公開から10年がたった現在、七海はどのように暮らしているのか。岩井監督は「若干、頼りないところはありつつ、さすがに、それなりにしっかりした立派な大人になっているのではないかと思います」と想像する。
公開当時、七海は何もできず周囲に流されてしまう人物として描かれているため、観客から「見ていてイライラする」という感想が寄せられることもあった。そこからさまざまな出会いや喪失を経験した七海の“現在”を描く続編の可能性を尋ねると、岩井監督は少し考えた後、こう答えた。
「可能性はなくはないと思います。花とアリス(2004年公開『花とアリス』)も、今何をやっているんだろうと時々思ったりするので」
現在では映画やドラマで次々に主演を張る黒木。岩井監督は「長く活躍してくれるだろうと、あの時から思っていました」と受け止める。現在も黒木の舞台を見に行くことがあり、幅広い役に取り組む姿を見守っているという。
自身の作品では、アニメ映画『花とアリス殺人事件』(2015年)や映画『キリエのうた』(2023年)を含め、黒木を教師役に起用することが多いことから、彼女との再タッグについても、「次は全然違う役を演じてもらいたい」と期待を寄せた。
過去作がよみがえる時代「人生における、いいご褒美」
『リップヴァンウィンクルの花嫁』は今回、4Kアップグレード版としてテレビ初放送される。
岩井監督は、AIを含む技術の進歩によって、従来は高精細化が難しかった過去作品も、新たな形でよみがえる可能性があると期待するが、それによって劇場が旧作の上映ばかりになり、新作の居場所が減る可能性もあると指摘。
それでも、公開から数年で忘れられていくことも珍しくない映画の世界で、自身の作品が再び上映・放送されることに、格別の喜びを語った。
「こうやって覚えていてもらったり、もう一回再上映してほしいという声が上がったりするのは、本当に人生における、いいご褒美です」
