれて。それが「2人が別々の場所にいる」という僕らの状況ともうまくリンクしそうなテーマだなと思ったので、そこから広げていく作業がすごく楽しかったんです。僕はゼロイチでポンと作るときは結構悩むタイプなんですけど、今回は彼女もプロデューサーも、同じスタジオの中でゼロイチの火種をバーッとくれたので、僕はその火種を大きくすることだけを考えて。「このテーマなら、こういう歌詞はどうかな、こういうメロディーはどうかな」というのを、とにかく出す役に徹していましたね。2曲あったのもあって。
ーそれにしても、4日間でそれを作りきるのはなかなかスリリングですね。
idom:そうですね。実際、ホテルに戻ってからも、その日できたものを聴きながら「もうちょっとここをこうしてもいいな」と夜に考えたりして、それも楽しかったです。あと、ジャカルタの街の空気感、人の空気感が、とにかく温かいんですよ。日本に戻ってきて、逆に「みんなすげえ暗いな」って思ってしまうくらい、バイブスが明るくて。ジャカルタって、カルチャー的にはまだ発展の途中という雰囲気の街も多い中で、それでもみんな、すごく楽しんでいる感じがあって。バイクでブワーッとみんな走っているんですけど、5人乗りの原付の家族とかがいて、めちゃくちゃ面白かったんです。でも、みんな超笑顔でハッピーそうで。国が温かいなというのをすごく感じて、そのバイブスが、今回の2人の曲の中の、僕のアイディアにもいい形で流れ込んできた感覚がありましたね。
ー音楽を作る場所というのは、やはり大きいですね。
idom:めちゃくちゃ大きいと思います。街の雰囲気がちゃんと影響して、曲が出来上がっていくんだなというのが、すごく身に染みて分かりました。
ーRACH?さん、今idomさんはジャカルタのハッピーなバイブスがこの2曲に流れ込んだと言っていましたが、それを受けてどうですか。
RACH?:その話を聞いて思い出したんですけど、曲を作っているとき、インドネシアのチームのみんなが「頑張れ! 頑張れ!」「これいい!」って、すごくサポートしてくれて、ずっとワイワイしていたんです。今回のコライトは本当に楽しくて。idomもすごく話しやすくて、とても協力的で。お互いに努力し合えたのがありがたかったです。心から楽しみました。

ーリリックに目を向けると、2曲とも距離と、コミュニケーションが浮かび上がります。「Call it Love」が繋がっているコミュニケーションの曲だとしたら、「Tell Me What」は繋がらないコミュニケーションの曲という感じがして。それは自然にそういうテーマになっていったんですか。
idom:テーマは、彼女が最初に「デジタル」を提案してくれたんです。
ーデジタルの距離、みたいな。
idom:そうそう。しかも「2曲は全く違うテーマでやってみたい」というのも彼女が出してくれて。せっかく2人で2曲作るなら、全く違うものにするのも面白いなと僕も思って。
ーRACH?さん、このテーマにした気持ちを改めて教えてください。
RACH?:「Call it Love」は、さっき言ったデジタルラブの曲です。一方の「Tell Me What」は、2人が付き合えるのか付き合えないのか、迷っている状態がテーマで。友達か知り合いくらいの関係から、お互いを好きになってしまった。お互いに好きなのに、お互いプライドが高くて素直になれない──そういうテーマです。「Call it Love」は、最初からコンセプトを決めていました。「Tell Me What」は、トラックを制作しながら浮かんできた感じですね。
ーidomさんは、その流れを覚えていますか。
idom:「Call it Love」は、距離のある男女の、デジタルでしか会えないような恋愛観を描きたい、というのを彼女が持ってきてくれて。「時差があるよね」とか「なかなか会えないけど、会えるときが楽しみになるよね」とか、そういう話を描きたいと言ってくれて、面白いなと思ったんです。「Tell Me What」は2曲目に作ったんですけど、そこでは完全に視点を転換して、「ちょっとうまくいっていないぞ」とか、距離が生む難しさ、うまく話ができないもどかしさを描いていて。相反する2曲なんですけど、「それでも、少し繋がっていられたらいいよね」という話もしていて。全く違う2曲だけど、なんとなくストーリーが若干絡み合う内容にしよう、という話はしていましたね。

ー最後に、日本とインドネシアのアーティスト同士がコラボレーションして得たもの、そして今後こうした国境を越えたコラボレーションをどう続けていきたいか、そのビジョンを聞かせてください。
idom:今回やってみて思ったのは、インドネシアや東南アジアの音楽文化の発展の仕方が、まだ日本にはそこまで伝わりきっていないんだろうな、ということで。ジャンルの広がり方一つとっても、日本とは全然違うものがあって。特にインドネシアは今、すごく熱い国だと思うんです。バンドにしても、R&Bにしても、ヒップホップにしても、若者がとにかく盛り上がっている国という印象があって。自分も今回、そのスタートの部分に立ち会わせてもらったと思うので、これから日本とインドネシアの音楽的な交流がもっと深まったらいいなと思います。特にRACH?とのこの2曲は、日本とインドネシアだけというよりは、もっとワールドワイドに聴いてほしいという気持ちもありつつ、でもお互いの国が少しクロスする──RACH?が日本語を歌ったり、僕がインドネシアの言葉を話したり──そういう、お互いの国の人たちも少し嬉しくなるような曲になっていると思うんです。それがリスナーにうまく伝わったら嬉しいです。今後自分がどういう形で音楽をやっているかは分からないですけど、インドネシアでの制作は本当にいい経験だったので、RACH?も含めて、他のいろんなインドネシアのアーティストとも交流が生まれたらいいなと思います。
RACH?:私は、音楽で架け橋になりたいんです。インドネシアでは、日本の音楽というとアニメやアニソンから入る人が多いんですけど、「アニソンだけじゃなくて、日本にはこういう素晴らしいアーティストもいるよ」ということを伝えたい。逆に、「インドネシアにはこんなに熱い音楽シーンがあるよ」ということも日本に届けたい。idomと同じで、インドネシア人と日本人だけじゃなくて、世界中の人に私たちの音楽を聴いてもらえたら嬉しいです。特にインドネシアの人には、「日本の音楽はアニソンだけじゃないんだよ」ということを、ぜひ伝えたいと思っています。
<リリース情報>
「Call it Love」
2026年7月19日リリース
https://rach.sng.to/idom/call-it-love
「Tell Me What」
2026年8月14日リリース
