厚生労働省は8月28日、インフルエンザが全国的な流行シーズンに入ったと発表した。例年12月~3月に流行するインフルエンザだが、今年はまだ厳しい暑さが続く8月に流行入り。例年より早い時期から感染への注意が必要となっている。

今年の流行は、例年と比べてどれほど異例なのか。また、今年のインフルエンザにはどのような特徴があり、ワクチン接種や日常生活では何に注意すればよいのだろうか。今回は、日本感染症学会 感染症専門医の小幡 史明(おばた ふみあき)先生に「今年のインフルエンザの特徴と対策」について聞いた。

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インフルエンザが8月に流行入り、今年はどれだけ異例?

――今年は8月に全国でインフルエンザが流行入りしました。例年と比べて、どの程度異例なのでしょうか?

今回の流行入りは、かなり異例といえます。2026年第34週(8月17~23日)の全国の定点当たり報告数は1.11となり、流行開始の目安である1.00を超えました。感染症法が施行された1999年以降では、2009年に次いで2番目に早い流行入りです。2023年は年間を通じて流行が続いた特殊な年でしたが、それを除けば8月の全国的な流行入りは非常に珍しい状況です。

昨年は9月下旬の流行入りでしたので、今年は約5週間早いことになります。診療現場でも「夏だからインフルエンザではない」とは考えにくく、発熱、咳、強い倦怠感などがある場合には、季節にかかわらずインフルエンザを鑑別に入れる必要があると感じています。

――現在流行しているインフルエンザについて、型・患者の年齢層・症状などに今年ならではの特徴はありますか?

現時点では流行開始直後であり、「今年はこの型が主流」「例年より重症化しやすい」「高熱が出やすい」と断定できるだけの全国データはまだ十分にそろっていません。病原体サーベイランスではA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B型などが監視されていますが、今後の検出状況を見ながら評価する必要があります。

症状も基本的には例年と同様で、急な発熱、咳、咽頭痛、頭痛、筋肉痛・関節痛、強い倦怠感などが中心です。流行が早いことと、個々の患者さんで重症化しやすいことは別問題ですので、現時点で「今年のインフルエンザは強い」と表現するのは避けた方がよいでしょう。高齢者、乳幼児、基礎疾患のある方では、例年どおり肺炎や脳症などの重症化に注意が必要です。

インフルエンザワクチンは前倒しするべき?

――例年より早く流行していますが、今年はインフルエンザワクチンを例年より早めに接種したほうがよいのでしょうか?

流行入りが早いからといって、全員が8~9月に極端に前倒しして接種すべきとは現時点では考えていません。インフルエンザワクチンは接種後、十分な免疫が得られるまでおよそ2週間かかる一方、効果は時間とともに徐々に低下します。

冬まで流行が続く可能性を考えると、早ければ早いほどよいというわけではありません。ただ、今年はすでに流行が始まっているため、ワクチンが接種可能になったら、地域の流行状況や年齢、基礎疾患、学校・職場などでの感染リスクを踏まえて接種時期を検討するとよいでしょう。

特に高齢者や基礎疾患のある方など重症化リスクが高い方は、接種機会を逃さず、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

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満員電車や職場で意識すべき感染対策は?

――通勤ラッシュ時の満員電車など、人との距離が近い環境では、インフルエンザへの感染リスクは高まるのでしょうか? また、電車通勤で特に意識したい感染対策があれば教えてください。

満員電車のように人との距離が近く、長時間同じ空間を共有する環境では、インフルエンザウイルスを含む飛沫や細かな粒子に曝露する機会が増えるため、感染リスクは高まりやすいと考えられます。

特に周囲に咳やくしゃみをしている人がいる場合は注意が必要です。電車通勤では、流行時や混雑時には不織布マスクを適切に着用し、可能であれば混雑する時間帯を避けることも一つの方法です。

また、つり革や手すりに触れた後は手洗いや手指消毒を行い、手で目・鼻・口を不用意に触らないようにしましょう。最も大切なのは、発熱や咳など体調不良があるときに無理に出勤しないことです。これは自分の回復だけでなく、車内や職場での感染拡大を防ぐことにもつながります。

――感染対策として、基本的な感染対策(手洗い・うがい・換気・マスク着用・消毒など)以外に、有効な感染症対策はありますか?

最も重要なのは、ワクチン接種を含め、複数の対策を組み合わせることです。手洗い、換気、マスクなどに加えて、流行時には体調不良の人との近距離での接触や、人が密集する環境をできる範囲で避けることも有効です。

また、咳やくしゃみをする際の咳エチケット、手で目・鼻・口を不用意に触らないことも意識してください。十分な睡眠やバランスのよい食事など、体調を整えることも大切です。特定の食品や健康法に頼るのではなく、基本的な感染対策を継続することが現実的です。

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