プロパティエージェントは7月31日、「投資へのAI活用の実態調査」の結果を発表した。調査は2026年7月13日~7月14日、現在投資を行っており、賞与(ボーナス)の支給を受けたことがある全国20~69歳の会社員・会社役員・公務員・経営者545名を対象にインターネットで行われた。
幅広い年代の"現役投資家"545名が回答
回答者の年代構成は20代17.2%、30代27.3%、40代30.5%、50代19.3%、60歳以上5.7%と、特定の世代に偏らず、資産形成の現役世代を幅広くカバーしている。性別は男性73.6%・女性26.4%。
いずれの回答者も投資の"実践者"であるため、本調査の結果は「投資に関心がある人」ではなく、実際にお金を動かしている人々のAI活用の実態を映したものといえる。
ボーナスを投資に回す人が急増
これまでに賞与(ボーナス)を投資に使った経験がある人は77.2%にのぼった。年代別では20代(男性91.9%・女性93.8%)、30代(男性86.9%・女性85.7%)と若い世代ほど高く、ボーナスが投資の入り口になっている実態がうかがえる。
同様の条件で実施した昨年調査(2025年8月)では59.1%だったのに対し、今回は18.1ポイント増。新NISAの定着も背景に、ボーナスを投資に回す動きがこの1年で大きく広がった。
また、投資に資金を回すきっかけは「貯金がある程度たまったとき」(43.5%)が最多で、「まとまった臨時収入があったとき」(39.3%)が続く。夏のボーナスシーズンは、まさに投資の意思決定が集中するタイミングといえる。
投資の"相談相手"、3人に1人が生成AI
投資判断の際に参考にしたことがある情報源は、「証券会社・銀行・FPなどの専門家」(40.4%)、「YouTube動画」(37.6%)、「新聞・ニュースサイト」(35.0%)、「SNS」(34.5%)が上位となる一方、「生成AI(ChatGPT・Gemini等)」(32.8%)も約3人に1人が参考にする水準に達していることがわかった。
生成AIはすでに「家族・友人・知人」(18.9%)を大きく上回っており、身近な人よりもAIに投資の相談をする時代になりつつある。なお、20代に絞ると生成AIは46.8%で専門家を上回り最多となっており、若い世代ほどこの傾向は顕著だった。
AIを参考にする理由は「手軽ですぐ答えが出る」(64.2%)、「24時間相談できる」(63.1%)、「無料・低コスト」(51.4%)が上位を占めた。一方で「回答の内容が正確だと思う」(10.6%)は最も低く、正確さへの信頼ではなく、手軽さ・利便性がAI利用を押し上げている構図が浮かび上がる。
9割超がAIの回答を「そのまま採用」
投資判断で生成AIを参考にする人のうち、少額の投資(数万円程度)では96.7%、まとまった金額の投資(数十万円以上)でも94.4%がAIの回答を参考にすると回答した。金額が大きくなっても参考度はほとんど下がらず、投資額の大きさが慎重さにつながっていない実態がうかがえる。
さらに、AIの回答を"そのまま採用"したことがある投資判断は「銘柄・物件の選定」(57.0%)が最多で、次いで「売買タイミング」(48.6%)、「投資金額」「資産配分」(各43.0%)と続き、「そのまま採用したことはない」(8.9%)はごくわずか——裏を返せば、91.1%が何らかの投資判断でAIの回答をそのまま採用した経験があることになる。銘柄選定や売買タイミングといった、投資成果を直接左右する場面でAIの回答がそのまま実行に移されている。
自分の考えと食い違っても「AIを優先」が4割超
生成AI利用者のうち、AIの回答を「信用している」(非常に+やや)人は80.5%にのぼった。さらに、AIの回答を「自分で確かめずに、そのまま参考にする」ことがある人は70.5%。7割超が、裏取りをしないままAIの回答を受け入れる場面があると答えている。
注目すべきは、AIの回答が自分の考えや他の情報源と食い違ったときの行動だ。「AIの回答を優先する」(どちらかといえばを含む、43.1%)は、「自分の考え・他の情報を優先する」(32.2%)を上回った。情報収集の道具だったAIが、自分の判断より優先される"意思決定の主役"になりつつあることを示す結果となった。
AIの回答だけで投資した人の85.6%が損失・後悔
投資判断で生成AIを参考にする人のうち、「AIの回答だけを根拠に、自分で十分に確認せず投資(売買・購入)をしたことがある」人は62.0%にのぼった。また、AIを参考にした投資の判断で「損失や後悔を経験したことがある」人は60.3%だった。
この2つを掛け合わせると、リスクはさらに鮮明になる。AIの回答だけで投資したことがある人(111名)では85.6%が損失・後悔を経験している一方、そうしたことがない人(68名)では19.1%にとどまり、その差は約4.5倍。AIを使うこと自体ではなく、「確認を挟むかどうか」が結果を分けている——そのことを示唆するデータである。
なお、損失・後悔を経験しているのは、投資知識に自信がない人とは限らない。むしろ知識への自信別に見ると、「かなり自信がある」(90.3%)、「ややある」(56.9%)、「自信がない」(24.4%)と、自信がある人ほど割合が高い結果となった。「自信があるからこそ、AIの回答を確かめずに実行してしまう」——知識への自信が、かえって"AIのいいなり投資"のリスクを高めている可能性がある。
自由回答では、次のような"AIのいいなり投資"の失敗談が寄せられた。
- 「ChatGPTに暗号資産投資について、将来性や価格が上がる銘柄を聞いてリストアップされた銘柄をそのまま信じて購入した。その結果、特に価格が上がることもなく放置して、その後昨今の戦争など世界情勢に巻き込まれる感じで市場が下落して損をしてしまったことがある」(30代)
- 「AIに推奨された銘柄をそのまま投資して損失が出てしまい後悔した」(20代)
- 「おすすめされたままに投資してみたら思った以上に信託手数料が高くなっていた」(30代)
- 「AIはテンションを上げてくれる回答が多いので乗せられた」(20代)
Z世代の投資情報源は生成AIが1位
投資判断の情報源を20代(Z世代)に絞ると、「生成AI」(46.8%)が最も高く、「YouTube動画」(43.6%)、「SNS」(42.6%)、「証券会社・銀行・FPなどの専門家」(37.2%)を上回った。全体では5位(32.8%)の生成AIが、20代では専門家を抜いて1位となっている。特に男性20代では58.1%と、2位以下を大きく引き離した。
AIへの向き合い方でも、20代は他の世代と一線を画す。AIの回答を「自分で確かめずに、そのまま参考にする」人は86.8%(全体70.5%)、AIの回答が自分の考えや他の情報源と食い違ったときに「AIを優先する」人は73.7%と、全体(43.1%)の1.7倍にのぼった。自分の判断よりAIの判断を信じる。まさに"AIのいいなり"の状態が、Z世代で最も進んでいるといえる。
その結果、AIを参考にした投資の判断で損失や後悔を経験した20代は68.2%と、全年代で最も高く、全体(60.3%)を上回った。20代は投資知識に「自信がある」と答えた割合も約8割(全体58.5%)と全世代で最も高く、「自信があるからこそ確かめない」という前章の構図が、最も色濃く表れている世代といえる。
それでも、7割超が「今後もAIを活用したい」
AIを投資のような重要な判断に使うことへの不安は、「誤った情報を信じてしまう」(47.9%)、「自分で考えなくなる(思考停止)」(44.2%)、「情報が古い可能性がある」(43.1%)が上位となった。自らの"思考停止"をリスクとして自覚している人が4割を超えている。一方で「特に不安はない」は7.0%にとどまり、9割超が何らかの不安を抱えながらAIと向き合っていることになる。
それでもなお、今後の投資判断でAIを「活用したい」(積極的に+やや)人は70.7%。特に20代では男性85.5%・女性96.9%と、活用意向は突出している。リスクを感じながらも、AIが投資判断のインフラとして定着していく流れは今後も続くとみられる。







