こうして芸人としての相方を失い、婚活に励んでいた小堀の前に現れたのが、後輩芸人を通じて連絡してきた30歳の女性だった。
突然の申し出に、小堀は当初、何かの罠ではないかと疑い、朝川Dに「ついてきてくれ」と頼んだという。だが、彼女は小堀の歩んできた人生そのものに引かれたといい、急速に距離を縮めていく。普段は人にお金を出さない小堀は、一万円札を出しておごってあげるほど舞い上がっていた。
しかし、交際を始めて1カ月後、彼女から“大きな秘密”を打ち明けられる。それは小堀にとって簡単に受け入れられる内容ではなかったが、彼はそこから逃げず、むしろ“クズ芸人”人生を変えるチャンスをつかもうとしている。
これまでも事務所からの解雇や婚活の失敗など、人生を変える機会は何度もあったが、そのたびに逃げ出し、元の生活へ戻っていた。しかし今回は違うと、朝川Dは感じている。
「小堀さんは、たぶん死ぬまでクズ芸人なんだろうなと思っていたんです(笑)。でも、ここに来て覚醒した感じがしますね。途中で音を上げると思っていたのですが、本当に彼女のことを思っていて、人は変われるんだなと思いました」
彼女と出会ってから、芸人としての意識にも変化が表れた。「本気で売れたい」と口にし、生活のためにも笑いで結果を出したいと考えるようになったという。
7月に放送された『水曜日のダウンタウン』(TBS)の企画「ザ・スベリドリームマッチ」で、モグライダーの芝大輔と即席コンビを結成すると、次々に笑いを取って見事優勝。朝川Dが「相当練習したのでは?」と尋ねると、小堀は「全然していない」と答えたというが、小堀の変化がもたらした結果でもあると感じた。
「これはドキュメンタリーなんです」と胸を張れる作品に
後編では、小堀と母との時間も描かれる。息子の生き方に心を痛めていた母が、予告映像で彼女を紹介されて涙する姿が流れた。
カメラを向け始めて約6年。遅刻し、逃げ出し、誰かに頼って生きてきた小堀を追いかけてきた中で、時には「これはドキュメンタリーなのか」と言われることもあったという朝川D。
しかし今回は、「初めて小堀さんのいい部分が出てきて(笑)、やっと“これはドキュメンタリーなんです”と胸を張れる作品になったと思います」と手応えを語る。
初めて守りたいと思える存在と出会った小堀。59歳でたどり着いた“クズ芸人”の新たな生きる道を、朝川Dは今後も追っていく考えだ。
