デヴィッド・バーン、サカナクション、BE:FIRST、エルミーン×藤井 風の共演も サマーソニック2026総括レポート【東京公演DAY2】

25周年を迎えたサマーソニック2026が8月14日(金)・15日(土)・16日(日)、東京・大阪の2会場で開催された。サマソニ公式メディアのRolling Stone Japanによる、東京公演のハイライトをまとめたライブレポートをお届けする。本記事ではDAY2・8月15日(土)を総括。

※以下、当日の出演時間順に掲載

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HANA

11:05 MARINE

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

昨年はデビュー年にPACIFIC STAGEに初出演。今年はMARINE STAGEのトップバッター。革命を起こし続ける7人組ガールズグループ、HANA。重厚なバンドサウンドが轟き、初めてメンバー全員が作詞・作曲を手がけた「ALL IN」で早速7人の個性を一気に咲かせる。誠実に音楽に向き合い続けてきた人生が乗った歌/ラップ/ダンスで、数万人の心を射抜いていく。7人の情熱とスキルがさく裂するダンスブレイクが加わった「Burning Flower」。大きなシンガロング&ハンドクラップが巻き起こった「Cold Night」、ダンサーと共にスペシャルな瞬間をちりばめた「Blue Jeans」、MAHINAが「いろんなこんにゃろうをぶつけてほしいです!」と口にしてからの「BAD LOVE」……海外公演も含めて多くのライブを重ね、貫禄すら感じさせる、でもフレッシュで人間臭いライブは、CHIKAの「どんなに泥だらけでも醜い世界でも私は絶対に強く美しく咲き続けます」というメッセージに続くデビュー曲「ROSE」で締め括られた。[小松香里]

GOOD NEIGHBOURS

11:40 MOUNTAIN

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SEとともに駆け足でステージに飛び出してきたメンバーが鳴らした「Keep It Up」の力強いリズムがオーディエンスの心と耳を引き寄せる。オリ・フォックスは全身を使ってオーディエンスを盛り上げ、ギターを弾くスコット・ヴェリルはじめバンドメンバーはパワフルかつポップなサウンドを広いホール全体に轟かせる。人懐っこさと同時に叩き上げのタフさも感じさせるパフォーマンスでデビュー曲「Home」から最新シングルの「Superstar」、さらにSNSで公開した出来たてほやほやの新曲「Mary Jane」までを披露、とにかくどの曲もこの上なくキャッチー&フレンドリーで、最高に愛すべき初来日ライブだった。[小川智宏]

FATHER OF PEACE

12:20 SONIC

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今年のサマソニにおける最強のダークホースは、彼らで間違いないだろう。アヴシャロム・アリエル(Vo)、トム・ボリグ(Dr)、メイ(Ba)から成るテルアビブ発の3ピースのことを、大半の観客はぶっちゃけノーマークだったはず。しかし、冒頭数曲が終わる頃には、フロアは「とんでもないものを観ている」という異様なまでの興奮に包まれていた。かくいう自分も動画を何本かチェックした程度のニワカだったので偉そうなことは言えないが、Father Of Peaceが只者ではないことはTikTokだけでも十分に伝わってくる。そして、生のライブはその何万倍もヤバかった。

「Bluish」のような中毒性の高いポップセンスも備えているうえに、やはり圧巻だったのは、ザ・ホワイト・ストライプスとシステム・オブ・ア・ダウンが融合したかのような異形のグルーヴ。キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」を完コピしてしまうほどの確固たる演奏力で、気づけばオーディエンスの心を鷲掴みにしていた。それに加えて、太陽を思わせるポジティブで衒いのないエネルギーもまた、かけがえのないものだ。トドメの一曲「Enemy」で爆発的なステージを締めくくると、元気ハツラツなMCで会場を沸かせてきたアヴシャロムは「お疲れ様でした!」と日本語で一言。当然のように割れんばかりの大歓声が巻き起こった。[小熊俊哉]

VIAGRA BOYS

12:40 MOUNTAIN

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なんとも不釣り合いだ。午後12時台の真昼間に、バイアグラ・ボーイズのアウトローで凶暴で猥雑な、いわゆるワルい音は似合わない。最初のうちは客の反応が鈍かったのも無理はないだろう。しかし彼らはライブ巧者である。ゴリゴリのベースがグルーブの要を担い、そこにギター、ドラム、キーボードに加え、サックスやフルートやボンゴも入り混じってカオティックなサウンドを醸成。セバスチャン・マーフィーもいつも通り上半身裸でビール腹を晒しながら、がなるように歌う。すると中盤あたりからは、どんどん自分たちのペースに会場を持っていってしまう。上手いと思ったのは、会場が乗ってきたタイミングでセバスチャンがステージを降り、客席に身を乗り出してさらに沸かせたことだ。彼は観客の温度を読む能力が抜群に優れている。気づけば最後には、キーボード/ボンゴのエリアス・ユングクヴィストが客席にダイブするほどの盛り上がり。いつもながらの狂騒へとMOUNTAIN STAGE全体が飲み込まれていた。彼ららしい破天荒さと同時に、オーディエンスの反応を巧みに捉えるクレバーさも光るステージだった。[小林祥晴]

BE:FIRST

13:50 MARINE

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SUPERSONICから数えると、驚異のサマソニ6年連続出演。日本を代表するダンス&ボーカルグループ、BE:FIRST。ドレイクやフューチャーなどを手がけるATL Jacobプロデュースの最新曲「BRUCE WAYNE feat. Flo Milli, ATL Jacob」を歌いながら、すーっとステージに現れた6人に大きな歓声が上がる。JUNONはピンクの短髪だ。「Mainstream」、「BE:FIRST ALL DAY」……6人全員が最強のアーティストであることを鮮やかに証明し、オーディエンスの目をくぎ付けにしていく。SHUNTOの気迫の口上から「Rondo」。6人自らが歌詞に刻んだ闘志と信念。SOTAの「サマソニ25周年! 過去イチ踊らせにきました! ついてこい!」という言葉に嘘はなかった。「Boom Boom Back」、「GRIT」、「Secret Garden」……6人はしなやかに踊り続けるが、歌もラップも少しもぶれない。ダンス&ボーカルグループのパフォーマンスの概念を更新し、世界へと大きく踏み出しているBE:FIRSTのすごさが、ステージに凝縮されていく。

SHUNTOは海外の活動が増えている現在について「ジャパニーズボーイバンドが世界で通用することを証明しにいってる最中でございます」と語り、「次は自分たちを鼓舞してくれる楽曲。今日まで生きてきたあなたたちに向かってこの曲を贈りたいと思います!」と「Brave Generation」を披露。たくさんのタオルが舞った「Great Mistakes」。楽しそうに音楽と戯れた「Bye-Good-Bye」。RYUHEIが「みんな歌える?」と呼び掛け、LEOやMANATOが客席にマイクを向け、シンガロングが響いた「夢中」、ジャネット・ジャクソンとのミラクルな共演のきっかけとなったジャクソン5の「I Want You Back」のリメイクカバーで数万人を躍らせ、「Missing」で切ない夏の情景を溶け込ませてフィニッシュ。[小松香里]

JON SPENCER

14:00 MARINE

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巨大なMOUNTAIN STAGEの舞台中央にギュッと寄せて配置された楽器とアンプ。どんなに広い会場でも、汚くて汗臭い地下の小さなライブハウスと同じようにパフォーマンスをしようという姿勢が伝わってきて痺れる。ジョン・スペンサーは還暦を超えているが、気の触れたエルヴィス・プレスリーのような歌声は微塵も変わらない。バンドの演奏はヒップホップを血肉化していたJSBXのようなモダンさよりも、より正統派のジャンクブルーズパンクへと振り切れている。MCは最低限のみで過剰に煽らず、ほぼ曲間なしで熱気に満ちた演奏をガンガンとぶつけてくるスタイルだ。JSBX時代の曲もやったものの、それを特別扱いせずに、あくまでセットの一部として披露。ストイックに、しかしどこまでもクールで熱いパフォーマンスで50分間を一気に駆け抜けた。[小林祥晴]

中島健人

14:10 PACIFIC

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2026年の中島健人の活躍には目を見張るものがある。アジアツアー、映画と複数のドラマ主演、岡村靖幸とのコラボなど、アイドルとして培ってきた美学を軸に、表現の射程を着実に広げている。その挑み続ける姿勢の象徴がこのサマソニ初出演と言えるだろう。まずは大先輩・少年隊の「仮面舞踏会」をサンプリングした「XTC」で、逞しい肉体とキレのあるダンスを披露。MCでは、流暢な英語での挨拶や「初出演でどうなるかなとドキドキしてきたんですけど、今は僕が皆さんの胸をドキドキさせてるみたいです」「皆さん暑いですか⁉︎ 理由教えてあげるよ。俺がいるから」といった”ケンティー節”が炸裂する。しかし、今回披露した「IDOLIC」や「CANDY~Can U be my BABY~」も自身作詞、最新シングル「Fiction Love」も自身振付と、中島健人はキラキラとした偶像だけには収まらない秀でたアーティストだ。興味本位で集まった観衆もすぐさま虜にしてしまう、スーパーエンタテイナーの真骨頂を見た。[鳴田麻未]

Saucy Dog

14:40 SONIC

バンドの原点であるミディアムバラード「いつか」でライブを始めたSaucy Dog。切ないメロディと伸びやかな石原慎也の歌声をしっかりと届けると、続いて「優しさに溢れた世界で」へ。「聴かせて!」という石原の言葉にシンガロングが生まれた。その後もグルーヴィな「ワンダーランド」に代表曲「シンデレラボーイ」、アップリフティングな「ゴーストバスター」と直球勝負。最後の「まっさら」までを駆け抜けた。途中、石原が持ち時間を勘違いしていて早々にライブを終わらせようとしてドラムのせとゆいかに指摘されるという一幕もあったが、そんなハプニングもチャームに変えてみせたサマソニ初ライブだった。[小川智宏]

羊文学

15:20 MOUNTAIN

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映像演出を排除し、MCもほぼなし。巨大なMOUNTAIN STAGEを、メンバー3人の演奏と歌だけで支配できるバンドはどれほどいるだろう。静かに「doll」でアクトを始め、続く「Burning」でディストーションギターが厚みを増すなか、塩塚モエカ(Gt, Vo)はファルセットと凛とした地声を自在に行き来する。削ぎ落とされたアンサンブルだからこそ、一音一音の輪郭が鮮明に浮かび上がる。「いとおしい日々」「声」と、日常に寄り添う楽曲を重ね、終盤にはドラマ『ドラム―VIVANT THE ORIGIN STORY―』主題歌の新曲「Keep Walking」を初披露。安定して高温で燃える青い炎のようなパフォーマンスに、観客も集中して見入っている姿が印象的で、さながら小さなライブハウスのような空気感だった。[鳴田麻未]

ELMIENE

15:50 SONIC

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

2025年にブリット・アワード「ライジングスター」部門にノミネートされたことも記憶に新しいイギリス・オクスフォード出身の24歳、スーダン系シンガーソングライター、エルミーンの日本初ステージが始まると同時に、不純物が一切ないようなシルキーな歌が広がっていった。破格の歌声にどよめきが起こる。両手を広げて、日本語で「よろしくお願いします!」と挨拶するエルミーン。力強いビートが貫くタイトでグルーヴィーな演奏にスムースな歌を乗せる。エルミーンの唯一無二の歌を際立たせるシンプルなアンサンブル。ミドルテンポの太いビートのソウル/ファンクに乗せた歌の力でどんどん引き込んでいく。

「彼とコラボレーションができたことは私にとって誇りで、心から光栄です」と話し、真っ白い衣装をまとった藤井 風(Fujii Kaze)を呼び込み、ハグ。藤井 風が弾く流麗なキーボードに、ホーリーな歌を聞かせるエルミーン。もちろんコラボ曲「Comets + Gold」だ。心のすべてを解放するような、美しい歌が広がっていく。2番を歌うのは藤井 風。エルミーンのハイトーンの歌声とコントラストをつけるように、ロートーンから始まり、丁寧に死生観を乗せていく。エルミーンのハイトーンの歌が入り、再び藤井 風が歌唱し、歌が重なった。絶品のハーモニーにオーディエンスが心地よさそうに体を揺らす。親密なムードでお互いを紹介し合った後、藤井 風を見送ったエルミーン。「ありがとうございました!」と日本語で挨拶した後、バックバンドを讃えるかのように後ろを向いて両手を広げ、初の日本でのライブを終えた。[小松香里]

SUEDE

16:50 MOUNTAIN

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

現在のバンドの充実ぶりを見せつけると同時に、往年のファンの期待にも真正面から応えるライブだった。近年は優れたアルバムをコンスタントに送り出しているスウェードだが、この日の1曲目は最新作収録の「Disintegrate」。同作の特徴であるハードでアグレッシブな演奏で、今のバンドの勢いを鮮烈に印象づける。その一方で「Trash」「Animal Nitrate」など、初期の代表曲も惜しげもなく披露。ノスタルジーを否定するでもなく、過去の遺産に頼るのでもない、そのバランスが美しい。ブレット・アンダーソンは30年以上ステージに立ってきたフロントマンとしての技術が体に染み込んでおり、何度もオーディエンスに手拍子を求め、客席に降りてファンと触れ合いながら、確実に会場を盛り上げる。もちろんその官能的な歌声とパフォーマンスは相変わらずだ。再結成後の16年間、ベテランとして理想的なキャリアを積み上げてきたバンドならではの円熟がそこにはあった。[小林祥晴]

ALEX WARREN

17:25 MARINE

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

現在進行中のツアー「Finding Family on the Road」のフォーマットを持ち込んでのアレックス・ウォーレンの日本初ステージ。青いウィンドブレーカーを着て登場したアレックスは、ライブ序盤からステージ狭しと動き回り、ファンとコミュニケーションを取る。「暑い」といって飲んだ水が2Lボトルの「温泉水」だったり、曲中にファンの求めに応じてサインしたり、その一挙手一投足が、どんなにスターになっても飾らない彼という人を物語っていた。「Carry You Home」や「Ordinary」をはじめ充実したセットの中、今回のツアーでお馴染みとなっている「紙吹雪発射ボタン」も見られてよかった![小川智宏]

SB19

18:30 MOUNTAIN

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

フィリピンから世界へ躍進するP-POPの旗手、 SB19。その足跡を辿る特別なオープニング映像が流れると、フロアから期待の大歓声が巻き起こった。炎柱の特攻が上がる中、アクロバティックな「DAM」で鮮烈にメンバー5人が踊り出す。

最大のハイライトは早くも2曲目に訪れた。ダンスチャレンジが世界的に流行した「GENTO」の曲中、曲名をコールする部分が「KENTO」に変わっており、それに合わせてサングラス姿の男性がステージに加わる。サングラスを外すと中島健人だと判明し、悲鳴のような歓声がこだました。TikTokでの交流から結実したスペシャルコラボ「GENTO feat. Kento Nakajima」の生共演だ。6人は一糸乱れぬ完璧な群舞で沸かせた後、中島が英語で共演の喜びを語ると、JOSHは「Do you like GENTO with KENTO!?」とオーディエンスに呼びかけ、国境を超えた交歓を称え合った。

後半は、SB19が世界水準の実力を見せつける。「LAWLESS」「Emoji」でダークなビートを駆け抜け、R&Bナンバー「Moonlight」「I WANT YOU」では歌唱力の高さを存分にアピール。「まだいけますか!?」と日本語で観客を煽り、「VISA」「DUNGKA!」ではフロアをさらに跳ねさせる。ラストの「CRIMZONE」まで、ダンス、ラップ、ボーカルといったパフォーマンスの端々から感じる気迫が衰えず、P-POPという言葉だけでは括れないスケールと圧倒的な熱量を日本の地に刻み込んだ。[鳴田麻未]

サカナクション

18:30 MOUNTAIN

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みるみるうちにMOUNTAIN STAGEが入場規制となったサカナクション。バキバキにアレンジを効かせた「サンプル」に山口一郎の歌声が乗り、ぎっしり埋まったフロアを極彩色に染め上げる。「夜の踊り子」、「アイデンティティ」で幕張メッセを包み込んだ巨大なシンガロング。Spotify Japanでのリリース日再生回数が国内歴代No.1を記録した「怪獣」の熱狂を経て、「忘れられないの」。山口のダンスにオーディエンスはさらに盛り上がり、胸を締め付けるノスタルジーが去来する。この後MOUNTAIN STAGEに登場するデヴィッド・バーンが楽しみだと、しきりに口にしていた山口の笑顔も印象的だった。音とメロディの洪水の中、オーディエンスが歌って踊り尽くした70分間。アレンジもしっかり2026年バージョンにアップデートされており、サカナクションのフェスアクトとしての鉄板ぶりをこれでもかと見せつけた圧巻のステージだった。[小松香里]

GENERATIONS

19:10 PACIFIC

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実に7年ぶりのサマソニ出演となったGENERATIONSは、生バンドを従えてダンス&ボーカルグループとしてのタフな地力を見せつけた。カジュアルな装いで登場した6人は、トライバルな熱気を帯びた「PAINT」や「Two Steps Back」を披露。キャリアを重ね、身体の”引き算”を知る大人の余裕を醸し出す。その後は、YMOの名曲「RYDEEN」を大胆に再解釈したカバーや、ニュージャックスウィングのグルーヴが弾む「Evergreen 2.0」で、徐々にバラエティ豊かなステージ展開に。クライマックスは「AGEHA」「Y.M.C.A.」「PARTY7 ~YAPPARI GENEjaNIGHT~」と祝祭感の強いナンバーを連投し、クールからコミカルまで、GENERATIONSの魅力を凝縮したエンタメショーを届けた。[鳴田麻未]

STEVE LACY

20:10 SONIC

スティーヴ・レイシーの曲にはいつだって、初夏の夕暮れ時のような、切なくて甘酸っぱい空気が充満している。この日の幕開けを飾ったのは、現在公開中の映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』のエンディングテーマ「oh yeah?」、そして「the feeling」。最新作の中でもとりわけ彼らしい甘酸っぱさを湛えた2曲で、早々にステージをレイシーの色に染め上げた。オルタナティブR&Bに分類されることが多い彼だが、この日のライブではギターリフで転がるロック調の曲もあれば、ドラムンベースを思わせるビートを取り入れたダンストラックもある。その音楽的な振れ幅の広さは、ライブだと一層鮮明に伝わってきた。だがやはり、彼の最大の魅力はそのメロウネスだ。吹き抜ける風のように心地よいメロディとグルーブにただ身を任せられることが至福なのである。レイシーも無理に大きな見せ場を作ろうとはせず、リラックスした空気で会場を包み込んでいた。ラストはアンセムの「Bad Habit」から「Dark Red」へ。最後までその甘美なメロディにじっくりと浸ることができるライブだった。[小林祥晴]

MAZZEL

20:45 PACIFIC

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ボーイズグループが数多く並ぶPACIFIC STAGEのトリを務めたのは、BMSG発の8人組、MAZZELだ。クールなダンスチューン「The Voice」で口火を切ると、「俺たちを選んでくれてありがとうございます! 全員まとめてかかってこい!」と気合十分。SEITOのブレイクダンスが炸裂した「J.O.K.E.R.」をはじめ、高度なダンス、歌、鋭いラップで個々の威力を示していく。EIKIは「音楽には世界中の笑顔を増やす力が本当にあると本当に思っていますし、僕たちはそんな音楽を全力でこれからも届けていきます」と熱弁。FREEDOMおよびスチャダラパーの名曲をサンプリングした「Get Up And Dance」や、メンバーがキス顔を決める度にピンク色の歓声が上がる「So Strawberry」など、ファンキーな楽曲多めで場内のボルテージを上げ続け、最高のフィナーレを飾った。[鳴田麻未]

DAVID BYRNE

20:40 MOUNTAIN

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デヴィッド・バーンとは、アメリカ合衆国のニューヨーク市に在住する現在74歳のミュージシャンである。サマーソニックでのパフォーマンスが物語っていたのは、それ以上でもそれ以下でもない、しかしバーンにしか実践不可能な慈愛のハーモニーだった。

ブロードウェイにて上演され、スパイク・リー監督によって映画化された『アメリカン・ユートピア』。大絶賛を浴びたその演劇的なライブ・ステージングを最新作『Who Is the Sky?』の楽曲群と混ぜ合わせてブラッシュアップしたショーは、デヴィッド・バーン自身のディスコグラフィを再編集する機能も備えていた。例えば「Houses in Motion」はクラビネットの音色によって怪しいサイケ・ファンクへと姿を変え、ルンバ・ロック調の「(Nothing but) Flowers」は数人のパーカッショニストと共に拡張される。パンデミック中に街中で耳にしたアカペラから着想を得たという「Everybody's Coming to My House」のゴスペル・バージョンは、まさにその象徴だろう。トーキング・ヘッズによる原曲や『ストップ・メイキング・センス』でのアレンジに忠実な形で披露された「This Must Be the Place (Naive Melody)」や「Once in a Lifetime」とこれらのナンバーが並び、オレンジ色のセットアップを纏った総勢13名のプレイヤーたちによって演じられることによって、バーン自身の尽きぬ創造性が強調される。

さらにアレンジのみならず、楽曲の置かれたコンテクストを照射する光の角度によっても、デヴィッド・バーンは自らを再編集する。中盤、彼はアーサー・ラッセルについて話し始めた。90年代初頭にエイズによる合併症で命を落としたダウンタウンのカルト・スターと共作した日々を振り返り、重々しい足音が聞き馴染みのある四つ打ちに変貌すると「Psycho Killer」が始まった。NYパンクシーン発のインテリジェンスなロックバンドからキャリアをスタートさせ、ラテンやアフリカ圏の音楽を観光しつつ──そういえば「And She Was」の前にバーンがスタンドアップ・コメディの要領で紹介したスライドショーは、まさに東京観光の様子であった──、各大陸のミュージシャンと共に世界中を回るグローバル・ポップの体現者として老成した彼の心には、なおもニューヨークの街角の風景が息づいているのだ。もちろん、そこには都市生活者としての批判的目線も紐づいている。そうでなければ「Life During Wartime」の終盤にICEが市民を取り締まる映像など流さないだろう。

「人種のるつぼ」と喩えられるニューヨークもといアメリカ合衆国をコンパスの軸足に置きつつ、「愛と思いやりこそ今の時代の風潮に抵抗できるのです」とMCで喝破したデヴィッド・バーン。今回の再編集によってデヴィッド・バーンが浮き上がらせたメッセージは、音楽を通じた異邦人とのコミュニケートの喜びによって人々を繋ぐという、素朴ながらも力強いものであった。ブライアン・イーノとの共作による「Strange Overtones」のコーラスでは、そのアティチュードが端的に示されている。《君が奏でている音楽は奇妙な響きだ/僕はそこにハーモニーを重ねる/その音は力強くて君はタフだけど/ひとりの心だけでは足りないのだから》と。[風間一慶]

SUMMER SONIC

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