【大磯 観光スポットレポ】王福寺 - 1300年の歴史を受け継ぐ古刹…

大磯町寺坂、のどかな風景の中にある「王福寺」。

約1300年の歴史を持つ古刹で、平安時代に制作された国指定重要文化財「木造薬師如来坐像」を守り伝えています。

境内に一歩足を踏み入れると、そこには歴史の重みだけではなく、木々に囲まれた静かな時間が流れています。穏やかな語り口のご住職のお話を伺っていると、不思議と肩の力が抜けていくような感覚に。

人とのつながり、地域とのつながりを大切にする王福寺の魅力をご紹介します。

 

王福寺|奈良時代から寺坂の歴史を伝える寺院

王福寺外観

王福寺は奈良時代に行基が開いたと伝わる古刹で、平安時代の作とされる本尊「木造薬師如来坐像」が安置されています。創建当初、現在地よりも山側にあったと伝えられています。その後、現在の寺坂地区へ移り、約1300年にわたって地域の歴史を見守り続けてきました。鎌倉時代には源頼朝も北条政子の安産祈願に訪れた由緒ある古刹で、隆盛を極めていたことが伺えます。

王福寺から見える新幹線

境内に入ると、木々の葉が風に揺れる音が聞こえ、とても静かな空間です。その一方で、ふと視線を向けると遠くを走る東海道新幹線の姿を見ることもでき、歴史あるお寺と現代の風景が同じ景色の中に溶け合っていました。

国指定重要文化財「木造薬師如来坐像」

王福寺薬師如来収蔵庫

王福寺の本尊はかつて国宝に指定され、現在は国指定重要文化財となっている「木造薬師如来坐像」です。平安時代に制作された国指定重要文化財であることから、現在は保存が優先されているため、本堂に安置されておらず、境内の収蔵庫で適切な環境で保存・管理されています。

王福寺薬師如来看板

ご住職の案内で拝観させていただきましたが、まず、その柔らかなまなざしで静かに迎えてくれる薬師如来の表情に思わず見入ってしまいました。榧(かや)材の一木造りの坐像で、穏やかなほほえみと力強い彫りが特徴の古仏です。京都にはこの時代の仏像は多く現存していますが、関東にはあまりないそうで、貴重な仏像とのこと。

ご住職によると、薬師如来の前に長い時間座って、静かに過ごす方もいるそうです。九州から参拝客が訪れたこともあるとか。実際にとても穏やかな表情の薬師如来にしばらく向き合っていると、その気持ちが自然と理解できました。時間の流れまでゆっくりになったような不思議な感覚に包まれます。

12年に一度、寅年にご開帳がありますが、普段も薬師如来坐像を拝観することができます。ただし、雨天時や湿度の高い日などは扉を開けないようにしており、好天時のみの公開です。また、薬師如来の撮影は禁止されていますのでご注意ください。拝観を希望する場合は、ご住職が不在のこともあるため、事前に電話で予約するのをおすすめします。事前予約と天候などの条件が整えば拝観できます。

国の重要文化財に指定された薬師如来坐像は大切に守られ、参拝者にもその魅力に触れてもらえるよう大切に受け継がれています。

どなたでも気軽に訪れてほしいというご住職の思い

王福寺季節の装飾風鈴

時季に合わせ、境内の景色は変わります。2026年7月現在、境内には涼しげな風鈴が並び、お寺の温かみが伝わります。

ご住職はこのように語ってくださいました。

「お寺というと、儀式の時に訪れるくらいで、何となく敷居が高い印象があると思います。いつでも気軽に訪れてもらえる場所になったらいいと思っていて、ちょっと立ち寄って、ちょっと手を合わせてもらえたら嬉しい。現代社会は情報にあふれ、心が苦しくなる人も多い。だからこそ、ここを訪れて少しでも心の支えになればいいと思います。」

境内を歩いていると、歴史の重みだけでなく、地域の人々が大切に守り続けてきた温かさも感じられます。緑豊かな地にある王福寺で、忙しい日常から少し離れ、静かな時間を過ごす…… 目的がなくても訪れていい場所がここにあると感じました。

王福寺御朱印

由緒にちなんで安産祈願に訪れる参拝者も多く、病気平癒・交通安全・開運厄除などの祈願が行われています。参拝の際には御朱印をいただくこともできます。

地域交流の場として開かれた寺|イベントや体操教室などの新しい取り組み

王福寺浴衣イベント

取材の日は地域の方が集い、浴衣を着てお寺で撮影するというイベントが開催されていました。

地域の交流の場として、さまざまなイベントを設け、第1・3金曜日にはリンパ体操、第2金曜日はヨガ教室が開催されているそうです。無料体験もできますので、ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

王福寺薬師如来の焼き印入りおせんべい

また、かわいい薬師如来をモチーフにした焼印入りのお煎餅もあります。この薬師如来のデザインはご住職の奥さまが手掛けました。販売もされており、参拝の記念にもぴったりです。

王福寺には、人がほっとできる時間が流れていました。イベントが始まると、ご住職も地域の方々と笑顔で言葉を交わし、和やかな雰囲気に。取材中の穏やかな表情とはまた違う、親しみやすいご住職の一面が印象に残りました。

歴史を感じ、人の心がほっとできる王福寺

王福寺本堂と奥さま

緑に囲まれた静かな境内と、穏やかに迎えてくださるご住職、そして優しい表情の薬師如来が待っています。

ご住職の「ちょっと立ち寄って、ちょっと手を合わせてもらえたら嬉しい。」という言葉が表すように、歴史あるお寺でありながら、誰もが気軽に足を運べる場所。それが、王福寺の魅力です。

いつもの日常から離れたいとき……ご住職のその言葉どおり、「ちょっと立ち寄ってみようかな」と、肩の力を抜いて訪れてみてはいかがでしょうか。

王福寺

拝観時間

9:00〜16:00 ※「木造薬師如来坐像」拝観は要予約

休山日

不定休

アクセス

JR東海道線二宮駅よりバス10分、「王福寺」下車徒歩1分

住所:神奈川県中郡大磯町寺坂639電話:0463-71-2102駐車場:あり