大正製薬は2026年8月19日、「夏の便秘と生活習慣」に関する調査結果を発表した。本調査は2026年7月、全国の20代以上の男女1,000人を対象に、インターネット調査で行われた。
夏に便秘がちになる人は約20%、年間を通して悩む人を含めると33%
夏(6~9月)になると、他の季節と比べて便秘がちになると感じるかを尋ねたところ、「とても感じる」(7%)と「やや感じる」(13%)を合わせ、約20%が便秘がちになると回答した。さらに、「一年を通して便秘がちで、季節による違いはわからない」(13%)を加えると33%となり、夏場に便秘の悩みを抱える人はおよそ3人に1人にのぼることが分かった。
夏の便通の変化については、「便が硬くなる、コロコロした便が出る」が162人で最多となった。続いて「排便後もすっきりしない、便が残っている感じがする」が145人、「お腹が張る、膨満感がある」が118人、「排便時に強くいきむことが増える」が100人となった。
夏の便秘につながる生活習慣は「運動不足」「食事量の減少」「水分不足」
夏(6~9月)の生活習慣について、便秘の原因になりえる習慣を尋ねたところ、最多は「暑い日は、体を動かす時間が減る」で276人だった。次いで「暑い日は食事の量が減る」「のどが渇いてから水分を摂ることが多い」がともに216人、「麺類やパンなど、単品で食事を済ませることが多い」が184人と続いた。
一方、「あてはまるものはない」と回答した人は284人にとどまり、7割以上が何らかの便秘の原因になりえる習慣に心当たりがある結果となった。
専門医が解説する「腸の砂漠化」とは?
松生クリニック院長で医学博士の松生恒夫先生は、夏特有の腸の状態を「夏便秘」「腸の砂漠化」と名付けている。「腸の砂漠化」とは、水分や食事量、食物繊維などが不足し、便の材料や水分が減ることで、腸内に便が停滞しやすくなった状態を指す。
本来、大腸の中には水分を含んだ泥状の食物残渣(消化されなかった不要物)が多く、腸の動きによって少しずつ先へ送られながら、ほどよい硬さの便になっていく。しかし、水分、食事量、食物繊維のいずれかが不足すると、便のもとになる残渣そのものが減り、残渣中の水分も保てなくなる。すると残渣が硬くなり、腸内にとどまりやすくなる。
こうして大腸が乾いて干からびたように残渣が停滞した状態が「腸の砂漠化」だという。状態が進むと、便が硬くなる、排便回数が減る、強くいきむ、排便後もすっきりしないといった便秘の症状につながりやすくなる。
あなたは大丈夫? 夏の「腸の砂漠化」セルフチェック
夏の過ごし方や便、お腹の状態について、当てはまる項目をチェック。
該当する項目が多いほど、夏の便通に関わる習慣や状態が、知らないうちに重なっている可能性があるという。
飲んだ水がそのまま便になるわけではない
1日に腸管へ入ってくる水分は、飲み物や食事から摂る約2リットルと、唾液・胃液・胆汁・膵液などの消化液約7リットルを合わせて約9リットルにのぼる。このうち約98%は吸収され、便として体外に出るのは約2%(約0.1~0.2リットル)にすぎない。水分を「飲むだけ」でなく、食事と食物繊維から便の材料を確保することも重要だ。
夏に「腸の砂漠化」が起こる3つの理由
健やかな便通には、「(1)便の材料(食事量・食物繊維)」「(2)腸に届く水分」「(3)便を先へ送る腸の動き(蠕動運動)」の3つがそろうことが重要だという。
夏はこの3つが同時に不足・低下しやすいため、腸が砂漠化しやすくなる。
(1)食欲低下で便の材料が不足
暑さで食欲が落ち、食事を抜いたり、麺類だけで済ませたりすると、食事から摂る水分と食物繊維が減り、便の材料そのものが不足する。特に水溶性食物繊維が減ると、便はさらに硬くなりやすい。朝食を抜くことは、食物繊維と水分の不足が重なるリスクがあるという。
(2)発汗で腸に届く水分が減る
気温が上がると発汗が増え、体から水分が失われる。水分補給が発汗に追いつかなければ、便に回せる水分も減り、便が硬くなりやすい。「のどが渇くまで飲まない」といった習慣も水分不足につながるという。
(3)温度差で腸の動きが鈍くなる
屋外と冷房の効いた室内との温度差も、腸の動きを鈍らせる要因になるという。冷えによって腸へ向かう血流が減るほか、交感神経が緊張することで腸管の運動が低下しやすくなる。
夏便秘は熱中症の前ぶれになることも
夏便秘と熱中症は別々の問題に見えるが、共通するのが「夏の脱水」だという。便に回る水分が減るということは、体全体が脱水に傾いている可能性がある。
近年は、梅雨が短く急に夏本番を迎える年が増え、体が暑さに慣れる「暑熱順化」が追いつかないまま猛暑に突入しがちだという。体が暑さに適応できていない時期は、発汗による体温調節が遅れ、脱水に傾きやすく、熱中症にも腸の不調にもつながりやすくなる。
熱中症は、軽い段階ではのどの渇き、強い疲労感、めまいや立ちくらみとしてあらわれ、進行すると頭痛・吐き気、さらには意識の障害にまで至ることがある。便秘に加えて、頭痛や強い倦怠感、めまいが出てきた場合は、便通だけの問題と決めつけず、熱中症の初期症状が重なっている可能性にも注意したい。
便の硬さや腹部の張りも「腸の砂漠化」のサイン
腸の砂漠化が進むと、便が硬くなったり、ガスがたまったりして、腹部の張りや残便感などにつながりやすいという。さらに、便通の変化が長く続く場合には、別の疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要だ。
次のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討することがすすめられる。
・血便・黒い便がある
・強い腹痛や嘔吐が続く
・急に便通が変化した
・体重減少や発熱を伴う
・セルフケアを続けても便秘が改善しない
夏の腸を守る3つの対策とは?
腸の砂漠化を防ぐには、「便の材料」「腸に届く水分」「腸の動き」の3つを意識することが重要だという。
(1)朝食を抜かず、食欲がない日はゼリータイプ飲料も活用
ごはんやパンなどの糖質に加え、卵、納豆、カツオ、豚肉などからビタミンB群を摂ることがすすめられている。みそ汁やスープで水分と塩分を補い、キウイ、海藻、オクラ、大麦などから水溶性食物繊維を摂るのもポイントだという。
朝に食欲がない場合は、水分や糖質、ビタミンB群、クエン酸、塩分などを含むゼリータイプ飲料を活用する方法もある。
(2)水分はのどが渇く前から補給
「のどが渇いたら飲む」のではなく、のどが渇く前からこまめに水分を補給することが重要。気温が高い日や屋外で長時間過ごす日は、活動前・活動中・活動後に分けて補給したい。また、体を内側から冷やして深部体温の上昇を抑える方法として、微細な氷と液体が混ざったシャーベット状の飲料「アイススラリー」も紹介されている。
(3)軽い運動や「腸を動かす飲み物」で腸の動きを活性化
軽いウォーキング、便意を我慢しないこと、起床・就寝や食事の時刻を大きく乱さないことなども、腸の動きを保つために重要だという。
また、オリーブオイルやMCTオイルを少量取り入れる方法や、ペパーミントにレモン、オリゴ糖、ショウガなどを加えた「ペパーミント・ティー」も紹介されている。ペパーミントに含まれるメントールには、お腹にたまったガスを外へ出しやすくする働きがある。冷たい飲み物でお腹が痛くなる方や冷房で体が冷えている方は、常温や温かい状態で飲むとよいとのこと。



