フィデリティ投信は5月20日、フィデリティ・インターナショナルが実施した「Be Invested Study(ビー・インベステッド・スタディ - 個人投資家調査)」の結果を発表した。調査は2026年2月12日~3月11日、アジア太平洋地域および欧州の個人投資家13,000人(うち日本1,000人)を対象にインターネットで行われた。
日本の投資家、現金比率は31%
アジア太平洋地域および欧州の個人投資家を対象に分析を行った結果、アジア太平洋地域の投資家は資産ポートフォリオにおける現金比率が比較的高い傾向にあり、これが長期的な投資パフォーマンスに影響を及ぼす可能性が示唆された。
同地域の投資家は現在、平均して資産ポートフォリオの26%を現金で保有しており、流動性や短期的な安心感を重視する姿勢が見られる。この水準は世界平均の22%や欧州の18%を上回っており、なかでも日本は31%と、現金比率の高さが際立っている。
現金保有の理由
現金保有の主な理由として、日本の投資家の約半数(47%)が「緊急時に備えた資金」を挙げており、これはすべての調査対象国・地域において最も多い回答となった。一方、次点の理由には地域差が見られ、台湾(28%)、中国本土(23%)、香港(22%)では「より良い投資タイミングを待っている」が多く挙げられたのに対し、日本では「損失を避けたい」が16%で続いている。
このように、日本では損失回避を重視する傾向が見られる一方で、今後5年間において年平均5.6%のリターンを期待しており、これは現在の預金金利を大きく上回る水準である。現金の保有比率が高い場合、資産の成長や、期待するリターンの実現に影響を与える可能性がある。
なお、アジア太平洋地域全体で投資家が期待する年平均リターンは8.6%となっており、日本の投資家と比べてより高いリターン期待がみられる。
投資行動の変化を促す要因
調査では、投資家が現金から投資へ資金を移すきっかけについても明らかになった。主な要因としては、現金商品の利回り低下に加え、投資対象や投資手法に関する理解の向上、専門家へのアクセス、税制優遇措置などが挙げられる。これらの動機には地域ごとの差も見られる。
日本では、「投資対象に関する知識の向上」と「投資方法に関する知識の向上」がいずれも25%と、主なきっかけとして挙げられた。
また、多くの投資家が現金の活用方法を見直す意向を示している。資金の再配分先としては、アジア太平洋地域全体では52%が株式、28%が債券およびコモディティを検討すると回答した。いずれの市場でも株式が最も多く挙げられており、日本でも48%が株式を投資先としている。
一方で、定期預金など現金に近い性質をもつ商品を引き続き重視する傾向も見られる。特に日本では、現金のまま保有すると回答した投資家が16%と一定数に上り、アジア太平洋地域全体の平均と比べて高い水準となっている。
同社 資産形成研究室長の畔柳氏は次のようにコメントしている。
「現在の貯蓄比率の高さに加え、今後も貯蓄を他の資産クラスに移す意思がないとする回答は16%と、調査対象国・地域の中で2番目に高い水準となっており、日本の投資家における元本確保志向の強さがうかがえます。その背景には、損失リスクを回避したいという意向があると見られますが、一方で、知識の不足が株式などへの投資を控える要因となっている可能性もあります。専門家のアドバイスを得やすい環境が整うことで、投資家は次の一歩を踏み出しやすくなると考えられます。」
分散投資の重要性
アジア太平洋地域の投資家の約半数(45%)は、定期的な収益と資本成長の双方を同程度に重視している。また、平均で約3分の1(31%)を株式に投資していることから、長期的なポートフォリオ構築においては、質の高い企業を選択する重要性が示されている。
資産の種類を適切に分散し、投資期間やリスク許容度に応じたポートフォリオを構築することが、長期的な投資成果の向上につながると考えられる。
畔柳氏は最後に次のように述べている。
「元本の確保を重視して現金を保有すること自体は否定されるものではありませんが、その一方で、自身が目標とするリターンに見合ったポートフォリオとなっているかを確認することが重要です。過度なリスクテイクは必要ありませんが、長期的な投資目標の達成に向けては、資産配分が適切に機能していることが求められます。」



