【横須賀 体験スポットレポ】千代ヶ崎砲台跡 - 東京湾要塞の地下施設…

明治政府が東京湾防御のための砲台建設を始めた1880年(明治13年)以降、横須賀周辺には数多くの軍事施設が築かれました。今回、紹介する浦賀の「千代ヶ崎砲台」もそのひとつで、建造当初の姿を今もなお良好な状態で残していることから、国の史跡に指定されている貴重な歴史遺産です。

土日祝日のみ一般公開されており、ボランティアガイドの方による無料見学ツアーに参加すれば、貴重な砲台内部の設備等を詳しく案内してもらえます。この度、筆者も見学ツアーに参加してきました。気になる内部の状態を紹介しますので、その様子をご覧ください。

国指定史跡・千代ヶ崎砲台とは

横須賀市 千代ケ崎砲台跡

千代ヶ崎砲台は、東京湾に侵入する外敵から国土を防衛するための「東京湾要塞」のひとつとして1892年(明治25年)から1895年(明治28年)にかけて、当時の陸軍により建設された西洋式の砲台です。元々は江戸幕末期に会津藩が平根山台場を築いた一帯に建設され、標高65mの高地にあります。

2種類の形状・性能の異なる砲台で構成されており、その他観測所や弾薬庫、貯水所などの付属施設が設置されていたそうです。東京湾要塞での任務は、近くにある観音崎砲台群を側面から援護するとともに、浦賀湾周辺の海域を防御する役割を担っていたとされています。

そんな千代ヶ崎砲台跡は、建造当時の様相を良好に残していること、また日本における軍事の近代化や築城の技術を理解するうえで重要な史跡であることが認められ、同じ横須賀市内にある猿島砲台とともに2015年(平成27年)に国の史跡に指定されています。

砲台跡までのアクセス

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 史跡入口

市街地からやや離れた砲台跡までの交通アクセスは、決して良好とはいえません。現地まではかつて軍道として利用されていた急な坂道を上っていく箇所もあるため、少しキツイ道程になるかもしれません。

まず、公共交通機関を利用して訪問する場合は京浜急行の浦賀駅か京急久里浜駅が最寄りとなり、バスに乗り換えて「燈明堂入口」バス停で下車してから徒歩15~20分ほどとなります。

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 専用駐車場

車を利用する場合には、専用の無料駐車場が用意されています。こちらの利用時間は公開時間に合わせていますので、ご利用の際はご注意ください。16台分の収容スペースがありますが、満車の場合は坂道を上る手前の道に戻り、まっすぐ海の方向に向かうと到着する「燈明堂緑地有料駐車場」に駐車できます。専用駐車場から燈明堂緑地駐車場までの所要時間は徒歩で5分ほどです。

また、史跡入口までの道は狭い急坂です。周辺道路は狭いため、必ず指定の駐車場を利用しましょう。

見学にあたってのアドバイス

横須賀市 千代ケ崎砲台跡

なお、見学については原則としてツアーに参加することをおすすめします。ツアーの実施時間は決まっておりますが、時間になれば少人数であっても実施してもらえます。ただし10名以上の団体での参加は事前予約が必要となりますので、あらかじめ確認してください。

所要時間は45~60分で予約不要、参加費は無料です。地下施設などツアーに参加しなければ見学できないエリアもあるうえ、史跡について親切丁寧に案内してもらえるなどメリットもたくさんあります。

史跡内は滑りやすい箇所もあるので、履きなれた靴やスニーカーなど歩きやすい靴で訪問することがおすすめです。また、地下施設は暗い場所もあるので、頭上や足元にも気をつけましょう。ほかに重要な注意事項としては、決められた見学コースを逸脱して行動することのないよう心がけてください。

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 マムシ

地上部分の草原付近で、上記のような注意看板がありました。草むらにはマムシが潜んでいる可能性があるため、順路を離れて行動することは危険です。

見学ツアー体験記

見学ツアーで案内してもらえるスポットは豊富にあります。まず、地下施設内を見学してから地上部に移動し、全体の外観を確認するコース内容となっています。見どころは豊富にありますが、今回は主要なスポットをピックアップしてご紹介しましょう。

見学ツアー受付まで

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 管理事務所

史跡に入場し、順路に従って右手に進むと管理事務所に到着します。こちらの受付でガイドツアーにて見学希望の旨を伝えます。ツアー開始の時間が決まっているので、時間になるまで待合室で待機してください。今回筆者が参加したツアーは2名からスタートし、最終的には4名でした。少人数でも実施してもらえる点が嬉しいですね。

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 待合室

待合室内には千代ヶ崎砲台に関する説明板のほか、史跡内からの出土品なども展示されています。見学する前の予備知識として学習しておきたいですね。担当のガイドさんから、史跡に関する貴重なお話も聞かせてもらえます。

地下施設見学

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 地下通路

まずは、地下施設の見学に向かいます。古代遺跡の中に迷い込んだような不思議な感覚を覚えます。コンクリートで舗装された塁道(まんなかの通路)の両端には、雨水を集めて貯める排水溝が設置されていました。貯水した雨水をろ過して生活用水として使用していた貯水所跡も見学できます。

また、砲台内で使用しているレンガの種類は場所や用途によって異なるそうです。レンガは当時の刑務所内で製造されたものだそうで、よく見ると刑務所の刻印が押されているのも確認できます。

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 砲座

千代ヶ崎砲台の中核部分である砲台跡に到着しました。こちらの窪みが大砲が設置された「砲座」跡です。年月が経過し、この場所に大砲が設置されていたとは思えない景観ですね。平和のありがたさを実感する瞬間です。

地上部見学

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 地上部

開放的な草原が広がる地上部分の景観です。こちらも砲台跡とは思えないほど牧歌的です。柵の向こう側にある木々はオオシマザクラが植えられています。ソメイヨシノとは異なり白い花びらが特徴です。3月下旬の開花時期には「さくらまつり」が開催されるので、この時期にも訪れてお花見をしてみるのも楽しいですね。

横須賀市 千代ケ崎砲台跡 東京湾眺望

地上部から望む東京湾の眺望。海の遥か向こうに見えるのは房総半島の鋸山周辺です。天気の良い日には爽快な空間ですね。東京湾が意外と狭く感じるのも、この場所に砲台が設置された理由かもしれません。ここでしか見ることのできない絶景をしっかりと目に焼き付けておきたいものです。

まとめ

千代ヶ崎砲台跡は、歴史好きの人やミリタリー愛好家の人以外でも楽しめる素敵なスポットです。例えば静かなブームをよんでいる「廃墟」マニアの人にとっても、非日常の体験を満喫することが可能ですし、史跡から望む東京湾の絶景など、多くの人を魅了するポイントが豊富に存在します。

また、専用駐車場から歩いて5分程度の場所にある「燈明堂海岸」にも併せて足を運んでみるのもおすすめです。

千代ヶ崎砲台跡

公開日

土・日・祝日のみ(12/29~1/3は除く ※ほか悪天候等で臨時休業の場合あり)

営業時間

3~9月 9:30〜16:30(入場は16:00まで)10~2月 9:30〜15:30(入場は15:00まで)

入場料金

無料

アクセス

京浜急行「浦賀駅」または「京急久里浜」駅よりバス(久19系統)乗車、「燈明堂入口」バス停下車徒歩約15分※バス停から史跡までは急な上り坂あり

住所:〒239-0824 神奈川県横須賀市西浦賀6-5-1

駐車場:あり(無料)